「平成29年度決算」の締めくくり総括質疑があり、自公のみの賛成多数で是認されました。次の本会議で、是認へ。3時間45分間で、2か月ぶりのテレビ入り質疑がありました。
自民党は議院運営委員会筆頭理事の磯崎陽輔さんが登場。議運理事がテレビ入りの委員会に登場するのはよくあることです。2014年7月1日の解釈改憲で法治国家の底を抜いてから初めての改選を迎えます。東大でも自治省でも相手にされていませんから、絶対に落選させねばならない政治家第一位。
年金。先日金融庁が設置する審議会が「年金のほかに金融資産が2000万円必要だ」との報告書を出し、先週から野党を中心にSNSなどで沸騰しています。これをよく読むと、「年金だけだと夫婦で月5・5万円足りない」というありがちなフローで、ストックの計算のしかただけで、目線が変わっているだけだと、私は考えます。この「月5・5万円足りない」ということで、国土交通省が総裁、財務省が副総裁ということで、住宅金融支援機構がむりやりフラット35による持家信仰を広めてしまいました。平成のあいだに、デフレなのに、持ち家率は2割増し。この信仰を、金融庁と財務省が所管する、税制優遇付きの金融資産への毎月積み立て投資に振り向けたい、という省益にもとづく話だと私は考えます。
安倍晋三首相は「100年安心プラン」という言葉を連発。2004年年金国会の「マクロ経済スライド」で、公明党の厚生労働大臣が、制度が100年安心と発言。それが、2007年の消えた年金国会で、年金記録が消えたのに100年安心とは何事、ということに世論がねじれました。今思うと、財政・物価・賃金で支給額が下がるから「安心」というのは国庫上から目線にほかなりません。この辺、当時の民主党の岡田克也代表の肯定論と、民主党の山本孝史・厚生労働委員会筆頭理事(2007年没)の否定論のどちらが正しいか。時々私も考えますが、結論はありません。やはり、「消えた年金記録」は公文書改竄の始まりですから、情報が無くして民主政治は存在しえないということです。
日経新聞のスクープがあり、5年前の財政検証が2014年6月3日に発表されたのに、ことしは発表されないのは、参院選への忖度ではないかとの報道。年金局長は「所得代替率の計算に手間取っている」とし、首相は「政治的に出す出さないと決めているわけではない」としました。
蓮舫さんは消えた年金の「最後のお一人までお支払いします」との第1次安倍首相の虚勢について、首相から「必ずしも最後まで突合できたわけではない。申し訳なかった」と謝罪しました。厚労相は「5000万件のうち3200万件は解明した」とし、12年経ったのに、「未統合記録の解明に向けて」、対象者は申し出てほしい、とねぼけた答弁をしました。
大塚耕平さんは、年金の70歳への繰り下げなどを質問。首相は「繰り下げても、給付額が41%上がるのだから、財政的にニュートラルだ」としました。これについてですが、1か月ほど前に、岡田克也さんは、週例のオンレコ記者懇談会で、年金や定年の繰り下げについて、「首相は年齢をいろいろ言って、一生貰わない選択肢をつくっているだけだ。一生貰わない人はおそらく2~3%だろう」とし、厚生年金は報酬月額満額でも、上限月80万円くらいの人まででしょうから、資産などと比べれば格差は僅少。そのため、岡田さんは「財政的にはニュートラルだ」とし、仮に2~3%一生貰わない選択をする人が出ても、国の財政的にはたいして改善されないとの考えを示しています。他社も書いておらず、岡田さんのご示唆を自分の中で囲い込んでしまっていてはいけないのですが、ちょっと、このところブログの文章量が減っていました。録音やノートはありますので、参院選を前に、まとめて書こうかと思います。ですから、きょうの質疑は、非常に首相の詭弁に乗っかった議論であり、定数が大きい県の現職参議院議員ならば、もっとおおらかに世の中を見てほしいところだという感想を持ちました。
前夜、大阪府・大阪市・堺市の首長トリオ制覇を初めて実現した、維新。東徹さんは「参議院憲法審査会は過去5年間で8回しか開かれていないのに、運営費は年1・2億円かかる」と指摘。安倍首相(自民党総裁)は「テレビを見ている国民のみなさんは、運営費がそんなにかかっているのか、と思ったかもしれない」と語りました。
いろいろ書いてまとまらないのですが、まずは、消えた年金記録の解明がいの一番。そして、この15年間の金融・財政政策の大きな変更がありましたので、100年安心の「安心」を、国庫の持続可能性、生存保険としての年金というよりも、毎月の最低保証機能をとりこんだ「安心」の方向性に与野党とも微調整していく段階かも知れません。7年前に、スウェーデンモデルという話をした人もいましたが、あちらには、「住宅加算」というものがあります。家賃分を上乗せ支給することで、無理にフラット35をくまないでいい、自由な国に、国交、金融、財務、厚労各省は考え方を変えていくべきでしょう。
【衆議院 同日】
審議はありませんでした。
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