【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岸田「総裁」は麻生派聞き取り答弁も「裏金議員」は詳細だったのに、甘利ら「幹事長経験者」には慎重

2024年03月08日 18時14分52秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[画像]小池晃・書記局長の質問を聞く、田村智子・幹部会委員長ら共産党参議院議員団、参議院インターネット審議中継からスクリーンショットして、トリミングさせていただきました、「氏名標」の1つの隣の維新議員のもの。

 「裏金国会」は、順風が続き、おとといは、首相が「総裁」として麻生派の裏金の聞き取りを答弁。きのうの審議では林芳正さんが「官房長官は岸田首相の補佐で、岸田総裁を補佐していない」と答弁。きょうの首相は麻生派の甘利明元幹事長の政策活動費3・8億円を「法令に則り、適切に使ったと聞いている」と聞き取り答弁しましたが、先輩議員というよりも「幹事長経験者」に慎重な印象を持ちました。

 「応仁記」という文献では、応仁の乱で天下が大変に乱れて、それが長く続き、賄賂に心を奪われて、世間が滅びるなら滅びてもいい、人はどうであれ、自分さえ富み栄え、他人よりいっそうきらびやかにふるまおうという風潮になっているとの現状を戦中に書き残した人がいます。自民党国会議員団の中がそういう状態になっています。

【参議院政治倫理審査会 きょう令和6年2024年3月8日(金)】
 前回、野党側から趣旨説明があった自民党安倍派5人衆の世耕弘成議員ら31名を呼ぶ件と、無所属の大野泰正議員を呼ぶ件の合計2件を採決。全会一致で議決し審査に入ることを決めました。政倫審に出てきて、弁明して質問を受ける気があるかどうかを、12日までに意向を確認することになりました。

【参・本会議 同日】
 「所得税法改正案」(213閣法1号)が鈴木財務大臣から説明され、質疑答弁がありました。共産の小池晃さんは85名の裏金は5年間で5・4億円で、重加算税がかかるとして計算すると1・3億円になるとし、税務調査が必要な段階だとしました。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 「関税定率法改正案」(213閣法4号)が鈴木大臣から趣旨説明され、審議入りしました。過去の例では、おととしは、きょう3月8日に委員会を通過しています。やはり召集日が遅いため、後ろにずれ気味な第213回国会となっています。

【参・予算委員会 同日】
 「令和6年度予算案」は6日目で、集中審議1回目「政治資金問題等を含む内外の諸課題」4時間コース。
 上述の通り、岸田「総裁」は、甘利明前幹事長の政策活動費3・8億円について「確認したところ、政策活動費は法令に則り適切に使ったと聞いている」とし、使途は明かしませんでした。

 茂木敏充・現「幹事長」の議員としての資金管理団体がその他政治団体に資金を移し替えた問題では、首相は「政治団体のうち、その他政治団体は資金管理団体と違い、後援会が地元で活動するものだ」との独自の解釈を示し、茂木さんをかばいました。派閥の問題ではなく幹事長経験者はかばう意思が働いているように感じられました。社民党(共同会派「立憲・社民」)の福島みずほさんへの答弁。

 公明党の上田勇さんは「政治への信頼は地に落ちている」「盛大の問題は使いみちを隠すことで、きっとやましいことがあると思われている」と語りました。神奈川で遠山清彦前議員の「コロナ禍銀座問題」がありましたが、上田さんは以前は横浜市でしたが現在は静岡市に事務所を置いているようです。

 政策では、自民党の宮崎雅夫さんが先月27日に閣議決定して衆議院に提出された「食料供給困難事態対策法案」(213閣法27号)について「農業者に罰金が課せられるような誤解が広まっている」と指摘。坂本農相は「事態認定は4段階に分ける」とあたかも武力攻撃事態など国民保護・平和安全法制のような説明をしましたが、計画届出をしないと罰せられる条文は入っているようです。

 福島みずほさんはセキュリティークリアランス法案(先月27日決定の「213閣法24号」と「213閣法25号」)で、特定秘密保護法(2013年制定)をはみ出す部分について質問。福島さんは例えとして「中国から買えなくなった抗生物質をどこから調達しているかという情報」は対象になるかと問うと、高市大臣は対象にならないとしました。高市さんは民間企業が独自に開発した情報を、行政が立ち入り調査することはないとしました。これについて、改正国会法によって設置され、秘密保護法による指定の適否を判断して年次報告を作成する衆参の情報監視審査会に民間企業の重要経済安保情報が提出され審査されるかどうかも論点にしました。政府はおそらく想定できていないと思われ、高市さんの天下取りどころか、今国会での延長や成立の不確定要素となりそうです。

 国民民主党の磯崎哲史さんは先々月に自らが自公国実務者協議にのぞんだトリガー条項凍結解除がもうないとの前提に立ち、現行の補助金を5月1日以降に延長するよう働きかけましたが、色よい答弁は得られませんでした。

【衆議院の法務、文部科学、厚生労働、経済産業、国土交通、環境の各委員会】
 大臣らの所信的あいさつを聞きました。

【衆議院の外務、安全保障の両委員会】 
 大臣らの国際情勢の報告や所信的あいさつを聞きました。外務省の副大臣は2名で、辻清人衆院議員と柘植芳文参院議員がいますが、衆・安保委の担当は柘植参院議員のようです。珍しく大型法案が集中することになりそうな小泉進次郎・安全保障委員長のもとで波乱があるかもしれません。

【衆・地域活性化・こども・デジタル特別委員会】
 地・こ・デジ特は、河野太郎、自見はなこ、加藤鮎子3大臣が所信的あいさつをしました。

【定例閣議】
 「離婚後共同親権の民法改正案」(213閣法 号)が閣議決定されました。

【自民党政調審査会 今週から来週にかけて】
 「日本版DBS法案」は「件名・要旨調では検討中」でしたが、今国会に提出されるはこび。

●来週にかけて 3月11日(月)は参・予算委だけですので、党首クラスは東日本大震災復興の視察をするようです。13日(水)に集中審議。 また15日(金)までに定数1などの選挙区選出議員が辞任すると、補選が一つ増えます。
 
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