バナナに関する思い出は幼児にさかのぼる。当時私は朝鮮(いまの韓国)の鎮海(ハングルではチネという発音らしい)という小さな町に住んでいた。1940年から1945年のはじめことである。伯父が台湾に出張してお土産にバナナを私の家に買ってきてくれた。そのときに生まれてはじめてバナナを食べた。
戦後はバナナは高価な果物でなかなか食べられるようにはならなかったが、小学校の頃だったか母の使いで八百屋をしている家へ何かを持っていった。そのときにそこのおばさんが店先にあったバナナを一束下さった。それからそこへお使いで行ったときにいつもバナナをもらうようになった。とてもうれしかったことを覚えている。
1976年に1年間ドイツへ留学したが、そのときに果物屋の店先にAnanasと書いてあるのをみて、ドイツ語ではバナナのことをAnanasというのかと思った。もちろん, そのすぐ後でこの-e Ananasはパイナップルのことで、バナナは-e Bananeであることを知った。私は字だけを見て実物を見ていなかったことがわかる。