映画は作家・浅田次郎の原作ですが、戦後M資金とか山下財宝などと囁かれた伝説に浅田次郎が独自の解釈を加えた作品です。軍部の極秘命令に知らずに加担することになった可憐な少女たちの過酷な運命と、軍の命令に逡巡する三人の兵士を描きます。
11月28日、道新の販売店主催の試写会が道新ホールで開かれ、招待券が舞い込んで鑑賞してきました。
題名の「日輪の遺産」についてですが、原作を読んでいないで何とも言えないのですが、辞書を見ると「日輪」は「太陽の異称」となっています。そこから派生して「日出ずる国=日本の遺産」と解釈できそうです。
ストーリーは、昭和20年8月10日、帝国陸軍の真柴少佐(堺雅人)は、軍トップに呼集され、ある重大な密命を下された。それは現在の価値で約200兆円のマッカーサーの財宝を隠すというもので、真柴は極秘任務を遂行するが、やがて任務の終わりが見えたころ、勤労動員として駆り出された20名の少女たちに非情極まる命令が出され……。
少女たち結局、終戦の報を聞いて軍が用意した青酸カリを自ら口にし、集団自殺をするという悲惨な最期を遂げるのです。
しかし、私は正直言ってこの映画がいったい何を言いたかったのか、映画を観ている最中も、観終わってからも分からずじまいでした。
ストーリーがフィクションであったということかもしれません。
映画のレビュー欄を見ると、ある人は少女たちの可憐さを描いた映画だと言います。しかし、少女たちの可憐さを描くのに戦争物をもってくる必要性を感じません。
またある人は、骨太の映画であると言います。この映画のどこに骨太さを感じたのだろうか?
私にはまったく分からない。浅田次郎の原作を読むと、この映画の意図するところも分かってくるのだろうか?
映画そのものから離れて、出演者の中で少女たちの先生役を演じたユースケ・サンタマリアが普段のイメージとは真逆の優しく人間味のある先生役を味わい深く演じていたのが印象的でした。
また、主演の堺雅人は最近いろいろな場面で目にするのですが、彼の演技達者ぶりをこの映画でも魅せてくれました。
「日輪の遺産」…。ロードショーとしての劇場公開は終わっているようですが、私としては期待したほどではなかった、という評価にしておこうと思います。