昨日の日曜2011.9.25の朝日新聞の読書欄に「数学本を読む」があった。一般向けの数学書がブームだというので、数冊の数学書の紹介があった。
その中に吉田 武氏の「虚数の情緒」の紹介があったが、この本は同じ著者の「オイラーの贈物」ほど興味はもてなかったのを覚えている。まずページが多すぎる。著者が本当は読んで欲しいと思っている普通の中学生にはあまり読まれないだろう。
いやこれは辞書代わりに使えるのかなと思ったりしているが、どこに何が書いてあるのか見ることもわからないくらいたくさんのことが書いてある。この書はそれを書かれた意図はとてもいいと思うが、失敗作ではなかろうか。
もっとも、この書は中学生に読んでもらう必要はないので、一般の人が読んでももちろんいい。後ろの方では「自発的対称性の破れ」まで触れてあるのだが、これを読んで「自発的対称性の破れ」を理解できる人がどれくらいいるのだろうか。正しいことを書いてあるとは思うのだが、やはり難しいと感じる。
これは吉田 武さんに対する批判というよりは私自身の自己批判だが、私も数学についてエッセイを書くこともあるが、どうも自分自身の関心におぼれてしまう。だから、自分自身はある程度満足しているが、他人には読んでもらえないということになる。
だが、それでも書かずにはおれないのはやはり自分自身の知的好奇心を満たしたいという気が強いからであろう。誰からも認められなくてもいいから、最低自分の自己満足ぐらいは満たしたい。
結城浩さんの「数学ガール」は1冊しか読んだことがないが、なかなか興味深々であった。彼の書は高校生で数学に関心のある方にも役立つであろう。
ちなみに吉田さんの「オイラーの贈物」は名著である。こういう本を1冊でも書いた人はそれだけでももう後世に記憶されていい。