まだ、台風が来ているわけではないが、明日にでもひどく吹き降りになりそうである。すでに今日は雨模様である。
今年も松山地方がいままでのところ台風に襲われたことはないが、今回はまともに台風を受けそうである。もう何十年も昔になるが、松山が台風に直撃されたことがあった。このときは風雨が激しく、勤務先の大学に出かけることなどできなかった。
E大学の5階建ての宿舎の2階に住んでいたのだが、北側の窓の近くではあまりの風雨の強さで雨が壁を通してしみこみ、あわててそこの畳を妻と二人で上げたことがあった。子どもはまだ小さくて、心配そうにしていたことを思い出す。
そこは大学の宿舎の建物がその当時は3列(今は4列)に建っており、もうその宿舎へ行くことはないが、子どもたちの幼児時代の心の故郷という感じがする。もっとも私たちが住み始めたころは農協の店舗まで買物にも出かけるには、お母さんたちが10時過ぎに子どもを乗せた乳母車を押して大挙して出かけるという様子であった。
いまではこの辺はもう街の様相を呈しており、40数年前の面影はほとんど残っていない。すぐ近所に大きなスーパーマーケットもできて、すぐ戸口を出れば、数分のところで何でも手に入るという便利さである。また、近所にはすし屋さんも、喫茶店もまたレストランも完備という具合である。診療所も近くにできている。
私が冬に子どもたちにタコを揚げてやった畑はいまではゴルフの練習場になっており、夕食前の散歩を楽しんだ野原はいまでは国道156号線へのバイパスとなっている。そして、大学宿舎の構内には子どもが雨が降った跡の水溜りで、泥んこ遊びを楽しんだ中庭はもうアスファルトに舗装された駐車場になっている。
大学の宿舎が建てられたばかりで、構内はまだ整備されてはおらず、なんだか建設現場めいていたが、それだけに野趣に富んだところであった。