ベクトルの創造の追体験を昨夜した。いや別に驚くようなことをしたわけではない。
「ベクトル解析」という分野が数学にある。いまでは数学の分野という感じだが、実はベクトル解析という数学の分野をつくったのは狭い意味の数学者ではない。
アイルランドの数学者ハミルトンが四元数を発見してから、少し経ってこの四元数のベクトル部分と言われるようになった部分の積をとると
(ai+bj+ck)(xi+yj+zk)=-(ax+by+cz)+(bz-cy)i+(cx-az)j+(ay-bx)k
となる。この四元数のベクトル部分の積から今ベクトルと言われているもののスカラー積とベクトル積を考え出したのはGibbsというアメリカの物理学者であった。
\bm{a}=a\bm{i}+b\bm{j}+c\bm{k}
\bm{x}=x\bm{i}+y\bm{j}+z\bm{k}
という2つのベクトルを定義し、この2つのベクトルから二つの積を定義した。一つはスカラー積であり、もう一つはベクトル積と言われるものである。
スカラー積は
\bm{a}・¥bm[x}=(ax+by+cz)
で定義され、ベクトル積は
yousyryni
\bm{a}\times \bm{x}=(bz-cy)\bm{i}+(cx-az)\bm{j}+(ay-bx)\bm{k}
で定義される。
要するに、うまく四元数の積から二つのベクトルの積を新たに定義したに過ぎないのだが、このベクトルの概念は四元数よりもわかりやすく四元数は廃れて、ベクトルが全盛を誇ってきた。
最近でこそ四元数が生き返っているが、それでも失地回復とまではなかなかいかない。