【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【法案】政府「感染症法改正案」を第204回通常国会に提出へ「積極的疫学調査」の自治体間でのデジタル情報共有を盛り込む

2021年01月07日 07時34分00秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]警視庁許可・時間規制営業の店舗が立ち並ぶ地域、東京・台東、3年前の2018年の10月、宮崎信行撮影。

 政府は、「感染症法改正案」(第204閣法 号)を、再来週2021年1月18日から始まる第204回通常国会に提出する意向を持っています。

 内容は、現行の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の「第三章 感染症に関する情報の収集及び公表」に関する改正とみられます。現行法では、感染症が発生すると医師は知事に報告の義務があります。知事には厚生労働大臣への報告の義務があります。逆に、厚労相や知事は医師らに対して調査を命令することができます。そして、厚労相には国民に対して事実や分析結果の情報を「新聞、放送、インターネットを通じて積極的に公表しなければならない」と義務付けています。

 この第3章に、「地方自治体同士の情報共有」を新設することが改正の柱となりそうです。例えば、東京都新宿区の保健所などが実施した積極的疫学調査の結果を、当該地域ではない隣接県の保健所などもデータを見られるようになりそうです。

 データは「ハーネス」を中心としたデジタル媒体でみられることになりそうです。9月にデジタル庁が発足する予定で法案が出ますので、そことの関係もありそう。

 政府内の調整によっては、これ以外の改正も法案に入るかもしれません。

 積極的疫学調査。1831年に英国に入ったと思われるコレラ菌では、1848年に麻酔医であるジョン・スノウが患者多発地域のソーホー地区で感染者の自宅をマッピング。ブロード・ストリートの井戸が発生源だとつきとめ行政に使用を禁じるよう要請しました。コレラ菌の発見は1883年でしたので、それ以前に面的・地域的な疫学調査で多くの命を救いました。

 今年の国会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策一色となる公算で、「新型インフルエンザ特措法改正案」(204閣法 号)は提出前からすでに与野党協議が始まっています。厚労省は第204回通常国会に「75歳以上医療費自己負担引き上げの法案」、「医師の長時間労働是正の医師法改正案」、「産後8週間の男性の育児・介護休業法改正案」も提出するもよう。「感染症法」は「特措法」の成立とは切り離した議論となりそうです。

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Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki


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