田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

幽玄なる世界~東山魁夷展

2019-06-21 15:35:40 | イベント

 壮大なる幽玄の世界だった。東山魁夷が描く唐招提寺の障壁画は何枚もの襖絵が連なる壮大なスケールで描かれたものだった。美術に疎い私であるが、その幽玄に満ちた壮大な障壁画には圧倒される思いだった…。

           

  ※ 会場入り口の展覧会名が掲示されていて、唯一撮影が許されるものです。他の写真はウェブ上から拝借しました。

 何度も同じセリフを呟くが、美術に疎い私にとっては私の住まいの近くにある美術館(北海道立近代美術館)は近くて遠い存在である。その美術館で現在「東山魁夷」の展覧会が開催されている。美術に疎い私でも東山魁夷の群青と緑青に彩られた独特の世界観を表す作品は覚えていた。特に画の中に白い馬を配した「緑響く」という作品は私でもよく知っている。

             

            ※ 東山魁夷の代表作の一つ「緑響く」です。作品は会場に展示されています。

 「東山魁夷の世界に浸るのも悪くないなぁ…」と思い、昨日(6月20日)「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」が開催されている近代美術館に足を運んだ。

 唐招提寺はご存知のように中国・唐から渡日した高僧・鑑真が建立し、晩年を過ごした寺院ある。その唐招提寺内にあり、鑑真和上座像が安置されている「御影堂」は、もとは興福寺の子院だったが、その後幾多の変遷を経て1964年に唐招提寺に移築されたそうだ。

 その際、実際の経緯については調べ切れていないが御影堂の障壁画やふすま絵を描くことが東山魁夷に依頼されたということのようだ。魁夷はそれから10年の歳月をかけて全68面の膨大な障壁画やふすま絵を完成させたということだ。

          

          ※ 障壁画の一つ「濤声」です。

 会場内は御影堂内部を模したように畳が敷き詰められ、まるで一つの部屋のような造りの中に襖(ふすま)が何枚も立てられたスケールの大きな絵が並べられていた。障壁画は全部で6作(全68面)であるが、うち2作は東山魁夷の世界ともいうべく群青と緑青に彩られたものであるが、残り4作は水墨画であった。会場内の解説によると、群青と緑青に彩られた2作は日本海を表したものであるのに対して、残り4作は鑑真の故郷の中国の風景を描いたもので、依頼があった当初から魁夷は中国の風景は水墨画で描くと決意していたという。

 魁夷の青の世界はもちろん素晴らしいが、水墨画の世界も深淵なる世界を表していて惹きこまれる思いだった。

          

          ※ 作品は「桂林月宵」です。障壁画としてはこのような水墨画が多かったです。

 私にとって大きな発見は、「御影堂障壁画への道程」というコーナーだった。魁夷はスケールの大きい障壁画を描くために、実に7つの過程を経てようやく完成させるという大変根気強い制作過程を踏んでいたことを知った。私のメモによるとそれは、①スケッチから始まり、②小下図、③中下図、④割出図、⑤大下図、⑥1/5サイズの試作、⑦本制作という過程を経て完成させたことを知って、人々を感動させる画が完成するまでには制作者の膨大なエネルギーが注がれていること知った。その制作過程の作品も見ることができるのが本展覧会の見どころの一つでもあると思われた。

 ともかく美術に疎い私が画を見て感動するなどという体験はいつ以来だったろうか?と思い出せないくらいだが、本展覧会は久々に興奮し、感動できた展覧会だった。

 

 展覧会を観賞中に思わぬ出会いがあった。私が解説を読んでいるときだったと思う。「あの~○○(私の名)先生ですね?」と男性から声をかけられた。「私は○○です」という。そう言われて件の男性を見ると、私が2001年から2004年にかけて網走市の某小学校に校長として勤務していた時のPTAの方だった。およそ20年前に出合った方から声をかけていただいたのだ。よく憶えていてくれたものだ。展覧会の会場内だったため、多くの話はできなかったが、声をかけていただいたことには感激した。もし反対の立場だったら、私は彼に気づくことはなかったと思う。感激した私は帰宅してから件の学校のHPを何度も見返し、当時に思いを馳せたのだった。

 

 購入手続が完了いたしました。

  昨日は待っても待っても繋がらなかった東京オリンピックのチケット購入手続きでしたが、本日ブログ投稿後にトライしてみたところ、簡単に購入手続きが終えることができ、見出しのようなメッセージが届きました。

 入場者の再確認の後、紙チケットにするのか、モバイルチケットにするのか、ホームプリントにするのか、問われたので「ホームプリント」を選択、その後VISAカード支払いか、コンビニ支払いかを問われたのでVISAカード決済を選択して、すべて終了でした。それぞれの選択理由は、選んだ項目が手数料等が発生しないためです。(紙製のチケットを請求すると、それだけで1,000円以上請求されるそうです)

 後は来年5月以降にホームプリントが可能となるまで待つだけということになりました。これでまずはホッと一息です。