VWゴルフは、いつの時代もクルマ好きにとってはひとつの評価の基準となるクルマだといえよう。そんなゴルフの新型が、ついに日本国内にも投入された。我々取材班は、いそいそと見物に出掛けた。
インテリアの質感はきわめて高く、初代や2代目の頃の質実剛健なゴルフのイメージが抜け切らない私には、まさに隔世の感がある。
先代同様、リヤシートを倒しても荷室はフラットにはならない。
初期のゴルフのリヤシートはダブルフォールディング式で、いざという時にはかなりの荷物を積めたのだが、昨今は荷物の積載性よりもリヤシートの掛け心地重視の傾向が強いのでこうなったのだろう。これも、時代の流れですネ。
とはいえ、センターアームレストスルーを採用しているので、4人乗車時でもスキーを室内に積めるのは、非常に便利そうである。
試乗させていただいたのは、「TSI Highline」(7速DSG:税込車両本体価格312万円)というグレードである。
プラットホーム等は先代のゴルフをほぼ流用し、スキンチェンジという色合いが強いという今回のモデルチェンジだそうだが、静粛性は大きく進歩したというセールス氏の話であった。エンジン音は確かに静かだったが、相対的にロードノイズは結構気になるというのが、私の運転してみての率直な実感である。全体的な静粛性そのものは、私のレガシィ2.0iの方が優秀といえよう。
とはいえ、力感のあるエンジンや剛性感のあるボディ、しっとりとした乗り心地、DSGの緻密なフィール、優秀な燃費(10・15モード燃費16.2km/L)等で、このクルマの価格対満足度は、非常に高そうだ。
ただ一つ残念なのは、ヘッドライトやテールエンドの処理が、これまでの「ゲルマン風味」が薄れ、やや日本車的というか、オペルっぽくなってしまった点である。
また、この新型ゴルフの全幅はいまや1,790mmに達するのだ。とはいえ、公道を運転している限りは、車両感覚の摑みやすい視界のいいボディであることもあって、特に取り回しに難儀するような場面はなかった。「次期レガシィも、1.8mを切る全幅で出てくれるなら、ぎりぎり許容範囲かなァ」などと、思いを馳せながらの試乗であった。