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牛シャブシャブ

牛シャブシャブ(昆布出汁。白菜、大根、白ねぎ、春菊、舞茸、エノキ茸、牛肩肉の薄切り。仕上げに残った野菜を揚げて、味噌煮込み。スーパーのパックを買ってきて、生うどんと八丁味噌で)

2006-12-28 22:26:11 | 夕食・自宅 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


『ウェブ人間論』

梅田望夫・平野啓一郎、2006、『ウェブ人間論』、新潮新書

『ウェブ進化論』の梅田と芥川賞作家の平野のWeb2.0時代の人間についての対談。主要な論点は、大きく分けて以下の五つがある。ほかにもあろうが、興味深かったのが、以下のものである。それは、(1)「ヴァーチャルなネットワークでつながる人間関係」、(2)「匿名性の中での人間関係」、(3)「著作権問題に関連してネットメディアと出版メディアの未来」、(4)「ネット社会の理系的倫理観」、(5)「ネットワーク世代論」。

(1)フェイス・トゥ・フェイスの人間関係以上に広がるヴァーチャルな人間関係の中で、人間がどのように適応していくのか、梅田はブログによる成長を指摘する。
(2)「2ちゃんねる」の問題や特定ブログの「炎上」など、匿名性を隠れ蓑にしたネットワークの暴力が問題となるが、匿名とはいえ、同じハンドルネームで登場することによって、特定のキャラクターを演ずるわけで、ネットワークの中でこれから匿名性の問題について学習が進んでいくと楽観視する梅田に対して、平野は相ではない。
(3)アマゾンの「なか味!検索」を引き合いにして、ネットワーク上に著作が公開されるような状況では、出版物は危機的状況に陥るのではないかと平野は指摘する。それに対して、梅田は雑誌は危ないかもしれないが、ネットワークに中味が公開されることによってむしろ、ロングテールの右側(?、あるいは、左側?、販売量が少ない側)のなかに、かえって、再発見される可能性を生むという。また、中味を公開すると言うだけではなく、著者自身やハウ・トゥ・メイクなどの情報をブログなどを通じてと出することを通じて、販売拡張につながるのではないかと指摘する。
(4)平野は、メールの画面にメールの内容に関連する情報を掲載するグーグルのGmailを例にして、個人情報とネットワーク技術の危うさを指摘する。前著でグーグルを「世界政府」と表現した梅田は、グーグルの技術者たちの「スターウォーズ」フリークを例にして、むしろ、心配ないという。平野は科学技術の中立性神話は危ないと指摘するのだが。
(5)ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスが1955年生まれ、現在のパソコンブームの基盤を作った。マイクロチップの誕生を見て、現在のような世界を想像したかはおくにしても、かれらは、ハードウェアを作り出しただけではなく、OSとライフスタイルを生み出した。梅田は1975年生まれを「ゴールデンエージ」という。「ミクシィ」の笠原、「はてな」の近藤、対談相手の平野もそう。かれらは、Googleのセルゲイ・ブリンやラリー・ペイジより数歳若いだけで、グーグル世代と言ってもよいだろう。彼ら世代は10代後半から20歳代をネットワーク草創期からネットワーク時代をすごした。彼らの生活はネットワークが前提にある。また、技術的な関心も、ネットワーク技術の人間社会への適用あるいは活用である。また、オープンソースについての信頼感が高い。

梅田の前著『ウェブ進化論』よりも面白かったというのが正直なところで、前著はあまりに技術的楽観主義過ぎていたのに対して、本書では、平野との対談の中で、攻守立場を代えて語り合う中でのやり取りは、梅田自身のネットワーク・クルージングの手法が垣間見えて興味深かった。つまり、ブログへのスタンスあるいは、著作についてのこだわり(父君が作家であり、著作物の収入だけで生活していたことが明かされる。私が知らなかっただけだけれど)であり、世代論的な自身の位置づけ、また、ネットビジネスの中でのスタンスである。

わたしは、このブログを書き始めたのが2003年12月7日。もう、まる3年をすぎて、4年目にはいった。ブログのタイトル「読書と夕食」は、梅田が書名「ウェブ進化論」「ウェブ人間論」をグーグルで検索し、使用されていないことをチェックしたと書いているが、私も、同じことをやった。もちろん、本を読むことや料理することは趣味でもあり、日常でもあるので、私の生活そのものなのだけれど、このタイトルを思いついた時が、ブログを書ける、続けることができると確信が持てた瞬間であった。
また、わたしはsig_sという筆名で書いていているが、ほかにもブログを持っていてこの名前を使う。最近では、ある種の分身のように思えてきた。まだ、明確な分離したキャラクタになっていないのだけれど、どのように成長していくのか、楽しみにしていることは確かだ。
私は1951年生まれで、すこし遅れてきた団塊の世代だ。これから、団塊の世代が退職を経験して、自己表現の一つの手段としてブログに登場するだろうといわれているが、そうしたときが楽しみである。梅田のいう「ゴールデンエイジ」は団塊ジュニアなのだが、ネットワークで交錯するのはどんな具合になるのだろう。世代論を超えて観察を続ける必要があると思う。

以前に、以下の三冊を並べてコメントしたのだが、手前味噌ではあるが引用しておきたい。
http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/e68c34ae8846c43149182c273704df19
佐々木俊尚、2006、『グーグル:既存のビジネスを破壊する』、文春文庫
ジョン・バッテル、2005、『ザ・サーチ:グーグルが世界を変えた』、日経BP社
梅田望夫、2006、『ウェブ進化論:本当の大変化はこれから始まる』、ちくま新書

ウェブ人間論

新潮社

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グーグル:既存のビジネスを破壊する

文春文庫

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ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

日経BP社

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ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

筑摩書房

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2006-12-28 12:25:00 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )