テレビなどでもお馴染みの中国研究家として知られる興梠一郎氏の講演を楽しみにしていたのだが、期待外れの感が強かったな?もう少し真剣に論じてくれると思っていたのだが…。
一昨日(10月22日)午後、ニューオオタニインにおいて「エネ・フィール」という女性団体が主催する「エネ・バスケット学習会」に参加した。エネ・フィールとは、「北海道エナジートーク21」の趣旨に賛同する女性団体のようである。その団体が、神田外国語大学の興梠一郎教授を招請して「いま中国で何が起きているのか?~習近平体制と課題」と題して講演をするというので期待を抱いて参加した。
※ 講演をする興梠一郎氏です。
ところが、お話は最初から興梠氏の宣伝めいたことから始まった。すなわち「私の言っていることを知りたかったら、私のOfficial You Tubeを見よ」と言っているかのごとく、興梠氏が作成しているページを映し出したり、ご自身の著書を紹介したり、まるで自身の宣伝のために演壇に登場したのかと聴いている者たちが錯覚するような出だしだった。
※ 興梠氏が発信するYou Tubeチャンネルのページを映し出しました。
そして一応、次の3点についてお話したいと提示した。
① 日本人学校児童刺殺事件
② 日中の経済問題
③ 台湾問題に絡んだエネルギー関連問題
とした。
しかし、内容的には私には空疎にしか映らなかった。
興梠氏はお話しながら、なぜか絶えず笑いを交えながら話すのだが、会場は凍り付いたように誰一人笑う人がいなかったのを興梠氏はどう受け止めたのだろうか?私には興梠氏が中国の一般大衆を嘲笑する笑いだったのかな?と受け止めたのだが…。
① の日本人学校児童刺殺事件に関して、興梠氏は「中国政府の姿勢が中国の一般大衆を扇動している節がある」と指摘した。
そして中国は「報復社会」であるとも述べた。「報復社会」とは「低収入や失業中で社会的地位の低い男性が社会への報復をする」ことだとし、日本人学校児童刺殺事件もその一環だとの見方を示した。
② についてはほとんど触れなかったが、③ について、中国が台湾の周囲で軍事演習を繰り返しているのは、台湾への燃料輸入のルートを封鎖する狙いがあるとし、中国軍が台湾上陸をしなくとも台湾を窮地に陥れることができると指摘した。興梠氏によると台湾は一週間燃料の輸入がストップすると、国が立ち行かなくなると指摘した。
そして最後に興梠氏は「中国国家主席である習近平は比類なき存在となってしまい、大きな誤りを犯す可能性が一気に大きくなった」と指摘した。
凡そのお話は以上のようなことだった。しかし、この程度のことは私たち一般人もメディアを通じて、それとなく把握していることとそれほど変わらないのではと思った。
問題は、そうした中国の現状に対して、私たち日本人はどう考え、どう対処すべきなのか示唆することが中国研究者としての在り方なのでは?と思うのだが、その必要はないのだろうか?それとも、それは氏自身のYou Tubeを見てくれ、ということなのだろうか??
私にはやや期待外れに終わった感の強かった講演会だった…。