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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

イスラーム国(IS)の内情

2015-05-23 23:16:44 | 大学公開講座
 イスラーム国の内情を知れば知るほど…。彼らのロジックを知れば知るほど…。暗澹とした気持ちになってくる。私たちがこれまで培ってきた既成概念をことごとく打ち砕かれる思いをするからだ。はたして彼らの未来は…。 

 5月22日(金)夜、北大スラブ・ユーラシア研究センター主催の公開講座「動乱のユーラシア」の第4回目講座があった。
 今回のテーマは「イスラーム国の脅威と国際社会」と題して、日本エネルギー研究所・中東研究センターの保坂修司氏が講師を務めた。

          

 まず彼ら(IS)の戦術として名高い「ジハード主義」についてだが、実は彼らがこうした主義を顕わにし、それを戦術として用い始めたのはそれほど歴史のあることではなく、1979年のソ連軍のアフガニスタン侵攻時のことだという。
 無神論の共産主義者(ソ連)がイスラームの国であるアフガニスタンを侵攻することに対して、ムスリム(イスラム教徒)がそれを駆逐するために戦うことは義務であり、聖戦(ジハード)である、という論理をムスリムたちに強いたのが始まりとされる。

 続いて、1990年の湾岸危機の際に米軍がサウジアラビアに駐留したのは、イスラームの聖地(メディナ)を占領したことになるから、アメリカ人はジハードの対象であるとして1996年に対米ジハードを宣言するのである。このことが2001年の9.11事件へと繋がっていった。
 このようにムスリムの指導者たちは、ジハードの対象を次第に広げていったのであるが、彼らはさらに変貌していった。

 2003年に勃発したイラク戦争において、イラクにには米軍主導のもとシーア派政権が誕生した。
 実は、ジハードにも〔大ハード〕と〔小ハード〕と二つの考え方があるらしい。大ハードは心の戦いを重視するのに対して、小ハードは武器を取り、自爆テロも辞さない戦いを重視する考え方で、大ハードがムスリム全体の考え方に対して、小ハードはスンナ派の一部が標榜している考え方だという。
 そうした中に誕生したイラクのシーア派政権に対して、スンナ派の指導者たちは「タクフィール主義」という論理(ロジック)を主張し出したそうだ。「タクフィール」とは、不信仰者認定ということで、シーア派は不信仰者であるからジハードの対象であるとして、彼らを攻撃し、イラクは内戦状態に突入するのである。

 そして、それは2006年のイラク・イスラーム国宣言へと繋がっていった。
 さらには、その後勃発したシリア内戦に乗じて勢力範囲をシリアにも拡大しているのが今日の状況と云える。

 このように、特にスンナ派の指導者たちは預言者ムハンマドの言を盾に次々と拡大解釈(?)し、ジハード主義を正当化し、それに盲目的に追従するムスリムの拡大によって今日の混迷が生れていると云ってよい。

 もちろん私のこのまとめは、私自身のためであり、非常に簡略化、単式化したものである。講義では複雑化・混迷化した状況について、もっともっと詳細な説明があったのだが、それら全てレポートする力は私にはない。

 問題は今日のように複雑化し、混迷化した現況をどう解きほぐし、彼らを論理的に説得できるかということなのだが、世界の英知を結集してもその答えをいまだ見出していないということだろう。
 まだまだ力対力の戦いが続けられるのだろうか?? う~ん………。