動物園の役割は、動物たちを展示するだけではない。“種の保存”も大切な役割の一つである、と飼育員(学芸員?)は強調された。今回、そんな動物園のもう一つの顔を見学する機会を得た。
5月18日(月)午後、「めだかの学校」の5月の野外学習は「円山動物園」だった。
「めだかの学校」の企画担当者は、単に飼育されている動物たちを観るだけというのでは物足りないと考えたらしい。動物園に依頼し、一般には観ることのできない「猛禽類野生復帰施設」というちょっと厳めしい名称の施設を見学することを許された。
施設は動物園の最奥部のあまり人目に付かないところあり、大きなゲージが建てられていた。周囲は柵で囲まれて鍵がかかり、一般人は近付けないようになっている。
最近、新聞等でも見聞きするが、大型の猛禽類の生息環境が悪化するにつれ、事故などが多発しているという。そうした事故に遭った猛禽類が動物園に搬入される機会を増えたらしい。動物園では、それらを保護するとともに、野生へ還すための取り組みを「猛禽類野生復帰施設」で行っているということだった。
※ 猛禽類野生復帰施設の前で説明を聞く参加者たちです。左がオオワシ、右がシマフクロウが飼育されているゲージです。
施設には、オオワシ2羽と、シマフクロウ2羽が飼育され、復帰訓練を受けていた。
施設ではより自然に近い形で飼育させるため、池を設けてそこに生きた魚を放したり、止まり木の高さを自由に換えられるようにして飛び立つ力を付けさせるようにしたり、といった工夫がなされていた。
しかし、自然に還すということは容易なことではなく、確か1年、2年という長いスパンで復帰を促すということだった。
※ 写真中央の止まり木に止まっているのが野生復帰訓練を受けるオオワシです。
「猛禽類野生復帰施設」の見学を終えて、円山動物園ボランティアの皆さんの案内で動物園内を観て回ったが、その際にも「種の保存」に関わって興味深いお話を聞くことができた。
今、円山動物園ではホッキョクグマのララが産んだ8頭目の赤ちゃんの話題で盛り上がっているが、今後の国内での繁殖となると、国内で飼育されているホッキョクグマ同士の血縁関係が近いために繁殖が難しくなってくると言われているそうだ。
それでは、外国の動物園で飼育されているホッキョクグマとの交換を考えれば、と考えるが、それが難しいらしいのだ。それは、日本の施設が諸外国の施設と比べて狭いなどの理由で、外国(西欧?)の基準に達していないために交換が難しいということだった。
そのため、円山動物園ではホッキョクグマの飼育舎を外国の基準に合わせたものに建て替える計画を立てているとのことだった。
※ 本文には直接関係ありませんが、円山動物園のアムールトラはかなりの高齢で、数日前まで寝込んでいたそうです。それがようやく起き上がれる状態まで回復したとのことでした。ところが、正面から見ると堂々とした姿に見えますが、後姿を見ると異常に細くなった臀部の弱々しさが痛ましく感じられました。
動物園の世界では、野生から動物を調達することはすでに禁じられていて、現在飼育されている動物たちによる繁殖によって展示動物を維持していかなくてはならない。そのため日本国内はもとより、世界の動物園と連携した繁殖を考えていかねばならない時代である。
このことが、つい先日話題になった日本の「イルカ追い込み漁」について「世界動物園水族館協会(WAZA)」からの退会勧告などの強い警告に対して「日本動物園水族館協会(JAZA)」が「イルカ追い込み漁」で捕獲されたイルカの入手を禁ずることを決定に影響を与えたと言われている。
それは主として動物園側が世界との連携の糸を断ち切られることに危機感を抱いたからのようだ。
私たちを癒してくれる動物園や水族館の世界もなかなか難しい時代を迎えたようである…。
5月18日(月)午後、「めだかの学校」の5月の野外学習は「円山動物園」だった。
「めだかの学校」の企画担当者は、単に飼育されている動物たちを観るだけというのでは物足りないと考えたらしい。動物園に依頼し、一般には観ることのできない「猛禽類野生復帰施設」というちょっと厳めしい名称の施設を見学することを許された。
施設は動物園の最奥部のあまり人目に付かないところあり、大きなゲージが建てられていた。周囲は柵で囲まれて鍵がかかり、一般人は近付けないようになっている。
最近、新聞等でも見聞きするが、大型の猛禽類の生息環境が悪化するにつれ、事故などが多発しているという。そうした事故に遭った猛禽類が動物園に搬入される機会を増えたらしい。動物園では、それらを保護するとともに、野生へ還すための取り組みを「猛禽類野生復帰施設」で行っているということだった。
※ 猛禽類野生復帰施設の前で説明を聞く参加者たちです。左がオオワシ、右がシマフクロウが飼育されているゲージです。
施設には、オオワシ2羽と、シマフクロウ2羽が飼育され、復帰訓練を受けていた。
施設ではより自然に近い形で飼育させるため、池を設けてそこに生きた魚を放したり、止まり木の高さを自由に換えられるようにして飛び立つ力を付けさせるようにしたり、といった工夫がなされていた。
しかし、自然に還すということは容易なことではなく、確か1年、2年という長いスパンで復帰を促すということだった。
※ 写真中央の止まり木に止まっているのが野生復帰訓練を受けるオオワシです。
「猛禽類野生復帰施設」の見学を終えて、円山動物園ボランティアの皆さんの案内で動物園内を観て回ったが、その際にも「種の保存」に関わって興味深いお話を聞くことができた。
今、円山動物園ではホッキョクグマのララが産んだ8頭目の赤ちゃんの話題で盛り上がっているが、今後の国内での繁殖となると、国内で飼育されているホッキョクグマ同士の血縁関係が近いために繁殖が難しくなってくると言われているそうだ。
それでは、外国の動物園で飼育されているホッキョクグマとの交換を考えれば、と考えるが、それが難しいらしいのだ。それは、日本の施設が諸外国の施設と比べて狭いなどの理由で、外国(西欧?)の基準に達していないために交換が難しいということだった。
そのため、円山動物園ではホッキョクグマの飼育舎を外国の基準に合わせたものに建て替える計画を立てているとのことだった。
※ 本文には直接関係ありませんが、円山動物園のアムールトラはかなりの高齢で、数日前まで寝込んでいたそうです。それがようやく起き上がれる状態まで回復したとのことでした。ところが、正面から見ると堂々とした姿に見えますが、後姿を見ると異常に細くなった臀部の弱々しさが痛ましく感じられました。
動物園の世界では、野生から動物を調達することはすでに禁じられていて、現在飼育されている動物たちによる繁殖によって展示動物を維持していかなくてはならない。そのため日本国内はもとより、世界の動物園と連携した繁殖を考えていかねばならない時代である。
このことが、つい先日話題になった日本の「イルカ追い込み漁」について「世界動物園水族館協会(WAZA)」からの退会勧告などの強い警告に対して「日本動物園水族館協会(JAZA)」が「イルカ追い込み漁」で捕獲されたイルカの入手を禁ずることを決定に影響を与えたと言われている。
それは主として動物園側が世界との連携の糸を断ち切られることに危機感を抱いたからのようだ。
私たちを癒してくれる動物園や水族館の世界もなかなか難しい時代を迎えたようである…。