私の予想に反し、受注1万台突破と好調なスタートを切った、ホンダCR-Z。しかも、そのうち4割がMTだという。友人の尾車親方より、そんなCR-ZのMTの試乗車があるとの情報を入手した。我々取材班2名は、嬉々としてホンダのお店に向かった。
このクルマには、3つの走りのテイストを選択できる「3モードドライブシステム」が付いている。停車時に「NORMALモード」でエンジンを掛けると、アンビエントメーターのリングはブルーに。
「ECONモード」に切り替えるとグリーンに。
そして「SPORTモード」では常時レッドに発光し、走りの気分を高揚させる。
まごうかたなき、6速マニュアルトランスミッション!
まずは発進時に私が試したかったことを確認してみる。それは、「このクルマはエンストした時に、モーターアシストのみで発進することが出来るのだろうか?」という命題である。2速発進では、私のクラッチのつなぎ方が慎重すぎたためかエンストさせることが出来なかったのだが、3速発進では当然のごとくエンスト!そしてその際は、ギアを1速に戻してもやはりモーターのみでの再発進は不可能で、エンジンを掛けなおさなければならなかった。さらに、停止時にクラッチを切らなかったらどうなるか試したところ、やはりエンストし、再発進不能に・・・要するに、一般のMT車と同じように扱わなければならないということなのだ。
そんな実験はさておいて、このMT車の走りである。想像よりもややトルクが細いような印象もあったが、ギアを選んで好きなように走ることができる快感は、やはりMT車ならではのものだ。スムーズに走らせるためにはシフトダウン時に回転合わせが必要なのも、通常のMT車と同じ。ただし、そのシフトフィールについては、私のレガシィ2.0i(5MT)よりも、若干大味な印象を受けた。
さらに「ECONモード」と「SPORTモード」では、スロットル開度に対するパワーの食いつき感が明らかに異なっており、それはスバルの「SI-DRIVE」にも通じるものがあることを、この度再確認した。一方、モード切替の際のステアリングの重さの制御の違いまでは、街中の走行ではよくわからなかったというのが正直なところ。山道を走れば、それは多少明らかになるのかもしれない。
また、街乗りでは、停止時に積極的にアイドリングストップをする。その一方で、走り出すと必ずエンジンが回るので、トヨタのプリウスほどのいわゆる「ハイブリッド感」は希薄で、どちらかといえばマツダのアクセラの「i-stop」に近いイメージ。
また、全体的な乗り味については、どちらかといえばがっしり感が強く、私が期待していたような軽快感には若干欠けていたが、総じて走らせて面白いクルマだ。
やはりMT車には、クルマを走らせる歓びがある。このクルマのリリースをきっかけに、MT車の良さが見直されればいいナと、アナログで旧い思想のオヤジの私は、考えているのだ。