湯豆腐
鮎の甘露煮
ほうれん草のおしたし(江南の畑から)
なめこの味噌汁
いただきもののジャコ山椒とアサリの佃煮
白菜の即席漬け(自家製)
野村進、2006、『千年、働いてきました:老舗企業大国ニッポン』、角川Oneテーマ21
日本に長い歴史を持つ企業があることは知っていた。この夏、「金剛組」という大阪の四天王寺を創建の際に建築に携わった企業が倒産したというニュースがでたとき、関連ニュースで、日本の老舗企業のことが報道されたことがある。金剛組は、半島からやってき寺院建築の工(たくみ)を紀元としていて、なんと、紀元578年
にさかのぼるという。世界的に見て、これほど古い企業はない。「エトリーニ・フィレンツェ」という金細工メーカーが、1369年だそうだ。いずれにしても、金剛組の歴史はとんでもなく古い。
本書の著者の野村進は、ノンフィクション作家として著名であるが、かれの仕事は、足で稼ぐ(あたりまえか)取材である。本書に関わる取材では、創業百年以上の企業を600社ほどリストアップし、業種でふるいに分け、各種の資料で30社ほどに絞り込み、取材に応じた21社に足を運び、本書ではそのうち19社を登場させている。
野村は、ヨーロッパやアジア、植民地主義の様相などを分析し、たくさんの老舗製造業を現在ももつ日本の状況について、アジアには「商人のアジア」と「職人のアジア」の伝統があるという。また、同時に長く続いた理由の一つに、職人を蔑視しない、それどころか、為政者も職人(例えば、築城の工であったり、土木の工であったりする)であって、職人とともに汗することもいとわなかったこともかかわるという。中国やインドというアジアの大文明ではそうしたことは考えられず、企業化しない家業をもつ古い家は存続するかもしれないが、現在も企業として存在していないという。
著者は、これらの老舗企業が生き延びてきた秘訣を五項目にまとめている。
(1)同族経営は多いものの、血族に固執せず、企業存続のためなら、よそから優れた人材を取り入れるのを躊躇しないこと。
(2)時代の変化にしなやかに対応してきたこと。
(3)時代に対応した製品を生み出しつつも、創業以来の家業の部分は、頑固に守り抜いていること。
(4)それぞれの「分」をわきまえていること。
(5)「町人の正義」を実践してきたこと。
グローバル化の中で日本企業がどのように生き残るのか、老舗企業のあり方について、その技術に集約して読み解こうとしているのが本書である。
それは、ともかくも、「トリビアの泉」のようなネタが満載で、楽しく一気に読んでしまった。
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2006-12-11 15:48:20 |
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渡辺千賀、2006、『ヒューマン2.0:web新時代の働き方(かもしれない)』、朝日新書
カリフォルニアのシリコン・バレーの居住者、特には技術系の仕事をしている人々のワークスタイル、ライフスタイルを概観したのが本書である。企業のビジネスシフトや経済の波でレイオフされたり、アメリカの税制や医療制度、シリコンバレーの住宅事情などで経済的に厳しい部分を克服しつつ、ベンチャーを立ち上げたり、転職によってサクセスしようとする人々のワークスタイル/ライフスタイルを描く。
本書では、フリーランス、ライフスタイルワーカー、チャンクワーカー、ポートフォリオワーカーという四つの働き方を取り上げる。
フリーランスとは、個人の持つ能力とセールスポイントになるニッチ(適所)な働き場所を見出し、短期間の請負仕事を行うもので、企業化したり、個人としての能力を提供する。
ライフスタイルワーカーとは、「どこで暮らすか」「どんな生活をするか」というライフスタイルを重視してそれに適合する働きをする人々である。
チャンクワーカーとは、仕事を一生連続するものとはとらえず、一定期間ごとの「かたまり(チャンク)」として、まとめ働きする人々のことである。
ポートフォリオワーカーとは、いくつかの仕事を掛け持ちする人々で、働き場所や仕事のリスクを分散させようとして、メインの仕事のほかに、フリーランスの仕事をしたりする。
著者はこうしたワークスタイルをさして「ヒューマン2.0」と名づけ、「Web2.0」になぞらえ、シリコン・バレーでの人々の生活を例に新しい働き方を提示しようとしているわけだ。著者自身は、企業化フリーランス。とはいえ、社員は一人。そして、一仕事ごとにフリーランスを集めて仕事をする。彼女のニッチは、日米企業アライアンスをコンサルティングするというものである。
学歴、意欲、好奇心、ライフスタイルへのこだわりなどだれもがまねができるとは思えないが、本書では、「会社にこだわらない仕事」についてのアイデアを提示したり、こうした生活についての「べき集」も書かれていて、大変興味深い。
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2006-12-11 07:48:01 |
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