ベクトル空間の公理がどのようにしてできたかを書いておきたいという気が強くなった(これは実際の歴史ではなくて、私の推測ではあるが)。これにはもちろん、ベクトル空間のベクトルの演算はどういうものがあるかということも含まれている。。すなわち、ベクトルのスカラー倍とベクトルの加法である。
はじめ、このベクトルのスカラー倍と加法しか演算に入れない。すなわち、計量ベクトル空間はこの段階では取り扱わない。それだけでどれだけのことが言えるのかを述べた後で、ようやくベクトルのスカラー積を導入して計量ベクトル空間を論じるという話になる。
そういう風に考えてくるとなかなか発見法的にベクトル空間を導くというのも述べ方としては議論としてはかえって厄介なことである。だからそういう記述法はだれも線形代数でのベクトルの公理を述べるときにとらないのであろう。
一つはベクトル空間の公理がどのようにしてつくられたかということと、もう一つはベクトル空間の公理によってどれだけ広い範囲のものがベクトルとして捉えられるようになったか。
この二つのことが気になっている。後者については多くの数学書にも出てくるようである。そしてそのことが数学の発展に寄与していることはまちがいがない。