八重山諸島は音楽の島?
島の中を歩いているとどこからともなく三線の音が聴こえてきます。特に石垣市内には沖縄民謡を聴かせるライブハウスや飲食店が数多く、人々の生活に音楽が根付いているようでした。
沖縄というと「三線(さんしん)」と言われますが、今回の旅をする中でも三線の音色を絶えず耳にしました。
石垣市に入ったその夜、私はまず沖縄民謡の島唄ライブハウス「安里屋」に行きました。
ここでは八重山民謡界の大御所と称される安里勇さんの三線と唄を楽しみました。
年輪を重ねた歌声には味があり、ツボを心得た語りは笑いを誘い、大いに楽しませてくれました。
石垣市の最後の夜は、フォーク系の歌を聴かせるライブハウス「まじゃ」に足を運びました。
ここの最初のステージを務めた「石垣島のブーさん」と称するブルースシンガーの歌声はとても味わい深く、とても気に入ってしまいました。
そのブーさんと親しくなり、いろいろとお話をさせてもらいました。
ブーさんによると、石垣市は民謡をはじめとして歌がとても盛んな地域だとのことでした。何せ人口わずか4万5千人の石垣市の中に私がネット上で数えただけでも10軒近くのライブハウスがあるのです。その他の飲食店でも三線を聴かせるところが数多くあるようです。(観光地ということもありますが、それにしても多い!)
そうした土地柄ですから、ビギンや夏川りみをはじめとして、たくさんのシンガーやグループがデビューしているとのことでした。
ブーさんもあるいは将来メジャーデビューなんてこともあるかもしれません。
そしてぶーさんは言います。石垣をはじめとして八重山地方では、フォーク系の音楽が好まれているということでした。ここでいうフォークとは必ずしも現代のポップス系のフォークを指すのではなく、フォーク音楽の本来の意味である民謡や土着の音楽といった意味にとらえたほうが良いようです。
そこで合点がいきました。というのは、今回離島を巡っていて飲食店などでかかっている音楽がどこか懐かしい音楽をかけている店が多かったのが印象的に思えたからです。
そうした歌を聴かせる専門店ばかりでなく、音楽が住民に根付いている例を2~3あげてみましょう。
例えば、波照間島ではディケアセンターのようなところでお年寄りのリハビリとして三線を用いて合奏のようなことをしていた光景に出合いました。
また、与那国島では民家の中から三線の練習をしているのか、その音色が聞こえてきたこともありました。
石垣市内でバス会社の近くを歩いているときでした。バスガイドがなにやら見慣れぬケースを持って歩いています。興味を抱いた私は「何ですか、それは?」と聞きました。すると至極当然のような顔をして「三線です」という答えが返ってきました。
バスガイドにとって三線は必携品のようです。事実、私が乗った島一周の観光バスでは男性ガイドが実に7曲もの島の民謡を三線を演奏しながら披露してくれました。
もちろん水牛車による観光をしたときも、案内兼水牛使いの人が三線付きで島唄を披露してくれました。
このように八重山地方では音楽が人々の生活の中にしっかりと根付いている、という印象をもちました。