日本国内では某東京都知事のパフォーマンスで、ディーゼルエンジンの乗用車がほとんど絶滅状態だったが、久々に日産はディーゼルエンジン搭載車のエクストレイル20GT(クリーンディーゼル)をリリースしてくれた。今回短い時間だったが、それに乗ることが出来たので、おおまかな私個人の印象を語ろう。
このクルマは、今時珍しくMT車のみのリリースである。私はMT乗りなので、この点に関してはまったく問題はないのだが、一般ユーザーのことを思うと、やはりATが欲しいところだろう。ディーゼルの触媒ユニット等搭載により、スペースの関係でATトランスミッションが載らないのだとディーラーの方は語っていたが、その辺はなんとか技術開発でクリアして、AT搭載で満を持してこのクリーンディーゼルをデビューさせた方が、長い目で見れば得策だったのではないかと私は思うのだが・・・
で、エンジンを掛けてみる。振動は皆無ではないし、エンジン音もある程度は響いてくる。私が普段乗るクルマは非常に静かでスムーズなレガシィ2.0iなので、それと比べるのはヤボというものだろう。騒音や振動も、目をつぶれる範囲にあるし、かつてのやかましいディーゼル車とは一線を画する。
走りだしてみると、非常に軽快に元気よく、エンジンの吹け上がりも上々。ステアリングフィールも悪くない。ディーゼル車といえば、私はもう15年も前に、叔母が乗っていたマークⅡのディーゼルに乗ったことがあるが、そのクルマのドロリとしたエンジンとシャキッとしないステアリングフィールにガッカリしたものだ。それとは違い、このエクストレイルは、なるほど「GT」を名乗るだけの資質は備えているように思えた。また、このディーゼルは粘りのあるエンジンなので、平坦路ではセカンド発進も可能である。さすがに傾斜のある交差点でのセカンド発進はやや苦しかったが・・・
エクストレイル・ディーゼルの問題は、やはり価格とミッションだろう。
299万9850円のクリーンディーゼルと、237万3000円の20Xとの価格差は60万円以上・・・燃料代でモトを取るには相当距離を走る人でないと難しいだろう。現実的に私が購入するとしても、20Xの方を選んでしまいそうな気がする。
また、6速MTについては、第6速は変速比0.596とかなりハイギヤードなので、完璧に高速巡行用である。このディーゼルエンジンのトルクを活かして走るのならば、各ギヤの守備範囲を拡げて4速MTにした方が、むしろ日本では使いやすいのではないかと思ったりして・・・
とはいえ、このクルマが日本国内でのディーゼルエンジンの弱い立場に風穴を空けてくれるよう願いたい。このクルマをリリースしてくれた日産にエールを送るとともに、スバルのボクサーディーゼルにも大いなる期待をしてしまう私なのであった。