昔、「自然」という雑誌が出ていたころ科学者は「老後に何をするか」ということが、その巻頭言か何かで触れられたことがある。
物理学者のWeiskopfによれば、
1.Do philosophy (哲学をする)
2.Do administration (科学の行政にかかわる)
3.Do nothing (何もしない)
の3つが挙げられたという話だった。
それを聞いた朝永さんが
4.Do nonsense (ナンセンスなことをする)
をつけ加えられたとか。
朝永さん自身は実際には
5.Do scientific history (科学の歴史を研究する)
をされた。これは著書『スピンはめぐる』(みすず書房)とか『物理学とは何だろうか』上、下(岩波新書)に結実した。特に後者の下巻の熱力学のいろいろな概念の説明は興味深い。
これらの著書のうちで、前者『スピンはめぐる』は英訳まで出ている。後者の英訳は出ているのかどうか私は知らない。