どの複素解析のテクストにも解析接続のところに鏡像の原理の説明があるのだが、それを応用した実例をあまり見かけたことがない。それを不満に思っていたのだが、高橋秀俊『線型分布定数系論』(岩波書店)にはこの例が載っているらしいことに気がついた。
まだ詳しく読んでいないので、このことについてはまだ何も言えないのだが、一つの手がかりができたことになる。
ちゃんとこの本には鏡像の原理が解析接続の一つの方法であることをしっかりと書いてある。
解析接続のやり方には級数展開を用いるものとかその他いくつかの方法があるのだが、その実例を意識的にまとめたものを書きたいと思いながら、それを果たせていない。
この解析接続のやり方を意識的に書いた本が皆無というわけでもないが、それでも複素解析の本を読んでそのことを明確に述べてほしいといつも思うのだが、そういう本は実は少ないと思う。
複素解析(昔の関数論)の本は日本語でも数十冊出ていると思うのだが、私のような考えの人はまったくいないのだろうか。
(2022.2.4付記) 金子晃『関数論講義』(サイエンス社)が解析接続の方法について、いろいろの説明がある。この書の発行は2021.4.25なので金子さんの本を知らないで書いたことになる。こういうことを気にかけていた数学者がいたことは希望を感じさせる。
(2023.3.29付記) 最近、森正武さんの本を読んでいたら、解析接続の方法として変数変換というのがあった。はるか以前に、高橋秀俊さんの解析接続の方法というのをどこかで読んだことがある。これが解析接続の方法として変数変換であったかもしれないが、どこで読んだのかも覚えていないのでどうやって調べたらいいのかわからない。そういうことをはっきりご存知の方がもし居られれば、コメントをしてほしい。
高橋秀俊さんの解析接続の方法の紹介をされた方も高橋秀俊さんその人でなかったことだけは確かである。だからその紹介をされた方はひょっとすると森正武さんであったのかもしれない。森正武さんの著書を調べて見る必要があるかもしれない。