田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

日本の医療とスウェーデンの医療

2013-06-20 10:34:39 | 講演・講義・フォーラム等
 それぞれ一長一短のある日本とスウェーデンの医療の実態。しかし、医師として務めるならスウェーデンの方が良いと講師の鈴木医師は言う。医療を受ける側としてはどちらがより良いのか、講演を聴きながら考え続けた…。
 

 6月19日(水)午後、HIECC(北海道国際交流・協力総合センター)主催の「北方圏講座」がホテルモントレーエーデルホフで行われ受講してきた。
 講師はスウェーデンの総合病院で4年半の勤務経験を持つ鈴木岳医師が「日本の医療とスウェーデンの医療」と題して講演した。

          
          ※ 講演する鈴木岳医師です。

 鈴木氏は云う。日本の医療保険体制は「国民皆保険制度」をとっていて世界に誇れるものだが、さまざまな綻びが出てきたと指摘する。
 医師側からすると、増大する一方の国民医療費の抑制のため診療報酬が減額される傾向にあること、また患者側の自己負担額も増大傾向にあることなどが指摘された。
 医師側から見て、特に憂慮すべき事態は医療事故に対して医師を擁護する体制ができていないことにより、医療界全体が防衛医療に傾きつつある状況を嘆いた。
 また、日本の医師たちが過酷な勤務状況におかれている点についても指摘した。

 これに対して、スウェーデンは患者の自己負担額が低く抑えられ、医師の勤務体制もゆとりある体制となっているとした。また、スウェーデンでは、家庭医・地域病院・広域病院の役割分担がしっかり構築できているとも述べた。
 ただし、患者は日本のように望む医療を迅速に受けられる仕組みにはなっていなく、また医師の給与や医院の利益は低く抑えられているという状況にある、とも述べられた。

 日本の保健医療体制については国全体の国民医療費の増大が国の経済を脅かすほどになっていることは良く報じられているところだが、その改善のための策に対する考え方は医療側と患者側では大きく食い違っていると良く言われるところである。
 鈴木医師は言及しなかったが、スウェーデンの医療が患者の負担が少なく、医療者の労働条件が良いのは、国民の高い税負担によってそれが可能になっているのではないかと私は思うのだが…。
 日本の医療体制がベストとは言わないが、少なくとも現段階においては医療費は国民保険制度によってある程度抑えられているし、フリーアクセス体制でどの医療機関でも受診できるという素晴らしい体制であると思っている。

 今後の医療改革(改悪?)によって患者負担が増していく状況にはあるが、弱者が切り捨てられないような制度構築をしてほしいものである。

 鈴木氏が最後に述べたことが日本とスウェーデンの医療体制の違いをよく表している言葉かもしれない。
 それは「軽症・中症なら日本で受診を、重症ならスウェーデンで受診を、医者として働くならスウェーデンが良い」と…。


 ※ 定山渓天狗岳であれだけ痛めつけられながら、21日(金)渡島地方の山岳会が主催する「駒ケ岳」登山に参加するため、これから森町大沼に移動します。その足で翌日は黒松内町でフットパスを楽しんできます。したがって、明日・明後日はスマートフォンからの投稿となる予定です。