宮崎信行の夕刊フジ

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

財源は意外なところに「税収増で2・8兆円繰上返済する予定の半分ぐらい」歴史的な予算・税法の議院修正の審議が大詰めに

2025年03月03日 17時11分31秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[画像]来年度予算案の特別会計、紙の82ページ、PDFの89ページ。

 17年強やってきて今が一番楽しいです。例年、衆・予算審議が始まると、前月比で微減微増に頭打ちする珍現象があるのですが、ことしは前月比25%増の月8・5万PV前後と往年に近い数字になりました。

 頭の体操ですが、維新が予算案と税法案に仮に「欠席」しても、自公だけの賛成で可決しますが、出席以外の院の46%だけの賛成になります。給特法などの対決法案で、少数与党の石破茂内閣の弱さが参院選の前後まで続くことは間違いありません。

【衆議院予算委員会 きょう令和7年2025年3月3日(月)】
 「令和7年度予算案」は19日目ですが、「自公修正案」「立憲修正案」の審議は実質初日になります。集中審議5本目「内外の諸課題」のタイトルの中で答弁しました。

 自公維3党合意の「財源」について、自民党の松本洋平政調事務局長は「交付税及び譲与税配付金特別会計の償還を0・2兆円前倒しする」等が財源だと述べました。この自公修正案の答弁を聞いて、私も調べたら、令和7年度予算で2・8兆円の借入金を繰上返済等で減らすことになっています。このお金は、財務省理財局が市中銀行に入札させて金利が安いところに落札して借り入れるお金で、国債とは全く違うお金です。一時は33兆円ほどあったと思いますが、今は28兆円ほどだったようで、資本主義の時計の進み方で繰上返済を数か月分だけやめて財源にするという話でした。松本さんは3党協議スタートにあたり自民党本部での政調役員会から小野寺さんと2人で議員会館内の与党政策大会議室に移動して3党協議をした際「やべ、党本部にカバンを忘れた」のに党職員が「持ってきました」とフォローしてくれたように、様々なフォローをもらっているようです。

 2010年から2012年の「ねじれ国会」での3党合意で頭角を現し野田佳彦元首相らの信頼があつい後藤祐一・国対委員長代理も質問しましたが、きょうの審議で、高額療養費とガソリン税暫定税率をめぐって首相から新しい答弁はありませんでした。「ねじれ」の与野党修正で頭角を現して連続当選し続けている人は、ことごとく東大法学部卒のキャリア官僚出身なので、その界隈については、若手は蚊帳の外でいる方が連続当選できるでしょう。早稲田ゆきさんの質疑で、高額療養費引き上げプログラムで、現役世代の社会保険料が月250円の負担増にあることがわかりました。社保をめぐる給付と負担の議論は必要です。

 古川元久税調会長は質問者として、後藤茂之インナー座長が答弁者として登場。インナー座長が委員会で答弁するのは歴史的。これだけでも、玉木ショックの意義がありました。

 宮沢、後藤、古川各氏との税協でちんぷんかんぷんだったはずなのに、法案に提出された所得制限案をリードした赤羽一嘉・公明党税調会長が質問に立ち、「私も当事者の1人として、(前の質疑者の)少し古川さんに強めに言われたんで少し個人的なショックを受けてます」と述べました。この後、経緯をパネルで説明しました。最後には、中野洋昌・国土交通大臣に「後輩がんばれ」としました。ところで、西田まこと幹事長は、税調顧問なので3党協議に出られないのは当然として、公明新聞を斜め読みするかぎり、埼玉県本部代表だと思いますが、石井啓一さん落選の責任はとったのでしょうか。

 赤羽さんは、「所得税法改正案」(217閣法1号)の基礎・給与所得控除の103万円の壁の引き上げが閣法が可決すると123万円で、赤羽案が可決すると段階的所得制限付きの160万円になることについて、次のように語りました。「高額所得者に対する優遇とならないように工夫をすべきじゃないかということで」「公平でかつ幅広く、行き渡るということで、こうした案を提案をし、与党の案として国会に提出をするという至ったわけでございます」と語りました。第217回通常国会で、あっさりザイム真理教の罠に嵌ったの赤羽さんというダークホースでしたが、玉木ショックの価値は大いにあり、財務省解体論はさらに勢力を増し参院選の主要な争点になりそうです。

 また、合区解消について、神奈川維新の大幹部で馬場伸幸さんと親しい金城龍那さんが選挙制度について、自民党総裁が参議院議員会長を任命できないのだから、小選挙区比例代表制度は見直すべきだとしました。旧民主党の比例九州・沖縄ブロックについて、岡田克也、大串博志さんともめたので、無所属で活躍する緒方林太郎さんは合区の解消を求めました。石破茂首相も前向きな答弁をしました。来年2月以降にまとめる選挙制度をめぐる協議では、逢沢一郎座長が「国立国会図書館が調べたら、人口だけでなく面積にも配慮すべきだとする憲法が北欧の2つある」というところからスタートしましたが、金城さんがすべてを改憲に結び付けるので、他の党の実務者が閉口してしまいました。今回、人口1票の格差ではない面積条項を改憲によって合憲化する案が、維新実務者、自民総裁、有志の会連続当選者で一定の理解ができました。既に始まっている衆・議運理事の協議に弾みがつくかもしれません。

 あす9時から締めくくり質疑を2時間することが決まりました。正午にも「政府原案を修正して議決すべきだ」との委員長報告が決まり、本会議にすみやかに上程されるはこび。

●立憲、国民の政調会長は、ガソリン税旧暫定税率を廃止するための租税特別措置法などの改正法案の共同提出で合意して記者発表し、立維国の共同再提出
をめざし一両日中に結論が出ます。

【衆議院議院運営委員会理事会】
 月曜日ですが、午後2時に設定されました。

【参議院】
 ありません。

●あすの予定 衆議院本会議は公報上午後1時に設定されました。委員長報告では、渡辺周・政治改革特別委員長が「公選法改正2法案」(217衆法9号及び10号)を報告することになります。その後に、予算委員長が登壇へ。

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