物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

続・KENZOUさんの「四元数談話」

2024-06-27 23:03:43 | 数学
四元数による空間回転が直交変換であることのチェックは昨夜12時前にできた。マトリックスで表したときの四元数による空間回転は確かに直交変換である。

これは当然でもあるのだが、変換マトリックスとその転置マトリックスの積が単位マトリックスになることを数式上でチェックできて安心した。

もちろん、そうでなければおかしいのだが、それでも全部がチェックできるまではドキドキした。

小著『四元数の発見』でも四元数による空間回転が直交変換であることについては述べていた。ただし、KENZOUさんほど徹底はしていなくて、3次元の行列が直交行列であることを指摘しているだけである。

自分ではチェックをして、そのことにはきちんと触れてはいるのだが、その途中の計算を示してはいない。それで書いたときはいいと思ったのだが、一部でも計算の仕方を示した方がよかったのだろうか。それだと記述がすこし冗長になる。

もし小著の改訂の機会があるならば、KENZOUさんの方法を少し詳しく説明をしたいと思っている。彼の記述はあまり詳しくないので、どう計算するのだろうとちょっと疑問を感じたのが逐一チェックした理由であった。

「四元数談話」では空間回転が直交変換であることについてもう少し計算の方法は詳しく示した方がよかったのではないか。それからこれはすぐにわかることだが、いくつかのミスプリントがある。いま問題にしているところも含めてだが。もっとも私は昔のインターネットのプリントを最近また読んだので、いまは修正されているのかもしれない。





『数の本』(丸善出版)

2024-06-27 12:50:09 | 数学
『数の本』(丸善出版)をE大学の付属図書館から借りて来た。これは四元数について、なにか書かれていることを結城浩さんの本から知ったからである。

四元数について書かれたことはあまり多くはないが、ちょっと気になったところがある。Hamiltonが四元数の規則を発見した後で「まず着手したことの1つは、2つの四元数の積のノルムがそれぞれのノルムの積となるという事実の確認でした」と書かれてあったことだ。

私は小著『四元数の発見』で四元数の積の規則を見つけるときの指導原理(guiding principle)が、この|pq|=|p||q|であったと書いた(注)。私は『数の本』の著者たちが優れた数学者であることを認めるが、事実関係は私の方が正しいと思っている。

何の指導原理もなしに新しいことが発見することができるたりするのだろうか。「2つの四元数の積のノルムがそれぞれのノルムの積となる」という文章はこれを数式で表せば、|pq|=|p||q|である。これは中学時代に学ぶ数学でもわかる事実である。

念のために|pq|=|p||q|を文章で表しておくと、「二つの数の積の絶対値はそれぞれの数の絶対値の積に等しい」である。絶対値を専門用語ノルムにおきかえればよい。 

ノルムの定義は人によれば、|p|^{2}を表すこともあるが、基本的な意味合いは変わらない。

(注)
|pq|=|p||q|のことを私は「絶対値の法則」と呼んだ。そして|pq|^{2}=|p|^{2}|q|^{2}のことを「絶対値の条件」と名付けている。latexの記法を知らない人のために一言付け加えれば、|pq|^{2}=|p|^{2}|q|^{2}は|pq|=|p||q|の両辺を2乗した式である。