宮崎信行の夕刊フジ

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「高療」壮大なぬか喜びに終わるも、「自公」「立憲」の予算修正案、税法改正法修正案が出そろい、来週さらに緊迫の政局に

2025年02月28日 17時22分59秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]立憲民主党の野田佳彦代表と当選2回(酒井なつみさん=補選初当選とみなし同期当選)の吉田はるみさん、今月2日、東京・荻窪で、宮崎信行撮影。

 壮大なぬか喜びとなってしまいました。高額療養費の「見直し」を石破茂首相は表明しましたが、段階的引き上げのプログラム第1弾「来年度の200億円」はてつかずとなりました。自民党のことだからどうせ生命保険協会から締めあげられたのでしょう。予算案は自公案と立憲案が各々提出され、税法も自公「160万円の壁」修正案が提出されました。予算案の所得税収減額の前提である税法に賛成せざるをえないという匕首が日本維新の会につきつけられてしまい、政局は来週さらに緊張するというすさまじい展開となってきました。一言でいうと、維新の2期生執行部は馬鹿だねえという気がします。

【衆議院予算委員会 きょう令和7年2025年2月28日(金)】
 「令和7年度予算案」は18日目で、分科会の2日目と、集中審議4本目「政治改革等」がありました。前日の松本元事務局長の参考人で「疑惑はさらに深まった」とし、立維国共有の野党5党派は一致団結して下村・塩谷・西村・世耕4氏の参考人招致を採決の条件にあげました。なお、共産は田村貴昭さんが質問の中で森喜朗さんも加えた証人喚問を求め安住淳委員長が「理事会で協議します」と明言しました。

 野田佳彦さんは高額療養費の負担引き上げの凍結と第1弾200億円の減額修正を求めました。首相は「政府部内でよく検討をさせていただきました。正確を期すために、原稿読み上げみたいな形になります。ご容赦を賜りたいと思っております。セーフティネットを次の世代にも持続可能なものとするため、高額療養費制度の見直し自体は、実施させていただきたいというふうに今でも思っておるところでございます。ただ患者団体の皆様方から、引き続いてご意見を頂戴いたしておりまして、国会でも引き続きご指摘をいただいておるところでございます。そうした状況も踏まえまして、政府与党におきまして、患者の皆様、そして被保険者の皆様、双方のお声を、改めて真摯に勘案をし、検討いたしました。ご指摘のありました、現在多数回該当に当てはまっている方と今後新たに病気になり、長期で療養される方で負担に大きな差が生ずるのではないか、というご指摘をいただいておるところでございます。この点につきましては、今後新たに病気になられる方につきましても、令和8年度以降の所得区分の細分化に伴う限度額の引き上げに伴い、多数回該当から外れることがないよう、新たに多数回該当の判定基準を設けることとしたいと考えております。そして経済物価動向に対応した令和7年度の定率改定を行うこと、また、高齢者の外来特例の見直しは、予定通り令和8年度に実施することといたしました上で一旦立ち止まりまして、新たに設ける。多数回該当の判定基準を含め、令和8年度以降に実施する所得区分の細分化につきましては、本年秋までに政府として、患者団体の皆様方を含みます関係者のご意見を十分に承った上で、増大する高額療養費を、能力に応じてどのようにわかっちゃうかという観点から改めて方針を検討し、決定することでいたしたいと思っております。高額療養費の総額が医療費全体の倍のスピードで伸びておりますことは、これは常に申し上げておるところでございましてこれは国費200億円の問題ではございませんで、今後もこのペースで増加し続けました場合に、この制度の持続可能性は維持できるのか。そしてまた現役世代の方々の保険料負担はどうなるのかということは、野田代表もご理解をいただいている通りでございます。今後とも、セーフティーネットとしてこの制度が機能し続けるとともに、支え手であります被保険者の保険料負担の増加にも配慮した持続可能性のある制度と進め、改めて関係者の皆様方の声を丁寧に承り結論を出してまいりたいと考えております」と答弁しました。

 こんなのはゼロ回答であり、多数回該当の要件見直し次第では被保険者にマイナスになりかねません。自民党の資金提供元を見ると、例えば第一生命がおととし12月25日に1250万円を寄付しています。ちなみに全日本菓子協会は6万円で、その200倍強になります。業界を見ると、生保業界は、増収増益、増収減益、減収増益、減収減益が入り乱れ、内資損保の生保子会社でも増収増益の社と減収減益の社が入り混じった戦国時代となっており、第三分野(がん保険)にとって高療凍結は脅威でしょう。大蔵省の昭和51年入省幹部が生保協会副会長に天下っています。

 立憲は採決まで攻めるでしょう。とはいえ「存在感がない」と言われても、複雑なしくみの参院選は選対がすべてといっていいでしょう。野田さんは「私、今も朝街頭立ったりしてますけども現役世代の反応、特に女性の反応ものすごくありますよ。みんな自分たちもそうなったらどうするか心配してるからです。その危機感を持ってもらわないといけないと思います。8月から上げるんでしょう。でも7月参議院選挙、私争点にしようと思っていないんですよ。ぜひこの国会で200億円の修正やろうじゃありませんか」とさらに問いました。首相は「思いは一緒です。だから、いかにして若い女性の方々が高額な医療であったとしても、安心して受けられるためにどうするかということを私どもは一生懸命考えてまいりました。そこに至るまでに、その10年間の物価動向の部分だけは、ここは改定をさせていただきたいと思っております」と語りました。この後に質問した立憲幹部は物価変動の反映も凍結すべきだと主張しましたが、かみ合いませんでした。

 第一分科会から第八分科会までの主査が報告しました。

 この後、修正案の趣旨説明がなされました。自公案と、立憲案の2案です。重徳政調会長は次のように語りました。「立憲民主党は、物価高に苦しむ国民生活の現状に鑑み、国民の負担を減らし、収入を増やす家計が第一の政策実現を目指しております。あわせて我々といたしましては、政権を担いうる責任政党として、必要となる財源を確保し、政策の実行にまで責任を持ちたいと考えております。そのため我々は党内に総勢70人規模の議員から成る本気の歳出改革作業チームを立ち上げ、予算の精査を行い、先に行われ省庁別審査において、その成果を示したところです。その際に指摘をした多数の無駄な予算を削り、生活応援のための予算に振り替えていく。これが我々の修正案の基本的な考え方であります」と語りました。

 週明け月曜日も8時55分から集中審議。

【衆・財務金融委員会】
 「所得税法改正案」(217閣法1号)と、それに対する立憲単独の委員会修正案が議題となり、法案審査2巡目の途中で終わりました。与野党とも、日銀などへの質疑が中心となりました。正午ごろ散会しましたので、自公が国会に提出した修正案の趣旨説明は来週火曜日に持ち越されそうです。

【参議院】
 きょうは開かれませんでした。ちなみに、今週は水曜日の政治倫理審査会も開かれませんでした。衆議院総務委員会も定例日ではありませんから、開かれませんでした。

【定例閣議】
 「AI法案」「刑事訴訟デジタル法案」「森林経営管理法改正案」を決定。このうち、刑事訴訟デジタルは、同日の法制審で決定した離婚後共同親権の改正民放から1年遅れの提出となりました。柴山正彦さんらが実質離婚禁止で統一教会・日本会議・神社本庁の家族観を法制化することを優先したとみられます。

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