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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

屋久島・種子島紀行を振り返る Ⅶ

2010-03-15 17:25:00 | 道外の旅

白谷雲水峡を往く
 
 映画「もののけ姫」の舞台のモチーフになったと云われる白谷雲水峡は大木や岩石が全て苔に覆われていて、まるで別世界を往くようだった。それは縄文杉登山とはまた趣の異なった素晴らしいトレッキングになった。 

 屋久島を一周した後、白谷雲水峡へ行くことにした。
 宿で知り合った東京からの女性二人と「一緒に登りましょう」ということで、彼女らを途中でピックアップし、白谷雲水峡に向かった。
 海抜0mから30分程度で一気に登山口のある標高600mまで上がったのだが、まるで雲海の中を行くようなドライブだった。

 登山口の駐車場に着いたが、今回も雨模様だった。雨具をしっかり着込み、登山口に向かった。
 ところが登山事務所で、昨夜来の雨で増水し一方のコースが通行禁止になっていることを知らされた。私たちは周回コースを予定していたのだが、同じところを往復するコースに変更することを余儀なくされた。そのため「白谷雲水峡」の主だった屋久杉を見ることができなくなった。通行できないのならいたしかたない。

 さっそく出発である。
 三人のパーティーで、自然私がリーダー役的な役割を務めることになった。
 最初に現れたのは、川というよりは岩(花崗岩)の間を水が滑り落ちる「飛流おとし」である。森の豊かな水がまるで飛ぶように落ちている様を「飛流おとし」とは言い得て妙である。

        
        ※ これは「飛流おとし」ではない。これは登山路の一部。飛流 
         おとしはこのような岩の上を水が飛んでいくように流れていた。       

 「飛流おとし」から間もなく、最初の屋久杉「二代杉(切株更新)」が現れた。切株更新とは、切株の上に種子が落下して発芽生育した二代目の杉のことを言うそうである。
      
             
        ※ 切り株の上に生長した「二代杉」は根元が太い!

 コースは「さつき吊り橋」を経て、どんどん高度を上げていく。「白谷雲水峡」は「縄文杉登山」と違い、いきなり高度をかせぐコースなのでけっこうきつく、直ぐに汗が噴き出てきた。

        
        ※ 雨模様のために吊り橋もガスに煙って見えます。

 次に現れた屋久杉は「くぐり杉」と言われるもので、大きく張った根の間を潜ることができる杉だった。
 さらに行くと、流れの中を石づたいに横切るところがあった。増水していたが何とか渡ることができた。

        
        ※ 「くぐり杉」をくぐる私です。

 もう一つのコースとの合流点「三叉路」を過ぎると、「七本杉」という木の上方が七本に別れている杉が現れた。
 屋久島で現在見られる屋久杉は、秀吉の時代から江戸・明治・大正・昭和と伐採された中で、伐採を免れたものである。つまり木材としては不向きな杉の木が残されたのだ。したがって、少し特異な形をした屋久杉が多く見られるということのようだ。

        
        ※ こうした特異な形状の杉の木も不思議な世界へ誘ってくれます。

 「七本杉」を過ぎると間もなく、目ざした「もののけの森」(そうした名称のところはないのだが)に到達した。
 「白谷雲水峡」はそれまでもコースの両側に苔むした森が広がっていたのだが、目ざしたこの辺りは一段と見事に、目に見える大木も岩石もみな苔に覆われていて、まるで別世界のような光景だった。映画「もののけ姫」の監督・宮崎駿はこの森に何度も足を運び、映画の構想を練ったと聞いた。

        

        

        
        ※ 見た目にはもっともっと緑色が濃くて、どこまでも続いて
         いました。カメラの性能の問題でそこまで再現できないの
         が残念です。

 「もののけの森」にしばし佇んだ後、下山を開始した。
 下山は膝に負担はかかるものの、それでも登るのに比べると格段に身体にかかる負荷は少ない。一度の休憩を取っただけで登山口に達した。
 小雨が絶え間なく降るコンディションではあったが、考えようによってはその雨があるからこそ「白水雲水峡」のような緑したたる深い森が形成されるのだと、納得の雨の中の登山だった。

        
      ※ 登山口に帰り着いてホッとした表情の同行した女性たちです。

「縄文杉登山」、「屋久島周遊」、「白水雲水峡トレッキング」と屋久島を満喫した日々だった。