宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「一度裏切った者は二度裏切る」あす首班指名の石破茂自民党総裁が2週前と発言のブレを指摘される「ご判断いただける材料を提供するっていうのはやはり政府の責任だ」

2024年09月30日 17時36分58秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]石破茂・自民党総裁、今月、宮崎信行撮影。

 あす首相になる石破茂自民党総裁が、「10増10減」の党内調整を早期にこなした森山裕幹事長の入れ知恵で、発言がブレたと指摘されています。

 石破さんは9月14日の「日本記者クラブ主催の自民党総裁選挙候補者討論会」(外部動画)で次のように語りました。

 「私は国民の判断っていうのは本当に厳粛に受けなければいけないと思っています。そうすると、国民の皆様方が判断していただける材料を提供するのは、それは政府の責任であり新しい総理の責任だと思っています。私もずいぶん議員もやっていますし、閣僚もずいぶんやりましたが本会議っていうのはもう基本一方通行です。問われたことにこっちが答える。なかなかやり取りってのはないんですね。やはり本当のやり取りってのは予算委員会だと思っている。そうすると1日ずつやるのかはともかくとして、国民の皆様方ご判断いただける材料を提供するっていうのはやはり政府の責任だと私は思います。同時に、なってもいない者はこのことについて言及すべきではありませんが、衆議院議員がこの国からいなくなるんですよ。解散ってのは、それがどういうことなのかというのはよく認識した方がいい。そして、世界情勢がどうなるかわからないのに、すぐ解散しますっていう言い方は私はしません。解散している状況が整うかどうかということを判断するということであって、私は国民に対するおそれの念というのは常に持っていたいと思っています」と述べました。

 現在、あすからの第214回臨時国会で衆参予算委が開かれないとは確定していません。

 きょう、石破総裁は平河クラブの記者会見で次のようにコメントしました。

 「党総裁よりご発言がございます。総裁お願いいたします」「四役の記者会見に先立ちましてお時間をいただきまして、冒頭私より発言をさせていただきます。明10月1日日国会の首班指名で内閣総理大臣に選出されれば直ちに組閣を行い、政権を発足させたいと考えております。新政権はできる限り早期に、国民の審判を受けることが重要であると考えており、諸条件が整えば、10月27日に解散総選挙を行い、考えております。これは全国の選挙管理委員会などの選挙準備の観点から、本日表明をさせていただくものであります。私からは以上です」。

 ずいぶん簡潔ですが、印象は違います。

 ところで、羽田孜内閣の総辞職前夜に、当選2回の岡田克也さんと当選3回の石破茂さんが2人で羽田さんに会ったことは知られています。岡田さんが官邸の秘書官室を通ると、小沢一郎さんが「つとむちゃんが言うことを聞いてくれない」とうなだれていて、岡田さんはワイシャツ姿の小沢代表幹事をそこで初めて見たとしています。岡田さんが「今解散すると改正前の公選法により中選挙区での選挙になってしまう」石破さんが「今解散すると金がかかる」と別々の理由を言って、解散すべきでないと進言しました。このことを岡田さんはずっと気にかけていました。

 岡田さんはその後の新進党の経緯を踏まえて2008年6月に講談社から出版した「政権交代この国を変える。」で「一度裏切った者は二度人を裏切る」と書いています。

 岡田さんは石破さんを念頭に「今度こそ、政権を担い得る新党をつくるー。そういう気概をもって新進党を結党したはずだが、「与党」を居場所とする議員たちには、野党で苦労するのがムダに思えるのだろう。政権党に戻ったほうが選挙も楽だし、ポストにも就ける。離党者続出の中で、自分の政治生命だけを考えて行動する、言行不一致の議員の姿も目の当たりにした。昨日まで自民党を厳しく批判しながら、突然自民党に戻る政治家もめずらしくなかった。そうした人間としての弱さ、一貫性のなさ、無責任さをなじりたい気持ちもある。しかし、支持者や選挙区など、それぞれの事情があるのだろう」「ただし、誰がどういう行動をとったかは忘れまいと思う。こうした、ある意味での極限状態に直面したとき、一人の人間がとる行動は繰り返されるものだ。これまで二十年近く政界に身を置いた経験に照らしてみると、一人の人間は同じような行動を繰り返すことがわかる。一度裏切った者は、二度裏切る。ぎりぎりの状況では本質を隠しおおせないのだ。それを理解さえすれば、批判する必要はない」と激しく批判しています。

 これについて、岡田さんの関係者は、日本語は単複同形なので、「石破さんだけでない」と「一度裏切った者は二度裏切る者」は複数いるとしています。

 自民党から離れたことがない村上誠一郎さんを総務大臣。そして、涙を流すほどの盟友ながら、落選して7年間浪人し、九州の麻生太郎さんと葉巻を吸いながら国政復帰した岩屋毅さんは「支持者や選挙区など、それぞれの事情があるのだろう」に該当します。が、石破さんと岡田さんの天敵ぶりは有名です。

 世代交代の時計の針が戻ったことで、連続当選議員同士のドグマも炸裂しそうですが、石破さんのブレが表面化しました。但し、10月27日投票をずらせばブレブレですので、もう後戻りできないまま、石破さんはあすの今頃、皇居で親綬式にのぞみます。

 ところで自分の話ですが、これ、付箋を外して写真を撮りましたが、この赤字を入れての共感のしかた。2008年当時、私・宮崎信行は34歳ですが、裏切る人間像の観察に対する共感のしかたって、どれだけ人間から壮絶に裏切られ、復讐を誓う狂気じみた34歳だという感じです。きょう現在50歳の私は、こんなに狂気じみた復讐の執念を持つ34歳男性を雇わないですね。50歳になっても身が保たれ、すべての人間に対して、外で私に話しかけるなと警告し、自分の手を汚さずに「宏池政策研究会」まで消し去る「真の保守」となった私。第50回衆院選も全国を駆け巡ります。


[写真]岡田克也著「政権交代この国を変える。」講談社、2008年。

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Ⓒ2024年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

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