【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

造血幹細胞の提供の推進法案が衆・委員会で可決、会期内成立へ 国会は終わっていない!

2012年09月05日 17時32分24秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]全会一致で中小企業等協同組合法の一部を改選する法律案を可決した衆・経産委、衆議院インターネット審議中継から。

【2012年9月5日(水) 衆議院経済産業委員会】

 平成最長の国会となった第180回通常国会会期末まで残り4日間となり、各委員会理事は法案成立に向けて最後の懸命の努力を続けています。

 「野田問責」があった先日8月29日(水)の参本では、15法案が可決・成立、2法案が可決し衆院に送られました。

 そのうちの1本、「中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案」(第180参法33号)が発議者の参議院経産委員長(民主党の前川清成さん)の趣旨説明の後、採決され、民主党、自民党など与野党全党の賛成で、可決しました。1人30万円以内の火災共済事業などに関する改正を盛り込んだもので、閣法成立率が低迷している今国会では、委員長提出による改正法案がとても多くなっています。会期内の本会議で可決、成立する運び。

 参本でも投票総数238、賛成238、反対0の全会一致で可決していました。 

 このように、野田問責の後、テレビ・新聞で「事実上の休会」と報じられました。多くの国会議員もこれを信じているようですが、まったく間違った認識です。まず、ほとんどの議員が3年以上与党議員を経験したにもかかわらず、政治報道がデタラメだと知らないことが許し難いメディア・リテラシーの欠如です。例えば、私の記憶では、第171通常国会の参議院で内閣総理大臣麻生太郎君問責決議が可決された後に、麻生首相は衆本で解散詔書を議長に提出しています。問責首相が天皇の国事行為をしていたことになります。その一事だけで、参院で首相が問責されると、国会が事実上閉会するというのが誤った認識だと断定できます。

 6月26日の社会保障と税の一体改革関連法案に造反した議員ほど、すでに閉会したと勘違いした言動をしています。これなんかは、年配の方は「そりゃそうでしょ」という反応でしょうが、あらためて人間として信用できないなと感じました。こういう議員は、トイレで手を洗わないような人間でしょうから、握手しない方がいいですね。さらに国民の生活が第一の議員は、民主党代表選にも自民党総裁選にも関係ないので、閉会後に大幅に露出が減るので、なるべく会期中に頑張ろうとすべきです。与党・民主党議員は、定数是正法を成立させて閉会すれば、秋の臨時国会を先送りさせることができますので、自民党新総裁の国会デビューを引き延ばした方が次の選挙を有利に戦える可能性が高まるので、委員外も必死にならないといけない。細野さんを擁立するのは閉会後で十分です。

 私、正直、かなり憤っています。

【衆議院厚生労働委員会 2012年9月5日(水)】

 この後、衆議院厚生労働委員会では、「移植にもちいる造血幹細胞の適切な提供に関する法案(180参法35号)」が、参議院厚生労働委員長(民主党の小林正夫さん)から趣旨説明されました。この後、採決し、起立総員の全会一致で可決されました。あすの衆本で可決・成立する見通し。

 この法案は、公明党の渡辺孝男・参議院議員が趣旨説明しています。3日付公明新聞によると、参院本会議があった当日、公明党横浜市戸塚支部は日本さい帯血バンク支援ボランティアの会の代表を講師に招き講演会を開催しています。このなかで、代表は「白血病などの治療に有効とされる造血幹細胞の移植を拡大するため、自民、公明、共産、新党改革の野党4党が共同で参院に提出したことに謝意を示しています。

 2日放送のNHK日曜討論では、山口那津男さんが「公明党は大衆とともに語らい、大衆とともに闘い、大衆とともに死ぬ」と立党の精神を語っています。これに比べて、民主党議員の責任感のなさは激しく罵倒され、なじられて当然です。落選しても、どんな仕事に再就職しても、何をやっても最初の3年だけで相手にされなくなるでしょう。

【参議院政治倫理の確立および選挙制度に関する特別委員会 2012年9月5日(水)】

 足立信也委員長が開会を宣言し、民主党・新緑風会の一川保夫幹事長、自民党・たちあがれ日本・無所属の会の溝手顕正幹事長らが答弁しました。法案は参院定数を4増4減する「公職選挙法の一部を改正する法案」(180参法36号)で、民主党、自民党、公明党の賛成多数で可決しました。

 この中で、新党大地・真民主の平山真さんが、「定数を増やして1票の格差を是正すべきだ」「来年夏の参院選を3年延期する特別措置法を施行し(半数改選のない)6年間で抜本改正をすべきだ」という常軌を逸した発言がありました。

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参議院決算委員会の「準」総括質疑 会期内に平成22年度決算を仕上げるべきだ

2012年09月03日 23時59分59秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

(このエントリーの初投稿日時は2012-09-04 06:11:36)

 参議院決算委員会は2012年9月3日(月)、平成22年度決算の「準総括質疑」をしました。同委員会はすでに同年度決算の省庁別審査を終えており、委員会での総括質疑・採決と、本会議での委員長報告・採決をすれば、平成22年度決算審査を終了し、秋の臨時国会(召集日未定)のおそらく初日に会計検査院から平成23年度決算(震災復旧・復興決算)を受け取る運びとなります。

 「準総括質疑」の「準」という聞き慣れない言葉は、先週の水曜日(8月29日)の本会議で内閣総理大臣野田佳彦君問責決議(180国会決議14号)が可決されたため、総理出席の総括質疑(通例NHK入り)がやりにくい状態のため。しかし、決算委員としては、各党とも会期内に決算審査を終え、秋の臨時国会を迎えたいという意識が共有されています。実際に、問責(案)上程の前に、参院会派「自民党・たちあがれ日本」の決算委員が同会派の脇雅史・国会対策委員長に総括質疑をするために、問責採決を1日ずらすよう直談判し(本会議の委員長報告には総理出席は不要)、「問答無用だ」とはねつけられる事件も起きています。

 この日は正午に開会し、午後6時25分の散会まで、6時間半ぶっ続けで「準」総括質疑が行われ、安住淳・財務大臣、藤村修・官房長官らが答弁しました。

 山本順三委員長(自民党)の指名で、質問に立った、大島九州男さん(民主党)は、「先週の野田首相問責決議可決後にもかかわらず、準総括質疑の開催にこぎつけた山本順三委員長、与野党の筆頭理事、理事に感謝します。これは先例としても大きい。決算の参議院として、会期内に総括質疑にこぎつけたい」と切り出しました。

 初当選以来決算委員を務める、社民党の又市征治さんは「参議院で野田総理問責決議が可決されたもとで、その内閣と質疑をすることに論議はあるところですが、22年度の審査結果を24年度の予算編成に反映させたいという与野党の使命感から本日の準・総括質疑となりました」と語りました。

 きょうの審議では民主党の安井美沙子さんが、政権交代直後に行われてテレビを席巻した平成22年度(予算の)事業仕分けをもとに、農水省の食育事業のキャラクターがAKB48から小林幸子さんにかわった経緯について、同省の高橋博消費・安全局長が「小林さんはボランティア(無償)だ」と答弁する場面がありました。高橋さんは最初の事業仕分けの際、世論が行け行けドンドンになっていたときに、農水省生産局長として、「冒頭、前回の議事の進め方に農水省として抗議があります。文書にまとめましたのでお読み下さい」と事業仕分け人に反論したおそらく最初の官僚で、良くも悪くも官僚らしい人だと感じてます。厚労省復帰が決まった村木厚子・内閣府政策統括官も答弁しました。

 野党の質問では、玄葉光一郎外相、枝野幸男経産相、羽田雄一郎国交相、松原仁国家公安委員長、滝実法相らが答弁し、総理以外は、総括質疑や集中審議のような風景になりました。このなかで、国民の生活が第一のはたともこさんの質疑答弁のなかで、関西電力大飯原子力発電所を再稼働していなくても、関電管内が供給不足にならなかったばかりか、他の電力会社からの応援融通の余力があったことがあきらかになり、枝野経産相が「結果論だ」と答弁する場面がありました。同党の外山斎さんへの答弁で、松原拉致問題相が、宮澤内閣時代の河野談話について見直す可能性があることを示唆しました。

 ところで、問責後に参院決算委員会が開かれたことが新聞やテレビで報じられない。このことを不思議に思う向きは多いでしょう。これは、「民主党代表選vs自民党総裁選」という構図の時に、参議院のニュースの原稿を書いていると、それだけで本社に控える部長やデスクに「暇な奴」「傍流」「次の人事異動の際の転出候補」ということになるのを恐れているということでしょう。政治部長・デスクなんていうのは地方の小作農の次男坊が地域一番高校と早大教育学部あたりを出て「インテリ」を自称しているような輩。それでインテリならインドには1億人いるよ。いき場所がないのですよ。多摩川手前のマンション守るために国をねじまげるのです。話は変わりますが、朝日新聞は9月3日付社説で「政務調査費―地方議員は襟を正せ」と書いているけど、私は8月8日付ブログで、政務調査費あらため政務活動費のことを書いています。改正地方自治法が参議院で可決・成立してから「襟を正せ」では、遅すぎやしないか。こっちは1人でやっているのだから、朝日にはもっとしっかりしてほしいところです。

 終わりよければすべてよし。

 参議院決算委員会は、秋の臨時国会で平成23年度決算の審査にすぐにとりかかれる環境を今会期末に整えなければならない使命があります。なぜでしょう。それは3・11当日、国会でやっていたのが、同委員会だったからです。


2011年3月11日の参議院決算委員会議事録から抜粋引用はじめ]

(前略)

御説明させていただきます。
 議員から配付されております……
○委員長(鶴保庸介君) ちょっと速記をお止めください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
 それでは、暫時ちょっと休憩をさせていただきたいと思います。
   午後二時五十分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕

[引用終わり]

 この日は、平成21年度決算全般質疑でした。決算(案)の全般質疑とは、予算(案)の基本的質疑に相当します。総理入りでNHK中継される慣例になっています。そのときのNHK映像がこれです。



 一部の出席者が天井を見上げています。

 ところで、このビデオを改めて見て驚いたのは、地震の数十秒ほど前に、野田佳彦財務大臣(当時)が休憩を取りに、委員会室から中座しているんですね。その野田さんが菅内閣の後継になったことはさておき、総理としてののぞんだ予算審議など第1委員(会)室で、5時間以上いっさい席を立たない我慢強さはこのとき体で覚えた与党の重荷を感じているからかもしれません。総理就任1年が経ちました。3・11後、参議院決算委員会もよく頑張っていて、平成22年度決算を仕上げて、秋の臨時国会で会計検査院から平成23年度決算(案)を受け取る直前まで来ています。これで、会期内に総理問責を理由に、総括質疑と本会議採決をしないようでは、問責されるのは参議院の方でしょう。

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山尾志桜里さん・阿知波吉信さん、打ち切り動議で時代を前に 陽も陰も

2012年08月31日 23時59分59秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]条約締結の採決のため、質疑の打ち切り動議を提出(朗読)する、衆議院外務委理事の山尾志桜里さん、2012年8月31日、衆議院インターネット審議中継から。

(このエントリーの初投稿日時は2012-09-04 05:59:29)

 会期末前週の最終日となった2012年8月31日、衆院外務委と衆院国交委は参院先議の合計7議案を強行採決しました。会期末週に衆院本会議が開かれれば、与党の賛成多数で可決・成立する運びです。

 強行採決の際は、質疑の打ち切り動議を提出し、質疑の終局を採決。そのうえで議案の採決に進む手順が一般的です。

 当初予算(案)の採決では、与党・自民党の質問のまっただ中に、自民党理事が打ち切り動議を提出し、野党・社会党の議員が委員長席に殺到する乱闘国会もありました。この際は、55年体制のなれ合い国対政治の中で、社会党議員が事前に段取りを知っており、革靴でなく運動靴で着席している姿が撮影されました。そして、理事だった大島理森さんが「委員長!」と言うべきところを、緊張して「議長!」と言ってしまったシーンとあわせて、何度も何度も繰り返し放送され、予算案の中身は放送されず、有権者は日本の貴重な物を失いました。社会党議員が今どこにいるか知りませんが、大島理事は、閣僚や自民党国対委員長を経て、野党・自民党副総裁として大事なポジションを占めています。

 やはり、誰かがやらねばならない、打ち切り動議の提出。それが与党議員の仕事の最たる物です。打ち切り動議提出で時代の扉を開けたのは、外務委ではシオリンこと山尾志桜里さん、国交委ではアッチーこと阿知波吉信さんでした。


[画像]やや緊張した面持ちで打ち切り動議を提出(朗読)する阿知波吉信さん、2012年8月31日、衆議院インターネット審議中継から。

 2009年11月17日付のエントリーにも書いたところですが、2人は初当選直後ながら、衆議院法務委員会理事に起用され、おそらく最初に審議ストップ時の場内協議(委員長と各党理事の協議)に参加しました。政権交代直後なので与野党対決姿勢が強かったのですが、第45期衆議院では、委員会での審議ストップによる場内協議は数少ない場面となっており、政治の新しい時代の扉を開けて、前に進むことができました。

 
[画像]2009年11月17日、衆議院法務委員会。

 このときの法務委員長は現在の滝実法相でしたが、この画像には奇妙奇天烈なことがあります。与党側が1期生の理事しかいません。実は、小沢一郎幹事長(当時)は2期生以上の法務委理事にはどういうわけか小沢グループ側近議員ばかりを充てていました。が、奇妙奇天烈なことに、このときは、小沢グループが自民党理事をつれて委員室から出ていって、「場外協議」になってしまったので、与党側が1期生理事だけになっています。どうやら小沢グループは日の当たる場所が苦手な日陰者のようです。

 山尾さんが民主党1期生の代表格としてよみうりテレビのウェークアップに生出演したり、NHKニュースウォッチ9で地元ルポが放送されたりするたびに、当ブログへの検索によるアクセスが急増し、やはり目立つ存在なんだと感じます。そして、阿知波さんも、社会保障と税の一体改革関連8法案の採決の翌日、首相官邸を11人で訪れ、造反者を厳正処分するよう、野田佳彦総理・代表に申し入れた際には、衆参の先輩議員からかなりやっかむ声が出たようです。しかし、この11人の行動は全くもって正しい。政党政治のあるべき姿を体現した、陽のあたる坂道を登る人たち。


[画像]社会保障と税の一体改革関連8法案の採決の翌日、首相官邸に「厳正処分」を申し入れた岸本周平さんら民主党1期生議員、NHKニュース映像から。

 外務委員会は重要な委員会ですが、衆参ねじれによる与野党(3党)協議体制において、条約締結の承認案件は、与野党修正協議というのはできません。拘束時間は相対的に短い委員会となります。国土交通委員会理事は、与党議員なら垂涎の的。松原仁国土交通副大臣(当時)を招いて600人の満座の前での地元首長らの「公開陳情会」を開いて、同僚議員に呆れられた阿知波さんが結果的に、理事として議事を前に進めたことになります。いずれにしろ、良い方の意味で、民主党らしさを体現した2人です。

 しかし、会期内に法律の成立や条約の承認(批准)を済ませようと、汚れ役を2人がやっていることも事実。絶対的に理想的な政治などありえません。それは政治には与党と野党があるからです。与党として1期目の3度目の通常国会の会期末に汚れ役を買ってでも、時代を前に進めようとしてる2人。与党でも野党か分かりませんが、2期目の扉が大きく開き、国のためさらに飛躍することを今から待ち遠しく感じます。

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岡田副総理、「特例公債法が成立しないリスク判断を」と銀行通じて自民党をけん制 会期末、あきらめない。

2012年08月31日 19時52分06秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 岡田克也副総理は2012年8月31日(金)の定例記者会見で、総務省が9月4日付の県庁向け地方交付税交付金を3分の1に削減(残りの交付の延期)するとの報道について「まだ決まっていない」としたうえで、「(交付税の一部先送りにともなう県庁の運転資金の不足分を)借り入れでまかなうというのは、銀行の判断になるが、銀行は特例公債法が絶対に成立するというリスクを含む判断をしなければならない」と述べました。来週火曜日の交付に関して、伝統的に自民党とのつながりが太い全銀協、地銀協や、知事、県庁幹部を通じて、「財政運営のために必要な特例公債法案」(180閣法2号、衆議院可決済み)を参議院で審議入りさせ、9月8日(土)までに、出席議員の半数以上の賛成で、本会議で可決・成立させるために死力を尽くす方針を示したものと思われます。

 これは、当ブログが「自治体の指定金融機関をはじめとする銀行が国政府や自治体に対して、運転資金を貸し出して利息を得るのは、(国・自治体の信用力が高いので)あまりにも楽な仕事ではないか」の趣旨の質問をしたことへの答え。

 岡田さんは「交付税についてどう扱うかということは、まだ決まっておりません。特に極めて影響が大きく出るということがないように、配慮も必要だというふうに思っています。借入れで賄うというのは、それはある意味では銀行の判断ですね。リスク判断も含めて、それは特例公債法が絶対通るという確信に満ちて対応されるかどうかという問題もあるのだというふうに思います。我々はそれを通す責任がありますけれども、本来、とっくに成立していなければならないものが、いまだにこういう状況になっているということです」と記者会見で答えました。

 岡田副総理は、「自民党が特例公債法案をあたかも人質にとるような態度をとっているのは好ましくない」と語り、政権交代ある政治で毎年度の特例公債の発行を可能とする法案を人質にとることは自民党も民主党もすべきでないとしました。 

 岡田さんは2013年3月31日までに特例公債法が絶対成立するとは限らず銀行にとって貸し出しリスクが存在することを政府の幹部としてはおそらく初めて言及しました。これは、私見ですが、仮に特例公債法が成立しなくても、銀行からの借入金、借換債・財投機関債・政府短期証券の発行でキャッシュフローを回すことが技術的には可能であるという見通しが政府内に存在している可能性があります。

 ただ、自治体向け融資は、新発国債の金利より高いと思われ、有力銀行にとっては、利息収入を増やすビジネスチャンスになる可能性もあります。が、ここで甘えると、日本で働き暮らすすべての人にとて、将来のためになりません。そもそも自治体から銀行支払う利息の原資は税金ですから納税者の生活向上にまったく関係ない歳出が水ぶくれしてしまいます。麻薬です。

 来週中の参議院財政金融委員会での審議入りと採決、本会議上程が必要です。なお、8月28日(火)の衆議院での採決では、昨年と異なり公明党が反対しました。しかし、自民党は欠席しており、議場で判断は示していません。

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ポスト輿石会長は誰? 民主党参院会長選挙が告示 輿石会長が不出馬の観測も【再追記あり】

2012年08月30日 19時33分30秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

(このエントリーの初投稿日時は2012年8月30日午後7時半)



 まさに「現代のソクラテス」選びと言えましょう。

 良識の府・参議院の第一会派である民主党・新緑風会は2012年8月30日(木)、参議院のドンといわれる輿石東会長(輿石東・民主党参議院議員会長)の9月8日の任期満了にともなう、新会長選挙を告示しました。任期は2014年の通常国会会期末(2014年6月20日頃?)まで。

 選挙管理委員は会派規約で「5人以上、10人未満」と決まっており、委員長は前川清成さん、事務局長は相原久美子さん。選管は参議院本会議場裏の一等地にある同会派会議室に開放的な雰囲気の立候補受け付け会場を設けました。立候補者は所定の用紙に、立候補者名と10人の推薦人名簿をつけて届け出ます。民主党代表選と違い、政見やプロフィールの添付の必要がないので、気軽なスタイル。届け出は31日正午まで。

 会長選挙は議員総会で、候補者の演説の後、会派所属議員88人の無記名投票で行われる見通し。仮に立候補者がいない場合は、勤続年数ごとに5班に分けて合計15人の役員選考委員会が設置され、9月8日までに議員総会に報告することになります。また、あす正午の時点で立候補者が1人の場合はその人が当選することになりますが、立候補の意思がある議員は複数います。ある立候補希望議員は「私も立候補したいが選挙管理委員なので立候補できない」と悔しさをにじませました。

 さきほども書きましたように、任期は2014年の通常国会会期末(2014年6月20日頃?)までですから、第46回衆院選後もしばらくは、参議院第一会派代表者でいる可能性が高く、次期政権でも日本丸の船長室の一角を占める重要ポストです。いったいだれが当選するのか、ワクワクドキドキ。目が離せませんよね。

 さあみんなで新しい時代の扉を開けて、希望の大海原に飛び出そうじゃないか!

 開けゴマ!

【追記 2012年8月31日午前7時】

 タイトルを初投稿時から変更しました。輿石会長は今の任期の中で、国民新党との統一会派の解消や新党大地・真民主、国民の生活が第一、みどりの風と3度にわたる会派離脱を招き、会派を小さくした責任をとり、自らは立候補しないとの観測があります。【追記おわり】

【再追記 2012年9月5日 午後3時半】

 民主党・新緑風会(民主党参議院議員)会長には、2012年9月4日(火)の議員総会で輿石東さんの5選が決まりました。役員選考委員会(直嶋正行委員長)が発案し、輿石さんが受諾しました。【再追記おわり】

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公明党友情の退席も野田首相問責 参議院野党は支離滅裂

2012年08月29日 21時32分19秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【参議院本会議 2012年8月29日(水)】

 定刻から7時間遅れの午後5時にスタート。

 閣法、衆法、参法が入り交じり、17本の法案が可決され、成立したり、衆院に送付したりされました。

 来夏の参院選に出馬せず引退することを発表した公明党の松あきら副代表が、隣席の民主党の小林正夫さんや後ろの席の同党の増子輝彦さんらと談笑し、ねぎらいの言葉を受けたようにみえました。

 この後、午後6時5分に野田佳彦総理がひな壇後ろから入場し、フラッシュを浴びました。

 内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案(180決議14号)が議事日程に追加されました。筆頭発議者は広野允士・国民の生活が第一参議院議員会長。ところが、またしても、同党は登壇しないまま、闇将軍のように会議が進みました。

 ここで、公明党19議員が突如立ち上がり颯爽と退席。私は事前に知らなかったので驚きましたが、野田さんと公明党の友情と受け止めました。同時に立ち上がり、氏名標を立てたまま、本会議場を去る姿は清く正しく美しかったです。

 決議案の趣旨弁明にはみんなの党の小野次郎さんが立ちましたが冒頭から「消費税増税法案は民主党の公約違反である」と演説し、自民党議員が戸惑っているように見えました。山田俊男ネクスト農相や、石井浩郎さんらが少し驚いた顔で後ろの幹部を見ているようにも見えましたが、参院自民党が集団で行動することはなく残念でした。

 反対討論には、民主党から武内則男・予算委理事が登壇。さすがは自由民権運動の発祥の地、高知・土佐の議員だけあって名演説でした。武内さんは事前に決議案をていねいに読んでいたようで、「自民党の諸君は提案理由をお読みになってどう感じられたでしょうか」「自民党が賛成するのは節操がなく、厚顔無恥の暴挙だ」と激しく指摘。そのうえで、ねじれ国会にもかからわず社会保障と税の一体改革を実現した野田首相を褒め、自民党に対して、「決議案の提出は3党合意を反故にするものであり、(3党首合意の)近いうちに信を問うとの言葉は白紙に戻りました」「本院での由緒ある伝統を守るようにお願いする」としました。

 自民党・たちあがれ日本を代表して賛成討論に立った川口順子さんは「参議院は野田総理を今後お迎えすることはない。例え来月民主党が野田総理を次の総裁(?)に選んでも」と謎の演説。そのうえで、「自民党は与党力を持っています。いつでも政権を担当する用意がある」と語りました。

 第21期・第22期参議院での問責政局のしかけ役だと私がにらんでいる、みんなの党の水野賢一幹事長代理も賛成討論に。みんなの党だけ趣旨弁明と討論で2人登壇しました。「消費税増税はけしからん。3党合意はけしからん」と投票行動をともにする自民党を牽制しながら、「野田政権が提案する議案は、今後閣法であれ、国会同意人事であれ応じられない」としました。ところで、水野さんは議運理事ですが、衆院の定数是正法案は衆法ですが、これは今後審議できるのか。これが今国会のポイントになりそうです。

 日本共産党の山下芳生さんは「野田政権は自民党とうり二つの政権になった」と切り出し、場内はまたしても騒然。いったい野田総理が攻撃を受けているのか、参院自民党が攻撃を受けているのか大乱戦国会に。さらに「公約違反と指摘しながら、(民主党に)公約を破らせた自民党と公明党に民主主義を語る資格はない」と長年のライバルで議場にいない公明党を批判しました。

 社民党の山内徳信さんは「沖縄の心を伝える」と違った角度から討論。

 みどりの風の谷岡郁子さんは「民主党内で改革しようと努力したが、万策尽きた」と打ち明けました。

 午後6時50分に討論終局。

 記名投票となりました。この中で、江田五月元議長、石井一さんに続いて、投票した参議院副議長で自民党員(会派離脱)の尾辻秀久さんが投票後に国旗に敬礼しないで降壇してしまったのが残念でした。

 さらに「提案者がいないとはどういうことだ!」という野次がたびたび飛ぶので見てみたら、みんなの党の小野次郎さんが座席にいませんでした。投票はしたようです。

 堂々巡りが終わり、議長が参事に集計を命じました。

 このとき、泰然自若としていた総理が大きく深呼吸をしました。

 投票総数220、賛成129、反対91で、問責決議は可決されてしまいました。総理大臣の問責は、福田康夫さん、麻生太郎さんに続き、3人目。民主党政権では初めて。今後の展開は分かりませんが、突っ走るしかないように思います。また、これで、参議院決算委員会は平成22年度決算の省庁別審査を終えていたにもかかわらず、全閣僚出席の総括質疑が不可能になり、今国会での決算是認は絶望的な状況に。来月には会計検査院から平成23年度決算(案)を受け取ることになり、参議院らしさを発揮することができませんでした。その他にも、失い物が多かったのは、野党であり、参議院であり。そちらの方が失う物が多かったと、私は感じました。

 午後7時5分散会。議場は空虚感。

 ただ、平田健二議長が散会を宣言した後に、民主党議員席から野田さんに「総理頑張れー!!」の声が複数上がりました。参議院民主党はこれまで、輿石東会長が怖いのか、小沢グループが怖いのか、こういった当たり前のような励ましが出てこないことが多かったので、少し安心しました。

 ところで、定数是正法案を参院で採決する前に、問責決議案を採決したのは極めて不思議なことです。どうやらこれは、参議院自民党内に「谷垣禎一総裁は解散に追い込めなかった」ということで、来月の総裁選を迎えたい議員がいるからではないかとの観測が浮上していました。

 また、早朝に鶴保庸介・議院運営委員長が「4会派に対して案文の一本化を指示した」という情報に対して、4会派がどこかわからない参議院議員が多かったという怪現象もありました。これは、自民党・たちあがれ日本、国民の生活が第一、公明党、みんなの党の4会派。これと、与党の民主党の5会派が議院運営委員会に理事や委員で出している会派だからという議会政治の当たり前のようなルールですが、「4会派」というのが分からない人が多かったようです。どうも、参議院自民党の脇雅史・国対委員長が強引すぎる人のようで、秋の役員改選で焦点になるかもしれません。 かさねがさね、参議院の現状は残念ですし、野党大分裂で、第3極どころか、第4極、第5極・・・が誕生しそうです。

 ところで、公明党は午前中の衆議院財務金融委員会で、斉藤鉄夫幹事長代行が質問に立ち、金融商品取引法改正案の採決に加わり、賛成しています。この法案は参院先議ですから、衆議院本会議を開いて、可決・成立させてほしいものです。9月8日の会期末まであきらめずに、しっかりと法律を仕上げる。それが民主党の責任であり、衆議院の責任だと考えます。

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一か八かの参・議運委員長解任動議で徹底抗戦すべきだ 問責審議は全閣僚が傍聴を

2012年08月29日 06時09分32秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]鶴保庸介・参議院議院運営委員長(自民党)

 どういうわけか、新聞では「首相問責へ」「事実上休会のまま閉会へ」「特例公債法案と定数是正法案は廃案」「永田町は党首選、総選挙モード」という論調になっているが、長くて暑い夏の国会で早く休みたいという記者心理が働いているような気がします。そもそも、定数是正法案は衆議院議員(樽床伸二さんら)が発議者で、参院の特別委員長も民主党です。もちろん、議院運営委員長が自民党の鶴保庸介さんで、理事会の過半数、委員会の過半数とも野党が握っていますから委員会付託も本会議上程も難しいわけですが、審議に大臣の出席は不要です。

 国会法で「12月召集」だった昭和時代の「自然休会」を考慮すれば、事実上過去最長となった第180回国会(常会)。最後だからこそ、最後の最後までしっかり、きっちり仕上げなければいけません!

 きょうにも、内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案が参議院本会議で採決されるようですが、これに先立つ議院運営委員会理事会で民主党は徹底抗戦すべし。

 参議院では、議運理事会は本会議の40分前、議運は20分前に開かれます。残り会期も少ないのですから、武闘派路線でやるべきです。定数是正をすることで総理の伝家の宝刀(解散権)を回復した上で、特例公債法は仕上げて、次の臨時国会の召集を11月くらいまで引き延ばせば、民主党も多少は浮上して、次の衆参選挙に望めるでしょう。

 問責決議案は、野党第3会派以降が「増税を理由として」、自民党と公明党がきのう「国家運営能力の欠如を理由として」提出しています。この野党間のまとまりのなさを間隙をつけないでしょうか。

 民主党議員が鶴保委員長解任動議を委員会に提出した場合、鶴保さんが席を退き、仮に自民党理事が委員長代理を務めた場合、民主党から賛成10票が入るでしょう。これに対して、自民党・公明党から反対10票で委員長を守るでしょう。これに、みんなの党の1票、国民の生活が第一の2票が雌雄を決します。しかし、両党の衆議院側の現職議員の地元には、たいてい自民党の現職や支部長がいます。また、みんなの党、国民の生活が第一は増税を問題視しているのに対して、自民党と公明党は増税に賛成しています。この間隙をついて、なんとか棄権や賛成に回ってもらえないでしょうか。とくにみんなの党は11議席あるので、この第21・22期参議院ではたびたび単独で問責決議案を出していますが、一度も本会議に上程されていないのではないでしょうか。これを事実上の衆参両院の国対委員長的存在である水野賢一理事がひとつ存在感を発揮する行動をしてくれるかも知れません。

 さらに本会議では、「野田問責」よりも院の構成に関する議案が先決となりますので、委員長解任決議案を連発し、延会させて、週末まで逃げ切るという手もあるでしょう。たまには参議院議員も長時間拘束されて働いてください。

 これが無理で、問責決議案が上程された場合は、野田内閣の衆議院側の閣僚は、全員が、本会議場向かって左側2階にある衆議院議員傍聴席で傍聴すべきです。この位置はほとんどのテレビ局のテレビで撮れると思います。さらに、民主党は決議案の反対討論に北澤俊美さんを起用すべし。すさまじい野次の中、参議院での問責政局を作り出した張本人である元野党武闘派参院国対委員長の北澤さんが丁重におわびをしながら、参議院のため、日本のために決議(案)を否決することをお願いします。懲罰委員長ですが、本会議での討論登壇は可能だと考えます。仮に可決されても、総理が続投し、参議院で審議できる素地をつくる必要があります。

 政局より政策へ、という人がいますが、会期末前の政局は不可欠だし、世論を反映するための「仕分け」になります。自公とそれ以外の野党の間にくさびを打ち込むチャンスにもなります。攻撃は最大の防御なり。「野田問責」は水際のこと(竹島、尖閣諸島)を国内政治に持ち込むことになりかねません。外患誘致と言っても過言ではありません。

 参議院のイチバン長い一日になります。

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江端貴子さん「特例公債法の早期成立に向けて参議院の同僚議員に強く働きかけてください」

2012年08月28日 23時59分59秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]特例公債法案の賛成討論に立つ、民主党の江端貴子さん、2012年8月28日、衆議院本会議、衆議院インターネット審議中継から。

(このエントリーの初投稿日時は2012-09-04 05:48:56)

【衆議院本会議 2012年8月28日(火)】

 会期末前週ということで、特例公債法案(180閣法2号内閣修正)と定数是正法案(180衆法22号)を強行採決し、参議院に送りました。

 衆・財務金融委員の民主党1期生(東京10区)の江端貴子(えばた・たかこ)さんは本会議の討論(賛成)で次のように演説しました。

 「本法律案の不成立により、国民生活、経済活動、市場等に甚大な被害をもたらし、国際的な信頼を失墜させることは、何としても避けなければなりません。また、本法律案の成立がおくれればおくれるほど、予算執行に支障が生じ、最悪の場合、かつて米国で現実に発生したように、政府機能停止といった事態を招くおそれもあります。我が国財政の現状から見ても、本法律案の成立は喫緊の課題であります」「政府・与党は、国民生活にとって死活問題であり、早期成立が求められる本法律案について、充実した審議を行い、野党の声に耳を傾けた修正も行いました。にもかかわらず、審議すら拒否し、本会議も欠席をされています。加えて、強引な国会運営と決めつけ、さらには、衆議院解散の確約がとれないといって一方的に審議を拒否するということは、まさに、国民の生活を人質にとった、国民不在の暴挙だと言わざるを得ません。このような、党利党略に執着し、国民生活を無視した行動に終始する姿勢は、到底国民の理解は得られないものと確信しております。良識のある議員各位におかれましては、本法律案に賛成されるとともに、早期成立に向けて参議院の同僚議員に強く働きかけていただくよう、心よりお願い申し上げまして、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)」。

 今任期中で、江端さんが本会議で演説したのはこれが2回目です。前回は第174通常国会で、マニフェスト4kのひとつ高校無償化法(174閣法5号、現在の平成22年法律18号)の趣旨説明の後の代表質問にとして演説しました。実はこの質問演説の中で江端さんは奨学金の活用に関して、政権交代前の与党・自民党と野党・民主党の議論と整合しない認識を示しました。このため、1期生を重要法案の質疑に登壇させる民主党の姿勢や、山岡賢次・民主党国対委員長(=除籍)の判断力が批判を浴びました。

 しかしながら、江端さんは今国会で、衆議院社会保障と税の一体改革特別委員として、1期生ながら子ども・子育て新システム法の3党合意にもとづく修正案提出者になり、参議院委員会でも答弁しました。今回の賛成討論は前回の雪辱を果たした上、「早期成立に向けて参議院の同僚議員に強く働きかけていただくよう、心よりお願い申し上げる」という、育ちの良さ、政治センスの良さを感じさせました。ぜひ、この言葉を残り会期の間、与野党国会議員にかみしめて欲しいものです。この法案や定数是正法案を成立させた方が、次の臨時国会の召集を遅らせることができます。これは与党にとって有利になります。

 江端さんの東京10区(池袋をはじめとする豊島区と練馬区の一部)は、前回に引き続き自民党の小池百合子さんとの女性対決になりそうです。小池さんは「回転寿司マダム」との異名を持ちますが、その政党遍歴は日本新党で野田総理より先輩で、新進党に参画。新進党解党後は自由党(小沢一郎党首)に行ってしまったものの、自自公政権投げだしに反対して半数超の同僚と保守党として政権を担ったことによりもので、筋が通っているし、小沢一郎被害者の会の仲間です。野党ということで、女の命である髪もセルフカット。小池さんのセルフカットは政権交代ある政治をハッキリと目に見える形で有権者に示しています。日本新党で92年の参院選で細川護煕代表と2人3脚で注目されて以来、常に政権交代ある政治の立役者だと感じます。そして、前回は菅直人・民主党東京都連代表の要請で民主党名簿に登載された小林興起さんも小選挙区に久しぶりに出馬するようで、三つどもえとなりそうな気配です。

 そういうなかで、区割りの変更がなければ、東京10区、池袋は人間が問われる選挙となりそうです。国会と選挙区が近いとはいえ、楽でないにもかかわらず法案の担当者としてときには3党で1人だけ参院の答弁席を任されたこと、与党内での立ち位置が違う国対の先輩から合計2度にわたって本会議登壇者に選ばれたこと。

 その2つの事実も、人間を問われる重要な材料となるでしょう。

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参議院のかくも長い空白

2012年08月28日 20時28分48秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 8月8日付のインターネット官報。7月分の官報の目録(1ヶ月分の内容の総目次)が載っていたのですが、あれ?本来は立法府がつくった法律の公布の項目から始まるのに、いきなり、行政府による政令から載っています。日本国憲法第7条は天皇の国事行為として第1項「憲法改正、法律、政令、条約を公布すること」となっているので、官報は公布法律から載るはず。そこで、調べてみたら、7月中は法律の公布が1本もなかったことが分かりました。

 参議院は6月21日(木)の当初会期末の直前にかけこみで法律を可決・成立させているので、延長国会の7月に成立法律がなかったことはさほど問題ではありません。

 しかし、今第180通常国会は、4月27日(金)の参議院本会議で法律が成立した後は、衆議院で5月8日に消費税増税法案などが審議入りしたことから、次に法律を成立させた参本は、6月15日(金)でした。そして、6月22日の衆本での不正常採決で民主党が分裂したことから、延長国会での審議は遅く、7月27日まで参本で法律成立はありませんでした。

 例年通り、衆議院で予算審査中の2月9日(木)から2月28日(火)まで。ここも例年通り、参議院はあまり働いていません。公務員給与など日切れ法案を扱う委員会のほかは、調査会ぐらいです。

 衆議院での社会保障と税の一体改革関連法案審査中の、4月28日(土)から6月14日(木)まで。これは長いゴールデンウィークです。これには国交大臣問責の影響もありました。(防衛相問責は、国会提出法案が少ないためあまり影響なし)。

 そして、延長国会直後の一体改革関連法の衆院での不正常採決にともなう、民主党分裂による、衆参での院の構成の変化。これを受けた、6月23日(土)から7月26日(木)までの早い夏休み。

 これで衆参で歳費が同額で、公設秘書人数も同じ。参議院の方が、与野党とも1議員辺りの委員長ポスト(議会雑費や公用車)は多いのですから、あまりにも参議院議員はおいしいとしかいいようがありません。

 国会がない間も、法案の仕込みをしたり、委員会で視察に行ったり、支持団体の会合で全国を回ったり、党務をしたりしているのは事実ですが、すでに次期選挙不出馬を決めている議員などは王様のような暮らしをマスコミに注目されないところでしているのが実態です。

 きょうの参院委員会の議題を見て、驚いてしまいました。例えば、海上保安庁法改正案、石油備蓄法改正案、在外公館職員給与法案、都市の低炭素化の促進法案、地域再生法改正案、構造特区改正案など、かなり前に、衆議院が参議院に送付した法案です。

 これをここまでたなざらしにしていたというのは見識を疑います。

 昔と違って、参議院議員であることを誇りにしている人は減り、当事者意識が低くなっていると感じます。ただ、2010年自民党初当選組を中心に、時間的にも移動手段なども余裕があるので、ていねいに勉強をしている人が多く、将来的には政務三役として期待できそうです。しかし定数242のうち、半分前後は遊んでいるというのが参議院の偽らざる印象です。

 参議院にとってイチバン長い夏になりました。

 ここで、問責をするようではおしまいです。

 そもそも、第180回国会では衆議院で内閣不信任案がすでに否決されています。さきに参議院で総理問責をして、それから衆議院で内閣不信任案を出して、与党が割れない限り、衆議院解散は考えられないと私は考えます。提出者がだれかは国民には関係ありません。

 とくに、自民党が早期解散を望むのなら、定数是正法案のうち、少なくとも区割り審設置法案の第3条(1人1枠方式)を削除する法律を成立させなければ、第46回衆院選は事後に一部ないし全部の選挙区で当選結果が無効になるでしょう。その一方で、特例公債法案を成立させずに廃案にすれば、政府・民主党は次の臨時国会を比較的早めに召集しなければいけなくなるので、じわじわと政府・与党を追い込むには良いかも知れません。しかし、珍しくあえて自民党側から物を見れば、内閣不信任案が否決されている以上、今国会で「解散に追い込む」ことは不可能です。報道によると、すでに選挙事務所を設けた衆院議員・支部長がいるらしいですが、来年8月選挙になったら、お金もスタッフ・コアメンバーの気力・体力も持たないでしょう。いかにして、政府・民主党を「伝家の宝刀を抜けない」ジリ貧の低空飛行を続けさせながら、「来年8月の任期満了に追い込む」のが野党の戦略です。だから、定数是正法案と特例公債法案を秋の臨時国会に先送りするのは野党としては正しい戦術かもしれません。しかし、野党間の足並みの乱れがどうなるかという点ではまだ波乱要因が残っていると考えます。

 きょうは、参議院環境委員会が開かれました。環境委員には、民主党の輿石東さん、みんなの党の水野賢一さん、日本共産党の市田忠義さんがいます。2時間弱の委員会でしたが、なんらかの密談があったかもしれません。

 実質的には残り5営業日ぐらいの感覚となった終盤国会。しかし、野党の足並みが乱れているので、民主党は「鶴保庸介議員運営委員長不信任決議案」を参議院本会議に出せば、野党の欠席で一か八か可決できるかもしれません。そのうえで、定数是正法案と特例公債法案を緊急上程して可決・成立させてしまうという手もあるのではないでしょうか。このままだと、第180通常国会の法案成立率は60%になっていまいます。昨年の第177通常国会は震災発生以降に追加の政府提出法案が相次いだにもかかわらず、岡田3兄弟国対(民主党の岡田克也幹事長、安住淳国対委員長、玄葉光一郎政調会長)は新規提出閣法が80%、衆法・参法が50%という高い成立率を結果として残しました。ことしは民主党政権始まって以来の首相が交代しない通常国会になりそうですが、この法案成立率が60%ほどの低成績になりそうです。

 80年前の二大政党制をみると、政友会が与党のときは、帝国議会での法案成立率は80%、民政党は70%ほどで、このため政友会の党勢が上回っていた時期が多かったようです。

 衆参ねじれとなった直後の第175臨時国会では、2本法律が成立しただけです。うち、1本は鉢呂吉雄・衆議院厚生労働委員長が「RFO延長法案」を自ら起草し、賛成多数で可決・成立させました。この後、鉢呂さんは、与党としては初めてとなる2度目の民主党国対委員長、短い期間でしたが経済産業大臣、衆院予算委員会筆頭理事、衆院社会保障と税の一体改革特別委員会筆頭理事と、まさに「議会の子」「ガチンコ相撲の突破力」で八面六臂の大活躍をしています。こういう「法律をつくる」という与党議員としての当事者意識が、民主党議員に一部欠けているのが、民主党政権失敗の本質だと考えています。

 月例経済報告で10ヶ月ぶりに景況が下方修正されました。9月中旬にはFOMC、日銀金融政策決定会合があるので、追加緩和があるかもしれません。経済対策は政府の仕事です。しっかりと9月8日までに参議院としての衆議院としての仕事をやり終えて、実りの秋に向かわないといけません。

 また、参議院決算委員会は平成22年度決算(案)の省別審査をほとんど終えています。しかし、総理が問責されたら、委員会での締めくくり総括質疑ができません。これは参議院の自己否定につながる可能性があり、同委員会の若手議員らに不満が募る可能性があります。

 党幹事長、参院会長らのハイレベル会談で、会期内の主要法案成立の道筋を付けるべきです。

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「野党は憲法違反的欠席だ」定数是正・削減・連用制法案が衆院倫理・選挙特別委員会で可決

2012年08月27日 17時59分51秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会 2012年8月27日(月)】

 先週木曜日と金曜日の強行採決は見送り、きょう月曜日の午前10時半から委員会を設定しました。

 議題は「内閣府衆議院選挙区画定審議会設置法改正および公職選挙法の改正法案」(180衆法22号)で発議者は民主党幹事長代行(衆議院会派代表者)の樽床伸二さん、総括副幹事長の逢坂誠二さんら。

 赤松広隆委員長らは、自民党の細田博之さんに「緊急是正0増5減法案」(180衆法27号)の趣旨説明を求めていましたが、出席は得られませんでした。

 樽床法案は、1人1枠方式(設置法の第3条)を廃止し、47都道府県の定数を0増5減(鳥取、福井、山梨、高知、徳島各県を定数3から2に減らす)し、定数を435にして、比例区を全国ブロックにし、その一部に連用制を導入し、2010年国政調査を小選挙区区割りに反映し、さらに次々回にあたる第47回衆院選から定数400にすることを附則に定めた法案です。

 昨年3月の最高裁大法廷判決、2010年国政調査、第44回衆院選の小泉郵政自民党、第45回の政権交代民主党でみられた民意の過度の集約(その都度投票)と強烈なスイングによる政治の不安定化を是正し、消費税増税とセットの身を切る努力、さらには2009民主党マニフェストを同時に達成する法案です。比例区がドント配分と連用制が混在するので少し複雑ですが、中小政党への配慮もあります。

 先週に続き、質問時間は各党に割り振られ欠席政党の質問時間は空回し(からまわし)されました。

 民主党からは今回も後藤祐一さんが立ち、「きょうの野党の欠席は憲法違反的欠席だ」と強くなじりました。これに先立ち、政府参考人(総務省自治行政局選挙部長)は、昨年3月の最高裁判決を国会が反映しないまま、第46回衆院選を実施した場合、事前の差し止め住民訴訟はできないものの、事後に無効とする判決は過去に2回出ており、その2回は事情判決となったものの、今回選挙無効判決が出ることは「可能性として必ずしも否定できない」と答弁しました。

 また、先週の質疑のなかで、平成の大合併により、基礎自治体ごとに選挙区が2つ以上になっている区割りについては、人口の増減と関係なく1つの基礎自治体に集める区割り変更はされないことが答弁で明らかになっています。この辺は選挙の投開票事務は、法定委託事務(自治体からみれば法定受託事務)なので、国費のむだづかい削減のためには、今回の区割り変更で反映させるべきだと私は考えていましたが、これは見送られることになりました。

 審議は全会派を一巡した11時58分にいったん休憩に。午後4時半に再開し、すぐに柿沼正明理事から打ち切り動議が提出され、全会一致で質疑終局を確認。その後の採決では、起立総員の全会一致で、本会議に送られました。

 この先ですが、衆議院の選挙区区割りに関係する法案を参議院の特別委員会(足立信也委員長)が修正協議するのは不自然なので、幹事長会談となり、民自、民自公、全党などにより修正され、今国会中に成立することになると考えられます。

 ところで、民主党の輿石東幹事長は、衆議院本会議で代表質問がされながら、内閣委員会で趣旨説明すらされていない国家公務員制度改革関連法案(労働協約締結権付与、人事院廃止、内閣府公務員庁設置、177閣法74~77号)は衆議院で継続審査になるとの考えを2012年8月27日の記者会見で語りました。この法案は筋が悪く、労働協約締結権付与法案だけにして、人事院は存続するように内閣は法案を手直しして、再提出すべきでしょう。

 いずれにしろ、あす、あさっての幹事長会談が必要になります。一方、党首会談の必要はまったくなく、残り2週間の国会議員同士の国会への厳しい声に対する毅然とした態度を求めます。

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韓国・中国に誤ったメッセージを送る「野田問責」をすべきでない 第180回国会 あと2週間

2012年08月27日 06時32分17秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]民主党国会対策委員長の城島光力さん、城島光力公式ホームページから。

 第180回国会(2012年1月24日召集)は、9月8日(土)の閉会まで残り2週間となりました。参議院での日程を考えれば、衆議院先議の重要法案は今週前半に参議院に送りたいところです。

 参議院には現在、みんなの党提出の「内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案」(180決議6号)と国民の生活が第一などが提出した「内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案」(180決議7号)の2つの決議案が提出されています。これに加えて、自民党などが新しい問責決議案を出した上で、水曜日にも本会議で採決するのではないかとの観測が出ています。

 自民党はきょう、衆参両院幹部会議を開き、あすには与野党参院国対委員長会談が開かれる見通しです。

 2012年8月10日、我が国の領土でありながら大韓民国が実効支配している日本海の島根県竹島に韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が上陸しました。また、中国・香港の活動家が我が国の領土である沖縄県尖閣諸島に不法入国するという事件が起きました。

  海上保安庁作製の日本近海海図をあらためて見ました。尖閣諸島に関して言えば、香港の活動家は台湾を越えて、尖閣諸島にやってきた格好です。公海・領海問題に限らず、中華人民共和国が台湾(中華民国)を国内問題として扱うためにも要衝だと見て取れます。さらに、あくまでも外交ゲームとして理解するために、韓国側から竹島を見れば、同国の東側には排他的経済水域がほとんどなく、山口県沖~島根沖~新潟・佐渡島~北海道沖へと続く「大和堆」(やまとたい)という広い大陸棚の海洋資源を考えれば、喉から手が出るほどほしい竹島(海抜135メートル)であることが分かります。

 これについて、玄葉光一郎外相は竹島の領有権に関して、国際司法裁判所(ICJ)に共同提訴することを韓国に呼びかけましたが、日本国総理・野田佳彦名義の親書が日本に郵送で返される事態になっています。オランダにあり、小和田恒・元外務事務次官(国連大使)が裁判官(元所長)を務めるICJですが、李承晩(イ・スンマン)ラインが発表された時点で、我が国のサンフランシスコ講和条約は締結されておらず、我が国は占領下にありましたから、ICJにゆだねるという手はあるはずです。これは、ポツダム宣言受諾を終戦ととるか、東京湾内戦艦ミズーリ艦上での降伏文書調印を終戦と受け止めるかという問題以前に、千島・樺太返還条約が国際法上明々白々に絶対有効である北方領土とは違う問題と私は考えています。ですから、韓国にとってもICJの判断にゆだねるべきだと考えますが、同国は実効支配の現状を続けたいのでしょう。

 総理たる野田さんは2012年8月24日(金)午後6時からの記者会見で「今月に入ってから、我が国の周辺海域において、我が国の主権に関わる事案が相次いで起こっており、誠に遺憾の極みであります。我が国として、このような行為を看過することはできません。国家が果たすべき最大の責任、それは平和を守り、国民の安全を保障することです。国の主権を守り、故郷の領土、領海を守ることです。私は、国政全体を預かる内閣総理大臣として、この重大な務めを毅然とした態度で冷静沈着に果たし、不退転の覚悟で臨む決意であります」と語りました。

 谷垣禎一総裁(シャドウ首相)率いる自民党が、参議院に「内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案」を提出することは、韓国と中国に誤ったメッセージを伝える可能性あり、やめるべきです。

 これまで、総理問責は、福田康夫さん、麻生太郎さんがやられています。2人とも首相の子孫です。野田さんは、富山・越中八尾の農家出身の自衛官の息子です。彼が今一人でこの領土に関する問題に毅然とした態度をとり続けているのに、自民党による野田問責は、韓国や中国の政府や国民・人民にあやまったメッセージを送りかねません。

 民主党の城島光力国対委員長は2012年8月26日のNHK日曜討論で「韓国大統領から天皇陛下への非礼な発言を背負って野田総理は一生懸命やっている。問責決議は相手(韓国大統領)に塩を贈ることになる」と強い表現で自民党を牽制しました。城島さんは同日付のブログ「城島光力日記」でも「野田総理は韓国大統領の竹島をめぐる行動と天皇陛下に対する非礼な発言への抗議と撤回を求めているときである。その総理に問責という神経がわからない。まるで韓国の大統領に塩を送るようなものだ。喜ぶのは李明博大統領である。まさしく問責は党利党略のみで国益を大きく損なうことは必至である」と書いています。

 城島さんが属する民社協会は、社民党(日本社会党)が北朝鮮と親しいのと対称的に、韓国と親しく拉致問題でも存在感を発揮しています。李明博大統領の兄は韓日友好議員連盟会長を務めた国会議員だったこともあり、26日のTBS時事放談では、自民党の森喜朗・元日韓友好議員連盟会長が言葉を濁しながらも、「谷垣さんはよく頑張っているが、ここで問責を出すと特例公債法案がどうなるのかよく考えるべきだ」と自制を促しました。

 このほか、参議院自民党1期生が一生懸命審査してきた、平成22年度決算(案)の締めくくり総括質疑に野田総理の出席が必要になりますので、今国会中に決算是認ができなくなる可能性が出てきており、若手に不満が出る可能性があります。

 野党・自民党が国会でのメッセージを間違えた例は過去にもあります。有効な国際法である、1910年の日韓併合条約(大日本帝国と大韓帝国の併合条約、あるいは日朝併合条約、朝鮮併合条約)から100年にあたる2010年、朝鮮半島とのゆかりも強い、横浜でのAPEC(アジア太平洋経済協力)で、菅直人首相が李明白大統領に対して、朝鮮王朝儀軌を返還する条約(日韓図書協定)を締結したのに、自民党の反発で、国会での条約批准が2011年にずれ込んでしまい「日朝併合条約101周年」という画竜点睛を欠く節目となってしまいました。この国会承認の遅れについては、公明党の山口那津男代表も訪韓時に、大統領に早く批准したいと述べています。そもそも朝鮮王朝儀軌は複数存在しています。それにもかかわらず、自民党タカ派は一方的な返還には応じられないと抵抗しました。ところが、返還先が大韓民国だけであり、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に返還するべきだ、という意見がまったく聞かれなかったのは残念なことです。

 一方、2012年8月24日、中韓国交樹立(韓台断交)20周年を迎えました。現在は経済連携協定(EPA)で共存共栄の関係にあるユーラシア大陸の中韓ですが、TPP(環太平洋パートナーシップ)には入っていませんので、ブロック経済化をめぐって、我が国外交は十分にこの点を配慮する必要があります。この中韓国交樹立(韓台断交)については、私は目の当たりにした光景があって、その半年後に、台湾を訪れた際に、空港の大韓航空のブースが電気が消えて人がいなかったことを見ました。韓台断交により、台湾はアジアに国交を持つ国がなくなってしまいました。キリスト教カトリックの総本山バチカン市国のほか、コスタリカなど中南米地域、南アフリカなどアフリカ地域などおよそ30の国だけでした。その後も断交が相次ぎ、20年前の韓台断交は、台湾が外交的に決定的に孤立した出来事でした。この当時台湾の大学に留学していた韓国人学生は突然の決定に居づらかったようですが、台湾人クラスメートは「関係ない」と慰めたようです。

 大韓航空はSanction(経済制裁)で運航をとめていたのでしょう。おそらくくだんの韓国人留学生は、台北-日本-ソウルという航路で帰省したのでしょう。もちろん、日本とも国交はありませんでしたが、日本航空の子会社が羽田空港から台湾便を飛ばしていました。このころ、台湾に進出していた日本の製造業は、すでに台湾の経済水準が高く賃金コストを下げられず、立ち往生することもありました。しかし、その高い経済・知的水準の集積が、2度の政権交代を経て、新しい国民党は中台EPAを実現し、相互的互恵関係で経済が繁栄しているようです。ちなみに、20年前は、日越国交正常化もされていなかった時代です。その後、我が国は英語化の遅れや通関手続きの煩雑さにより、アジアのゲートウェイとしての存在感を挙げられないまま新進党解党などによる「失われた20年」を迎えました。

 この20年のめまぐるしい変化に日本の国会議員はなぜ対応できないのか。それは知らないからです。中国と台湾の違いを説明できない国会議員などいくらでもいます。学力が低いのです。知的水準が低いのです。例えば、なぜ台湾では田中角栄は大悪人なのか。それはアメリカより先に、日中国交樹立(日華断交・日台断交)をしたからで、キッシンジャーも北京で田中角栄をにらんだそうです。そういったことも知らないお寒い現状が日本の国会議員です。私はこの学力不足を前々から極めて深刻にとらえています。

 この中韓国交樹立20年の節目に、「野田問責」をすることはあやまったメッセージを伝えます。それは外交官や支配階級ならまだいいかもしれない。両国の一般国民・人民にも伝わるんです。

 責任ある政治を野党・自民党に求めます。

 第180回国会の意思として、野田問責は絶対にすべきではありません。

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8月24日(金)のつぶやき その2

2012年08月25日 01時12分12秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革
11:28 from web
#kokkai 特例公債法案(180閣法2号内閣修正)の質疑は終局。討論に入りました。民主党の糸川正晃理事が賛成の立場から討論しています。まもなく採決されます。

11:29 from web
#kokkai 国民の生活が第一・新党きづなは反対の立場から討論しています。

11:31 from web
#kokkai 公明党も反対討論。

11:32 from gooBlog production
ブログと連携はじめました。 blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/

11:39 from web  [ 12 RT ]
【速報】財政運営のための特例公債法案が衆院委員会で可決しました。民主党が賛成。国民の生活が第一・新党きづな、公明党、共産党が反対。自民党、改革無所属の会が欠席しました。#kokkai

11:42 from web
#kokkai 定数是正と定数削減・比例一部連用制法案を審議している特別委員会は、野党の質疑時間を空回しした後、休憩となりました。今後の展開は分かりません。

18:30 RT from web  [ 3 RT ]
時事通信 - 民主案の採決見送り=衆院倫選特 dlvr.it/22xLtv #政治ニュース24
政治ニュース24さんのツイート

21:23 RT from Keitai Web  [ 1 RT ]
今日から、ツイッターを始めることとしました。よろしくお願いいたします。
小山のぶひろさんのツイート

by MiyazakiNobuyu on Twitter

8月24日(金)のつぶやき その1

2012年08月25日 01時12分11秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革
07:32 from Tweet Button
平成24年8月3日 岡田副総理記者会見要旨 | 平成24年 | 副総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ kantei.go.jp/jp/fukusouri/p…

09:05 from web
衆議院文部科学委員会では、民自公起草の法案として11月1日を古典の日とする、「古典の日に関する法律案」が提出されました。#kokkai

09:31 from web
#kokkai 衆議院政治倫理の確立と公職選挙法改正の特別委員会(倫選特)は定刻通り午前9時半、赤松広隆委員長が開会しました。しかし、自民党、公明党ら野党全党が出席していないため、暫時休憩し、理事が呼びに言っています。

09:32 from web
#kokkai 衆議院財務金融委員会は与党委員が着席。しかし、委員長に加えて、与野党とも理事がいませんので、理事会中か、理事が協議したりして、開会が遅れているようです。

09:44 from web
#kokkai 衆・財金委は14分遅れで、海江田万里委員長が開会を宣言。自民党ら野党が欠席戦術に出ているので、休憩し、理事が呼びに言っています。

09:47 from web
#kokkai 衆院倫選特は、自民党ら全野党が欠席のまま、議事を再開しました。

09:49 from web
#kokkai 倫選特の赤松委員長は、自民党の細田博之さんが提出した0増5減定数是正法案(衆法27号)の審議をしたいのだけれども、提出者から趣旨説明の申し出がないのが残念だ、と表明。そのうえで、民主党提出の定数是正および削減法案(衆法22号)だけを議題にして審議スタートしました。

09:50 from web
#kokkai 自民党、国民の生活が第一、公明党、新党きづな、日本共産党、社民党、みんなの党の欠席戦術はとても残念であり、無責任野党のそしりを免れることはできません。

09:55 from web
#kokkai 衆院財金委は総理出席のしめくくり総括質疑に入りました。昨年に続き、岸本周平さん(和歌山1区、民主党)が質問に立ちました。野党の質問時間が過ぎた後、お昼前後に強行採決になるんだろうと思われます。

10:13 from web
#kokkai 衆・倫理選挙特別委、民主党の小室寿明さんの質問が終わりました。自民党の質問時間になりましたが、自民党委員が出てこないので、むなしく時間が空回りしています。自民党よ、この国難にこれでいいのか? 恥を知れ!

10:15 from web
#kokkai 衆・財務金融委員会も自民党の質問時間になりました。しかし、自民党委員が現れません。野田首相らが手持ちぶさたで待ちぼうけをしています。

10:29 from web
#kokkai 自民党が欠席戦術をしている財金委では、空回し中に、民主党の泉健太、糸川正晃両理事が安住淳財務大臣と打ち合わせを兼ねて談笑中。なぜか、野田総理は一人で腕組み。こういうところに、総理大臣の孤独を感じます。

10:31 from web
#kokkai 空回し中に、総理のところにいって、肩を揉む、植木等さんのようなサラリーマン議員がいてもいいと思います。

10:39 from web (Re: @nanika0P [ 1 RT ]
お言葉を返すようですが、今国会は再来週まで。きょう衆院委員会を通し火曜日の本会議で参院に送らないと法案は廃案。特例公債法案が廃案で閉会したら、長期金利が上昇し私たちの生活、国内外の金融に影響が出ます。無責任なのは、自民党、公明党です。RT @nanika0P #kokkai

10:40 from web
#kokkai 衆・財金委は、国民の生活が第一が出席し、大谷啓さんの質疑が始まりました。

10:51 from web
#kokkai 衆・倫選特は国民の生活が第一・新党きづなが欠席のまま審議時間空回し。続いて、公明党も欠席のまま、空回しが続きます。

10:52 from web
国民の生活が第一・新党きづなは、特例公債法案(財金委)は出席、定数是正そして削減法案(倫選特)は欠席という対応をとっています。#kokkai

10:56 from web
#kokkai 公明党の竹内譲さんが質問@衆財金委の特例公債法案。「まず強行採決に反対。このままでは参議院で否決・廃案になる」と総理に質問。公明党も、財金委は出席、倫選特は欠席という対応になっています。

11:09 RT from web  [ 1 RT ]
時事通信 - 特例公債法案を採決へ=衆院委、自民は欠席 dlvr.it/22sVFw #政治ニュース24
政治ニュース24さんのツイート

11:09 RT from web  [ 1 RT ]
読売新聞 - 衆院選改革、民主が自民批判…野党は委員会欠席 dlvr.it/22sYkl #政治ニュース24
政治ニュース24さんのツイート

11:11 from web
#kokkai 衆財金委は日本共産党の佐々木憲昭理事が質疑。「採決(予定)に抗議する」半面、衆倫選特では、日本共産党は欠席しており、空回しになっています。

11:12 from web
【速報】公明党の竹内譲・衆院財務金融委員会理事は、「このままでは特例公債法案に反対せざるを得ない」と述べました。公明党が参院でも反対した場合は、自民党も賛同する可能性が高く、法案の成立が厳しい情勢になります。#kokkai

11:13 RT from web  [ 94 RT ]
【お知らせ】野田総理は、本日18時をめどで記者会見を行う予定です。
首相官邸さんのツイート

11:26 from web
#kokkai 衆院財務金融委員会、ここまで民主党、国民の生活が第一、公明党、日本共産党が出席して質疑をしました。半面、衆院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会では、民主党以外はすべて欠席しています。自民党は両委員会とも欠席しました。

11:26 from web
#kokkai 衆院財金委で打ち切り動議が出ました。

by MiyazakiNobuyu on Twitter

正義は完全に我が党にあり 特例公債法案、衆院財金委で可決

2012年08月24日 12時31分57秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【衆議院財務金融委員会 2012年8月24日(金)】

 召集日に提出され、2月21日(火)の衆議院本会議で趣旨説明と代表質問があった「特例公債法案」(180国会閣法2号内閣修正)がようやく委員会を可決しました。

 総理入りのしめくくり総括質疑では、民主党から岸本周平さんが2年連続で登場。

 この後、自民党の質疑時間になりましたが、出席を得られず、やむを得ず、質問時間を流す空回しとなりました。

 次に、国民の生活が第一(新党きづなと統一会派)の大谷啓さんが出席して、質問。

 続いて、公明党の竹内譲理事(第46回衆院選近畿ブロック公認の予定候補者)が登場。新進党同期生である野田佳彦首相に「強行採決には反対。このままでは参議院で否決・廃案されてしまいます。参議院で否決された場合は、野党の責任でしょうか」と問い質しました。「子どもっぽいやり方だし、内外の経済界に影響を与える」としたうえで、「総理を見損なったし、反対せざるを得ない」。

 次にこの委員会のキーパーソンである、日本共産党の佐々木憲昭理事が「採決に抗議する。参院で否決・廃案になるという強硬路線はやめなさい。ある人に言わせると、これは自爆テロだ」と強い調子で非難しました。

 つづいて、改革無所属の会の木内孝胤議員が欠席し、空回し。

 午後11時27分に、民主党の糸川正晃理事が打ち切り動議を提出し、採決の結果、質疑終局。

 討論では、民主党の糸川正晃さんが賛成、国民の生活が第一の菅川洋さんが反対、公明党の竹内さんが反対、共産党の佐々木さんが反対しました。

 この後、採決。

 民主党が賛成。国民の生活が第一、公明党、共産党が反対。自民党、改革無所属の会が棄権し、特例公債法案は賛成多数で可決しました。

 自民党は欠席し、無責任野党ぶりを発揮しました。法案は28日(火)の本会議で参院に送られ、参院本会議で趣旨説明のうえ、財政金融委員会(尾立源幸委員長)で審議のうえ、今国会中に成立させることがすべての国会議員の責任です。

 この半年間に、財金委員会は十分な審議を重ね、内閣修正が入った後も、参考人質疑をしました。自民党らが求めた年金交付国債を年金特例債にとりかえる内閣修正について、財金委・厚労委連合審査を提案していましたが、これはできませんでした。しかし、このままでは参院で通らないと主張する野党ですが、この法案はそもそも、「特例公債を38兆円発行する」ということが書いてあるだけの法案です。文字数はわずか400文字ちょっとで原稿用紙1枚余りの短くシンプルな法案です。ですから、この法案は「1文字で1000万円を動かす」法案で、村上春樹もビックリの売れっ子作家ぶりで、財務官僚が勘違いしてしまうのも分かりますが、これ自体はあまり政策的な意味合いがある法案ではありません。それを半年間経って採決して、日頃から傾聴に値する竹内、佐々木両理事が「参院で通らない」ということだけをしめくくり質疑の反対の理由として述べるのは残念なところです。

 ですから、この法案は、参議院で修正協議をする余地もあまりありません。ぜひ参議院で可決・成立してほしいし、ダメならダメで、継続審査ということになるしかないのでしょう。当然にして、総理が野党と何か取引をする必要はまったくありません。

[お知らせ]

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[お知らせおわり]

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それから

2012年08月24日 05時58分08秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]安住淳さん、安住淳公式ホームページから。

 21日の岡田克也副総理の記者会見、この日は私は出席していなかったのですが、会見録をみると、朝日新聞記者との間で面白いやりとりがありました。

岡田副総理記者会見録から引用はじめ]

記者

 朝日新聞の伊藤です。岡田副総理のコラムに、「一体改革の成立の瞬間に安住大臣とお話しして、『奇跡のようなものだ』ということを話した」というくだりがあったんですけれども、実際振り返ったときに、つまり本当にもうだめじゃないかと、成立しないんじゃないかと思ったというのは、どの場面とどの場面だったんでしょうか。

岡田副総理
 私は最後は必ず成立するというふうには思っていましたが、やはり三党合意、これがなかなか前に進まないと。特に公明党が慎重姿勢という中で果たして合意ができるかどうかという場面と、最後の政局的に自民党の中でですね動きが出て、本来の良識ある対応が失われかけたという、この二つじゃないですかね。しかし、私はやはり自民党も長らく政権の座にあった党として良識が必ずあろう、通るだろうというふうには思っておりましたので。
 実際「奇跡」と言ったのは財務大臣のほうで、私もそれに同意はしましたけれども、割と私は最後は何とかなるという楽観主義者です。

[引用おわり]

 8月10日(金)、安住さんが岡田さんに「奇跡のようなものだ」と言ったそうです。これは驚きましたね。あの政局感バツグンのアニキが「奇跡のようなものだ」なんて。私は5月8日の審議入り以来、6月8日の3党協議スタート、会期延長後の6月26日の衆議院での採決、内閣不信任案提出を経て8月10日の成立を迎えるまで、一貫して100%絶対に成立すると信じて疑わなかったんですがね(^_-)

 楽観主義者である岡田さんは昨年の第177通常国会の民主党幹事長として、衆参ねじれについて何の根拠もなく「まあ、なんとかなるものだ」と語りました。その結果、当初の国会法改正による両院協議会改革は失敗しましたが、玄葉光一郎政調会長、城島光力政調会長代理、安住淳国対委員長とともに、3党合意(民主党、自民党、公明党の3党協議)体制をつくり、なんとかここまでやってきました。 

 その安住さんが「奇跡のようなものだ」と言ってしまうところが大蔵大臣、財務大臣としての責任の大きさなのかも知れません。それが与党の厳しさです。しかし、次からは安住さんも「まあ、なんとかなるものだ」が口癖になるでしょう。

 震災後本格的な当初予算となる平成24年度予算を編成から成立まで担当。それに先立つ、戦後2度目の4次補正(平成23年度4次補正)を成立させ、超大型歳入法案である消費増税法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律 平成24年法律68号)を成立させました。しかし、まだ画竜点睛を欠く部分が一つだけあります。歳入法案のうち、日切れ指定である「新・特例公債法案」(180国会閣法2号、内閣修正)がいまだに衆議院に残っているということです。それと年金交付国債を年金特例公債に切り替える国民年金法改正案(第180閣法26号内閣修正)と、補正予算案(未提出)が必要になってきます。

 民主党代表選で代表が交代する事態になれば、9月下旬にも第181臨時国会を召集しなければなりませんが、新・特例公債法案が未成立の場合も、10月の早い段階で臨時国会を召集しなければなりません。言うまでもなく、国会開会中は内閣支持率が下がり、野党の支持率が上がるというのは、小泉劇場を除けば、セオリーです。仮に代表交代ともなり、9月下旬から、首班指名、組閣、所信表明演説と代表質問、衆参予算委員会の集中審議、各常任委員会での大臣所信聴取と一般質疑となれば、あっという間に政権の足並みは崩れ、スキャンダルも飛び出し、第45期衆議院の民主党政権は悲惨な結末を迎えます。

 そのためには、新・特例公債法案は何が何でもこの会期中に成立させ、秋の臨時国会召集は11月ごろまで引き延ばし、冒頭から補正予算審議に持っていくしか、ありません。たとえ狭い道、ナローパスでも、醜いばかりに政権にしがみつき、第46回衆議院選挙で、倒れるにしても前に向かって倒れないと政権交代ある政治は一からやり直しです。

 頼もしいことに、きょう8月24日(金)、民主党は衆議院財務金融委員会で、新・特例公債法案(180国会閣法2号、内閣修正)、衆議院倫選特(政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会)で内閣府衆議院選挙区画画定審議会設置法改正および公職選挙法改正案(第180衆法22号)を強行採決します。これは責任与党として100%正しい。罵声を浴びせられスーツのボタンを引きちぎられても、日本を前に進めないといけません。民主党の理事・委員はまったく憂いもなく、事を進めなければいけません。第45期衆議院で、多くの国民の信頼を失いながらも、民主党が政権を担った証になる一つの歴史的な日です。これが与党なんだ。

 少し話が先になりますが、9月22日をもって、輿石東幹事長の任期が切れます。いろいろ言われますが、輿石さんはなかなかの人物です。物事が対立しているときに、少しの冷却期間を置くという方法は、私も記者会見で話を聞いていて、なかなか、人間という集団において参考になる手法だと感じました。

 しかし、次の任期では確実に第46回衆院選と第23回参院選を戦う執行部になります。前回の衆院選のとき、マニフェスト策定の責任者だった直嶋正行政調会長もしっかりやっていましたが、農業のFTAをめぐる記述などに関して、一部衆議院議員からは、「やはり参議院議員だと衆議院で闘っている人の気持ちが分からない面がある」との指摘があったのは事実です。直嶋さんは謹厳実直なため、マスコミで批判されることはありませんでした。ベテラン衆議院議員は、なぜか政調副会長の細野豪志さんのせいにしたりしていました。細野さんを新自由主義者だと決めつけるベテランもいましたが、細野さんは実際には農業政策に強く、新自由主義者ではないと私は思いますが、直嶋会長には文句を言いづらいので、当時30歳代だった細野副会長のせいにしてしまうという、民主党らしいイジメ体質だったと感じます。

 そこで、次の幹事長ですが、民主党員のみなさんは誰がいいと思いますか?

 大臣はできる限り長くやってほしいところですが、実は議会政治の先輩で国会開設750周年が迫る英国でも内閣改造はほぼ毎年行われています。エリザベス女王治世の60年間で、首相は12人しかいません。また、財務卿(財務大臣ですが、唯一呼び名が大臣でも長官でもなく「卿」を使う特別な存在)はさすがに毎年交代はせず、長期に務めます。当然のことながら、玄葉光一郎外相は引き続き務めるべきでしょう。

 ただ、選挙対策、国会対策、資金対策、マスコミ対策、若手の面倒をみられる幹事長としては、安住淳幹事長で第46回衆院選・第23回参院選を迎えるのが、現実的だと考えます。当初予算を編成から成立までやりましたし、巨大歳入法につづいて、日切れの平成24年度の特例公債法を成立させれば、卒業試験は十分に合格です。さらに定年制を越えて、公明党の漆原良夫さんが第46期衆議院の候補予定者になりましたが、漆原国対委員長は「安住ちゃんはかわいい」とインタビューで答えています。

 ちょっと気の早い話をしましたが、まずは区割り審設置法改正および公選法改正案と新・特例公債法案を強行採決して、参議院に送るべきです。否決できるなら否決してみろという態度で大丈夫でしょう。

 まあ、なんとかなるものだ。

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