血管の老化、すなわち動脈硬化はあらゆる死因に直結するやっかいな老化だという。その血管の老化の進行を止める(遅らせる)ためには、私たち自身が日常生活に気を付けながら生活することが大切であると講師は強調された。
昨日(10月27日)午後、共済フォーラムにおいて(一財)北海道心臓協会の主催で「北海道心臓協会市民フォーラム2024」が開催され参加した。
フォーラムは二つの講演から成っていた。
講演第一部は「血管の老化(動脈硬化)を予防する生活習慣」と題して札幌医大の循環器・腎臓・代謝内分泌内科学教室の古橋眞人教授が講演された。
講演第二部は「心臓拍動のしくみ」と題して札幌医大の當瀬規嗣名誉教授が講演された。
當瀬氏はコロナが蔓延したころからTVのコメンテイターとして出演され、その病態について分かり易く、かつ軽妙な語ることで人気の方である。今回のお話は當瀬氏の専門である心臓が動く仕組みについて、マウス(ねずみ)の心臓を用いてそのメカニズムを明らかにするということについてお話された。実際にマウスの心臓を取り出し、それが動いている画像を見せていただきながらのお話は、當瀬氏の話術の巧みさも伴い興味深いものだった。しかし、内容的には医学生向けともとれる専門的な内容だったことから、そのお話を私が再現するには荷が重いと感ずるので申し訳ないが割愛させてもらい、古橋氏のお話に限ってレポすることにする。
※ 當瀬規嗣札幌医大名誉教授です。
古橋氏はまず下図のようなグラフを示し、日本人の死因で心疾患はガンに次いで多く、日本人の死因の1/4は心疾患によると強調された。
その心疾患であるが、患う遠因として「加齢」、「運動不足」、「生活習慣の乱れ」、「食生活の乱れ」などがあるという。
そもそも心疾患とは、心筋梗塞、狭心症、突然死などを指すが、その主たる原因は高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの生活習慣病や喫煙によって生じる動脈硬化であるとし、特に「肥満」については、「肥満」に伴うさまざまな病気を引き起こす元凶になるとして「メタボリック・ドミノ」という言葉を紹介され、下図のよう図を示された。つまり「肥満」がさまざまな病気の元凶として、次々といろいろな病気を誘発するということで生まれた言葉である。
そうした「肥満」の状態を避けるためには、上記のように日常の運動、生活習慣の乱れを正す、食生活を適正にする、などが必要であると強調された。
※ 古橋眞人札幌医大教授です。
「肥満」については心疾患のみならず「万病の元」とも云われることが多い。そしてその予防のためには、①日常の運動の必要性。②生活習慣を正す。③食生活を適正にする。の3点については、いろいろな専門医が共通して強調されることでもある。私も日常生活においてはそれなりに気を付けて生活してきたつもりであるが、今後はさらにそのことを強く意識しながら少しでも「健康寿命」を永らえたいものと思いながらお聴きした古橋教授の講演だった。