祖先崇拝の島
沖縄(離島)には祖先崇拝の文化が脈々と息づいていることを感じさせる光景に出会うことの多い旅でした。
石垣島一周観光バスのガイドの説明の中で「沖縄は祖先崇拝の島なのです」という説明に我が意を得たりという思いでした。
具体的に描写してみます。
与那国島を巡っているときでした。
三つある集落で最も大きな租納の集落に浦野墓地群というところがあります。
そこはもうかなり大規模な団地ができそうなくらいの広大な土地です。
そこに沖縄独特の亀の甲羅を形取ったような大きな亀甲墓がずらーっと並んでいるのです。お墓は大小さまざまありますが、平均すると10㎡くらいはあるでしょうか。
人口わずか1,600人の与那国島の一つの集落の墓地群でこの規模なのです。
(与那国島のそれは特に大規模に感じたことも確かですが・・・)
このお墓の前で故人の命日や、お祭などには親族が集い酒食をしながら祖先を弔うというのです。
※ 浦野墓地群ではこうした亀甲墓の光景が見渡すかぎり
広がっていました。
また、波照間島の民宿に泊まったとき、民宿の食堂に島の祭事スケジュールが張り出されていました。2009年上半期のスケジュールと記されていましたが、10回をくだらない祭事スケジュールだったようです。
月に1~2度は住民の手でなんらかの祭事が催されていることになります。
そして、「沖縄の離島を往く」シリーズ№32(そのレポートはこちら⇒)にも記しましたが、島の中には御獄(うたき)という農業の神、海の神、家内安全の神など、さまざまな神を祀った建物(祠?)がそこここに存在するのです。
小さな竹富島の中だけで26もの御獄があると聞きました。
このように沖縄の離島では祖先を敬い、祖先が継承してきた祭事を大切に守っていることをうかがい知ることができました。
ただ、やはり島からの人口流出などによって、祭事などの維持が大変になってきているとの声も聞こえてきました。
どの地域でも人口減少はさまざまな問題をはらんでいるようですが、祖先を敬うという日本社会が失いつつある良き伝統を、島の隆盛を図ることによって維持・継承されていってほしいと願ったものでした。