【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

トリプル党首選、立憲は野田佳彦代表、あす昼までに人事

2024年09月23日 16時20分00秒 | 第50回衆院選(2024年10月27日)
[写真]野田佳彦・立憲民主党代表、今月2024年9月8日、福岡県・博多駅前で、宮崎信行撮影。

 トリプル党首選は、石井啓一公明党代表に続き、野田佳彦立憲民主党代表が決まりました。自民党総裁選も現職不出馬ですから、すべて新しい顔ぶれで、「黄金の3年間」は終わり、経済的な余裕がないなか、激動の政局へと流動化しそうです。自民党員は100人に1人、立憲民主党員は1000人に1人しかおらず、政府の資金調達手段が多様化・複雑化とあいまった「根無し草漂流政治」となりますから、法令順守から一歩踏み込んだ職業倫理が政治家に求められます。

 立憲民主党代表選挙は、野田佳彦さんが当選しました。任期は3年で、今後指名される役員(参議院会派除く)の任期も、2027年9月までとなります。野田さんは「あす午後に骨格人事を、両院議員総会にはかる」と明言して、帰省しないよううながしました。水岡俊一さんはあす午前11時半から参議院議員総会を開き、人事を発表します。

 但し、過去10年以上、菅直人最高顧問はおそらく9割以上常任幹事会に出席しているのに、野田佳彦最高顧問は全く出席せずそもそも名札が置かれない状態が続き、両院議員総会でも菅最高顧問は雛壇に座り、野田最高顧問は一般議員席で手塚仁雄議員と腕組みをして座るという不自然な現象が続いており、野田さんは47都道府県の擁立プロセスの理解が乏しいと考えられます。

 初代枝野執行部は、執行役員会・常任幹事会はアタマ撮り、NCはそもそも本人が出席せず、記者会見は月1回30分限定(前身政党の初期)でした。2代泉執行部は、執行役員会はアタマ撮りNGとしつつ、NCには毎回本人が出席し、常任幹事会・NCはアタマ撮り可能となりました。代議士会はリアル開催に戻り現地にいれば最後まで撮影可能(配信はなし)となっています。

 野田さんは「ザイム真理教信者」ですが、9月9日に福岡県で、驚くべきことが起きました。候補者討論会で、「独立財政機関」を打ち出し、その後の共同記者会見で、筆者・宮崎信行の質問に答えて、旧経済企画庁機能(予算編成の前提の実質・名目経済成長率の設定)を財務省が独占していることに懸念を示して、おそらく初めて財務省を批判しました(野田佳彦さんが「財務省不信」を吐露する異例の事態に「独立財政機関」で成長率見通し「旧経企庁」念頭か、枝野幸男候補、泉健太候補、吉田はるみ候補が博多に揃う - 【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記)。野田議員が、財務省への不信感を、2009年12月下旬に持ったのか、2012年に持ったのか、現時点では不詳です。

 自治労が推薦人を出した代表経験者が落選したことから、2017年以降必ず選挙対策委員会に間断なく1名入っている自治労組織内参議院議員の影響力が落ちることも予想されます。 

 野田氏は、早稲田大学鵬志会の名誉会員として小池ゆり子顧問・松原仁名誉会員・平将明顧問とともに学生との交流を続けています。ここから区割り改定による新・千葉4区の分離後継者も出ています。この縁をつないだ元学生は小沢一郎議員の秘書を卒業して千葉県内で税理士として開業しており、今月もスタッフ1名を新規募集しているようです。

 筆者個人としては暦年で同い年の泉健太代表へと進んだ時計の針を戻すべきではないと考えていました。結果を見て、無理に後付けで考えれば、先の国会で成立した離婚後共同親権の改正民法は、旧統一教会が押し付ける離婚禁止の世界観です。ペアローン・パワーカップルの離婚調停が難航することも予想されます。先月、最高裁は家庭裁判所の再任用短時間勤務職員を166名増やすよう概算要求しました。ことしの代表定例記者会見では、そもそも、この法案について1回も質問が出ておらず、牧山ひろえ議員が参議院本会議で反対としか聞こえない賛成討論をしたことからも、泉さんの「提案路線」の看板が、その美名のもとに法案審査があいまいだった面があると考えています。また、泉さんの最側近といえる森本真治・初代国民運動局長も「泉さんが代表でいる限り、新政権研究会で主体的に支える」と強調するので「泉さんが代表でなければどうするのか」と聞くと「自分の公認が最優先だ」と語っていました。衆院当選3回・大阪府連代表の森山浩行さんも「この党冷たいから、いざ切られる場合は覚悟している」と自分が切られることへの安全保障を優先しており、大半の所属議員からすれば「雲の上の存在」である府連代表もこの状態ですから、構造的に流れを変えての再選は難しかったのかもしれません。「二階派の武田良太さん」のように親分を守る物心両面でのつながりがありませんから、どうにもなりません。4候補のうち落選経験がないのは枝野幸男さんだけですが、職業議員のうち、与党・野党のトップを経験した議員2人の世代交代への恐怖と必死さを眼前で見たのが私の肥やしになりました。

 以上です。