『ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫)』
シルヴィア・ナサー、2013、『ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫)』、新潮社
寝本だったのでずいぶん時間がかかった。この本はあまり入眠にとって障害ではなかった。それは、時間がかかったことでもわかるが、しかし、最後まで読み通そうという気にはなった書籍ではあった。それは、以下のような疑問がなかなか解けず、読了ももやもやとしたままであるからなのだが・・・。
ノーベル経済学賞受賞の数学者ナッシュの天才ぶりのエピソードはおくとして、この書籍は何を語ろうとしたのかということだ。統合性失調症から、医学的治療をへずして自力で回復したナッシュの物語というのが、筋なのだが、しかし、それは、ほかの誰かだったら、つまりは、ノーベル受賞者のような天才でなかったら治癒できなかったのだろうか。あるいは、もし、主人公がナッシュでなければそれをおそらくは、だれも記録しなかった(本書以外に治療をへずして統合性失調症から社会的復帰を遂げた人物はあったのだろうか)ということは、医療の結果統合性失調症が治るのかなおらないかという問題と直結するのではないか、というのがはなはだ疑問に残るところだ。
書籍の目的としては、市井の何のなにがしかわからぬ人物が、統合性失調症から自力で立ち直ったところでネタにはならなかった、というところなのだが、くわえて、疑問は、はたして、彼のような天才であればこそ、社会的な環境が彼を回復させる契機となったのかどうかは、よくわからない。周りの人は、たとえば、彼を励まそうと言う意図をふくめてノーベル賞に推薦しようとしたり、フィールズ賞に推薦しようとしたりするのだが、それを手がかりにナッシュが励ましとして回復したとしたら、いったい、市井の統合性失調症患者は何を励みにすればいいのだろうか。
私にとっては、どうも、救いのない物語であったような印象なのだがどうなのだろう。
寝本だったのでずいぶん時間がかかった。この本はあまり入眠にとって障害ではなかった。それは、時間がかかったことでもわかるが、しかし、最後まで読み通そうという気にはなった書籍ではあった。それは、以下のような疑問がなかなか解けず、読了ももやもやとしたままであるからなのだが・・・。
ノーベル経済学賞受賞の数学者ナッシュの天才ぶりのエピソードはおくとして、この書籍は何を語ろうとしたのかということだ。統合性失調症から、医学的治療をへずして自力で回復したナッシュの物語というのが、筋なのだが、しかし、それは、ほかの誰かだったら、つまりは、ノーベル受賞者のような天才でなかったら治癒できなかったのだろうか。あるいは、もし、主人公がナッシュでなければそれをおそらくは、だれも記録しなかった(本書以外に治療をへずして統合性失調症から社会的復帰を遂げた人物はあったのだろうか)ということは、医療の結果統合性失調症が治るのかなおらないかという問題と直結するのではないか、というのがはなはだ疑問に残るところだ。
書籍の目的としては、市井の何のなにがしかわからぬ人物が、統合性失調症から自力で立ち直ったところでネタにはならなかった、というところなのだが、くわえて、疑問は、はたして、彼のような天才であればこそ、社会的な環境が彼を回復させる契機となったのかどうかは、よくわからない。周りの人は、たとえば、彼を励まそうと言う意図をふくめてノーベル賞に推薦しようとしたり、フィールズ賞に推薦しようとしたりするのだが、それを手がかりにナッシュが励ましとして回復したとしたら、いったい、市井の統合性失調症患者は何を励みにすればいいのだろうか。
私にとっては、どうも、救いのない物語であったような印象なのだがどうなのだろう。
ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡 (新潮文庫) | |
シルヴィア・ナサー | |
新潮社 |