【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

8月15日は「終戦記念日として定めていない」と政府、参議院議員の質問主意書 3年前の枝野幸男さんの誠実な記者会見回答を全文掲載

2024年03月05日 17時48分33秒 | その他
[写真]枝野幸男さん、3年前の2021年10月27日、千葉県我孫子市で、宮崎信行撮影。

 政府は先月22日の閣議で、斎藤健一郎参議院議員の「戦記念日が八月十五日であることに関する質問主意書」に対する答弁書として「お尋ねについて、政府として「終戦記念日と定め」ているものではない。」と閣議決定しました。

 主意書は「第二次世界大戦で日本と敵対した連合国(アメリカ・フランス・カナダ)では、日本がアメリカ戦艦ミズーリ号上で降伏文書へ調印した九月二日を対日戦勝記念日としている。日本でも国家として公式に「終戦」となったのは降伏調印をした九月二日である。しかし、一九六三年五月十四日、池田勇人内閣での閣議決定により同年から八月十五日に政府主催で全国戦没者追悼式が行われるようになった。更に、一九八二年四月十三日に、八月十五日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とすることが鈴木善幸内閣で閣議決定された。以上を踏まえて、以下質問する。なぜ、八月十五日を終戦記念日と定めたのか、経緯を含め説明されたい」としていました。

 答弁に憤慨したのか、再質問主意書が提出されました。

 私はこの件について、三十代ぐらいからずっと疑問を持っていて、8月15日に厚労省所管の遺族が呼ばれるのに、総務省所管の傷痍軍人が呼ばれないのは変だとずっと思ってきました。が、終戦時に国民学校年長組だった両親からしっかり頭を下げなさいとの同調圧力にしたがってきました。

 この件は、2021年7月29日の「旧・立憲民主党」の記者会見で、枝野幸男代表に、いつも通り質問通告なしに聞いてみて、得心いく回答をもらいました。当日は「9・15結党」に向けた取材への関心が強くて、SNSでライブ配信への一部反響がありつつも書き起こしなどを流してしまったのが、ちょっと頭の片隅にひっかかっていました。旧立憲のホームページに書き起こしがありましたので、全文載せたいと考えます。政府も自民党もそっけない答弁しかないなかで、元内閣官房長官が非・記者クラブの私にも丁寧に回答できる目に見える世界だけでも、立憲が自民党よりもオープンであることは間違いないところです。

【フリーランス・宮崎記者】
 8月15日に例年開かれている全国戦没者追悼式に関して伺いたい。おととい総理が厚労省社会援護局長とかなり長時間話したようだ。昨年は半分オンラインという形になったが、ことしは各県1人ずつ遺族代表ということで、青森県や秋田県などは既に1人も送らない方向になっているようだ。
 8月15日に関して、そもそも8月15日を終戦の日とする根拠は特段我が国の法律の中になく、ポツダム宣言を受諾するという昭和天皇陛下の国内発表があったのが8月15日の正午で、8月14日をポツダム宣言受託の日とする考え方もあれば、ソビエトなどは9月2日のミズーリ号での降伏文書調印を終戦の日とし、そもそもヒトラーが自殺したのは4月、沖縄の終戦は6月、イギリスなどは1945年の7月にもう解散・総選挙をやっていて、韓国は8月15日が光復節、インドネシア独立の祝日は8月17日。8月15日にそもそも法的根拠がない、鈴木内閣の決定だけだといったところで、遺族年金といったことも含めた何らかの政治的思惑があったのではないかと言われている。
 ことしの8月15日、現在、天皇皇后両陛下と閣僚は日本武道館に集まる前提で準備が進んでいるかと思うが、今後も8月15日の戦没者追悼式が、ウィズコロナで日本だけのグローバリゼーションとかも見直されつつあるが、やるべきなのか。あくまでもことしの8月15日は、オンラインという形になるかもしれないが、両陛下そして閣僚が日本武道館に集まる形がよいとお考えかどうか伺いたい。
【代表】
 まず、法的にはいろいろな見方があるというのも確かかもしれませんが、少なくとももう75年以上にわたって、8月15日をもって少なくとも国内的には日中・日米戦争が終結したということが共有されているわけですし、それは他の選択というか法的な根拠のとり方もありますが、鈴木内閣において終戦の詔勅が陛下の名で出されているのも8月15日で間違いありませんので、私は少なくともこのことを社会的な前提として8月15日を我が国が戦争をやめて再出発をした日とするということに何の問題もないと思っております。
 そして、この手の式典をどれぐらい長きにわたって続けるのかということについては、いろいろな議論があると思います。これは党の見解ではなくて私の見解としてお聞きいただきたいと思いますが、二度と戦争はしないというのが、あのとき、特に当時現役であった先輩世代の皆さんの強い思いであり、それが今に引き継がれています。したがって、次に戦争をしないという約束が守られている限り、ずっと続けていけることが、まさにその二度と戦争はしないという誓いが守られていることそのものの証だと思います。8月15日を続けられる状況をつくっていくということが必要だと思っております。
 その中で、ことしどうするのかということについては、(新型)コロナの感染状況、特に参列される方はどうしても高齢者が非常に多いという中において、ワクチンは一方で高齢者では進んでいるとは言えますが、そこはことしについてどうするのかということは、それこそ本来であれば感染状況などについての状況を一番把握している政府において責任を持って判断をいただきたいと思っています。

以上です。

参議院予算審議は不透明な自民党のお金をめぐる「算数ドリル」へ 

2024年03月05日 17時27分23秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]改選は4年半後だが令和元年第15号房総半島台風(気象庁の名称)の地元「南房総半島」(半島振興法での名称)への移住を促す青木愛・立憲民主党参議院議員の日常活動用ポスター(掲示責任者の住所はマスキング)。東京12区の特定郵便局長ファミリーの商店の壁面に張ってありました、今月、宮崎信行撮影。

【参議院予算委員会 きょう令和6年2024年3月5日(火)】
 「令和6年度予算案」は3日目で、基本的質疑2日目。全閣僚出席のテレビ入り中継、当面はきょうが最後になります。

 衆の初日から登場している星屋和彦国税庁次長(平成元年大蔵省)が参でも登場。衆参与野党全議員に配られる旧文通費月100万円は歳費法で「調査研究広報滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない」と規定があるので非課税だということでした。この歳費法第9条第2項は各党のメニューに載っていないと思いますが、参考になると思います。

 「ミスター・軽減税率・インボイス」である公明党の西田実仁参議院会長は「傲慢のそしりを免れることはできない。自民党の派閥問題はあってはならない」とのポジショントークを打ち出しました。

 前日、蓮舫さんが新藤義孝さんが総支部のお金のほとんどを「その他政治団体・新藤義孝後援会」に寄付しており、支出の91%が隠蔽されていると指摘しました。

[画像]新藤義孝さんの総支部=選挙イヤー=からその他政治団体「新藤義孝後援会」への5000万円近い寄付、埼玉県ウェブサイトから、宮崎信行がスクリーンショット、マスキング。

 この件について、立憲の岡田克也幹事長はきょうの定例会見で「弾が分散しないようにしてきた」とし、「大臣の態度も悪い」と参では追及を続けることを明かしました。新藤さんの問題は衆でもわずかに取り上げられました。茂木幹事長、小渕選対委員長らも、指定資金管理団体ではないその他政治団体を使った不透明なお金の流れが指摘されてきました。小渕さんは非課税での相続のために複数団体があったかと思います。新藤さんを階段にして茂木さんへの攻撃もしていくとの思惑もあると考えられます。新藤さんの政治資金をよく精査したところ、党本部から平時は年1300万円、選挙イヤーは年2700万円が交付されています。選挙イヤーは私設秘書5人増員できるほどの巨額で、その人件費は総支部で氏名・人数不明のまま支出できますが、とにかくほとんど全額を後援会に移すという形式が常套手段だと、本人及び秘書団が無意識にしていたのだと思われます。

 また、きょうの質疑の中で、政党助成法(平成6年)の「人口1人当たり250円」の条文の政治的な立法事実である「コーヒー一杯の民主主義」について、新自由クラブ・進歩党の田川誠一さんがその言葉を使ったときは、もともと、個人献金年250円という意味だったとの当局答弁がありました。これは私もまったく忘れていた印象ですが、政党助成法ができたころの政治背景に比べると、個人寄付・クラウドソーシングは定着してきた印象なので、立ち止まって考えてもいい視点に感じました。

 いずれにせよ、長い政局は、ニューリーダー「安竹宮」で一人だけ自民党総裁になれなかった安倍晋太郎さんが二度目の総裁選を前にして67歳で亡くなったので、17億円という巨額の政治資金が残ったところから始まっています。安倍晋三後援会の初代秘書たちはその後全員クビになって、秘密を知る人が安倍洋子・晋三両氏だけになったとされています。自民党系の秘書のみなさんも、いざとなれば、ボスは守ってくれませんから、働き続けて、第50回衆院選でサボタージュでもして、すっきり転職するのもいいかもしれません。

 自民党の役員連絡会では、関口昌一参議院議院会長が「一日も早く成立させたい」と語りつつも、松山政司幹事長が「年度内成立が確実になったが、参議院も、関口会長を先頭に頑張る」とフォローしたようです。自公の足並みの乱れの兆しはなく、与党の賛成多数で可決し、成立する見通しです。野党としては、身に見えないお金の世界について、連日算数ドリルを課していけば、そのうち粗が出る閣僚・答弁執筆者が出そうです。


[画像]山本太郎さんに答弁する新川浩嗣・主計局長(昭和62年大蔵省)、参議院インターネット審議中継から宮崎信行がスクリーンショット。

 れいわ新選組の山本太郎さんは、能登半島地震で首相の被災地入りの遅れをつきました。国立国会図書館専門調査員は、ニュージーランド首相、台湾総統、トルコ大統領らは発災当日から3日目までに現地入りした事実を答弁しました。国交省航空局長は能登空港が発災後14日間で天候のため離着陸できなかったのは3日間だけだと答弁しました。予備費に関しては、第4次の安倍首相秘書官だった新川主計局長が答弁しました。無能な首相による人災だったことが2カ月経ってようやく明るみに出てきました。

 質疑の後、委員派遣に関して、報告がありました。沖縄本島でこども子育て、ITの現地視察後に2日目は石垣島にわたり陸自を視察し、竹富町役場、石垣市役所を訪れたとしました。「沖縄県で1泊2日」なので遊びかと思っていましたが、沖縄本島から石垣島にわたる有意義な視察だったようです。

 一方、自民党の役員連絡会(月曜日の役員会と違い総理総裁は加わらず)では、茂木幹事長が冒頭「日経平均株価が4万円を超えた」と発言しました。私たちが属する国際金融秩序が、中国・恒大集団の倒産からデカップリングされていることから、間接金融では影響なく、直接金融の投資マネーが中国を避け日本に投資しているからだと思われます。上場来高値を付けている銘柄が多いでしょうから、大企業の持ち合い株の塩漬けも解消されるかもしれません。大企業での株の売却はピンチのときの現金つくりの印象が強く、設備投資や恒久的な賃上げにはつながらないお金です。株価よりも、日本銀行が日本国債買い入れによる量的金融緩和を規模を縮小しながら「長期化」させることが一番大事な政策になります。そして、新川主計局長と同期の神田財務官ももっと外国為替特別会計の米国債を売却した「ドル売り円買い介入」をして、政策的な支出にもつなげる日米合同委員会を無視した大胆な国策をしていってほしいと考えています。

 また、立憲の岡田幹事長(政治改革実行本部長兼務)は政治資金規正法の修正協議について(1)事実の解明→(2)自民党大会を前にした政治責任→(3)制度設計と進むべきだとの手順を示し、まだ(1)もできていないとの認識を明示しました。

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