トヨタとホンダのコンパクトカーが、相次いでフルモデルチェンジした。
この2台を、三栄書房の「~のすべて」を読み解きながら、私なりに「エア試乗記」を記してみたい。
まずは、「ヴィッツ」改め「ヤリス」である。
このクルマは、日本でいえば、いわゆる「4代目ヴィッツ」にあたる。
「デミオ→マツダ2」同様、この機会にローカルネームを改め、グローバルネームを名乗ったということになる。
私見では、ヴィッツはモデルチェンジを重ねるごとにピントがボケて、特に先代の「3代目ヴィッツ」は「コストダウン感丸出し」のあまり感心できないクルマであった。
しかしながら、今回の「ヤリス」は、その凝縮感のあるスタイリングがなかなかカッコよく、私的にはまさに「初代ヴィッツの再来」と評価したい。
液晶デジタルメーター等をフィーチャーしたインテリアの造りも、かなり良さげ。
「1.5リッター3気筒エンジン」のフィールがいかなるものなのかを、試してみたい衝動が、私を眠らせない。
カタログ上のWLTCモード燃費も、ハイブリッドのFF車で36.0km/Lと、これまた優秀。
また、ガソリンのFF車に、いまや絶滅危惧種の「6MT」が用意されているのも、見逃せないチャームポイントである。
ただし、先日の札幌モーターショーでも感じたのだが、後席スペースについては、かなり割り切っている模様。
「ドライバー重視」に舵を切ったこのヤリスが、市場でどのように評価されるのか、刮目である。
そして、今回で4代目となる、「新型フィット」。
そのスタイリングは、先代の「ごちゃごちゃと余計な線の多いビジーなデザイン」からうって変わって、プレーンで淡泊である。
今回のフィットのデザインチームは、裏コンセプトとして「柴犬」をイメージしたのだという。
そう言われてみると、確かに、このクルマが柴犬に見えてくるから、不思議だ🐕
センタータンクレイアウトがもたらすそのスペースユーティリティは、初代から綿々と続く、フィットというブランドの美点。
プラットフォームは「先代のキャリーオーバー」だが、その乗り心地はしなやか系にチューンされているという。
開発チームが強く意識した競合車が「シトローエンC3」であるという点も、これまた見逃せないチェックポイント。
バイザーを廃した液晶メーターも、21世紀感に溢れている。
また、基本の「BASIC」・ちょっと上質な「HOME」・アクティブな「NESS」・高級な「LUXE」・SUVテイストの「CROSSTAR」という5つのバリエーション展開も、なかなか面白い。
雪国に住む私としては、最低地上高を高めた「CROSSTAR」に着目である。
しかしながら、先代にはあったMTモデルや、スポーティモデル「RS」が、現状では用意されていないのは、やや残念。
日本を代表するベーシックカーである「ヤリス」と「フィット」。
ドライバー重視の「ヤリス」と、ユーティリティー重視の「フィット」。
同じカテゴリーに属する2台だが、そのベクトルは、かなり異なっている。
市場は、どちらを支持するのであろうか・・・興味津々である🚘