『フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)』
フランク・ウィン、2014、『フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)』、筑摩書房
2010年にアムステルダムに行ったことがある。5泊7日(現地5泊機中泊2泊ということ)で初めてのヨーロッパは慌ただしく過ぎた。短い滞在だったが、学会報告もしたし、あちこち歩きまわった。街歩きはアムステルダムとライデン、デルフト。美術館めぐりもやりたかったことだった。しかし、その時は、シドニーからヒースロー経由でアムステルダムにカンタス航空で向かったのだが、予想通り、バゲジロス!2泊はスーツケースが来なかった。思いでたっぷりなのだが・・・。
ともあれ、フェルメール。デルフトの街の旧教会では教会の床下にあるフェルメールのお墓にお参り!また、国立美術館ではレンブラントと並んで売り物のフェルメールの実物も見た。もちろん、ゴッホ美術館も行ったが、それは、別の話。
本書は、フェルメールの贋作をナチのゲーリングにも売りつけ、国家反逆罪を免れるために贋作を告白するというまことにドラマチックな画家ハン・ファン・メーレンの贋作(贋作と判断するのは世間で、それを売りつける方にも問題があるが・・・)人生を描く。
友人が家を買った時に、由緒あるバックを持つ(おそらく、どこかのデパートの名をつかった)セールスマンが小品を売りつけに来た。気に入った友人たちは購入してダイニングの壁に飾られていて、招かれた私は見たことがある。しかし、その次に友人宅を訪ねた時にはその壁面には何も飾れておらず、友人はその理由を説明してくれた。全く同じ絵画がサイズ違いでカタログに出ていたのを発見して、クレームを付けて引き取らせたという。その背後には、若手有力画家(絵画に優れているということだ)が同じ作品を何点も書いて、それを、売りつけるというビジネスがあったとやら。友人夫婦は損をしたわけではないらしいので、笑い話ではあったが、これは、真作というのだろうか贋作というのだろうか。同じ作家の同じデザインのサイズ違い!
画家の修行の中には、模写が含まれる。つまり有名な作家の作品を忠実に模写するのだ。その筆使いや色使い、また、その構図などを学び取る。ファン・メーレンはその技術が優れていたようだ。彼の場合、単なる模写ではなく、似たような、あるいは、雰囲気を持つ他の絵を書いて、17世紀のキャンバスを使い、当時の材質の絵の具で再現したのだ。あとは、マーケットが判断してくれるというものだ。
フェルメールは、贋作というか、真贋の同定が難しい謎の寡作の作家であって、作品の数も定説は複数あるらしい。わたしは、コレクターでもなく、もちろん、金力もないから購入するなどということは出来もしないので、デルフトに行ってフェルメールの全作品の複製品を並べた美術館に行って満足する。だから、贋作騒動は楽しいサイドストーリーにすぎないのだが。
アムステルダムに行った時、「レンブラントの家」という資料館、といって、本物のレンブラントの家!!に行った。その時、レンブラントの残したエッチングで、刷り増ししたものが売られていた。この時、買えない値段でもなかったので、大いに心動いたのだが、ついに、手が出なかった。理由は実に馬鹿げていて、その年は、とんでもないグランドツアーが続いたからだ。その年はシドニーにしばらく滞在したあと、アムステルダムに行ってまたシドニーに戻り、その後、ダーウィンに行って数日過ごし、シドニーに取って返し、オークランドに行った。帰りは再びシドニーを経由して帰国。未だにレンブラントの若かりし頃の自画像のエッチングを購入しなかったことが悔やまれてならない。しかし、近い将来、もう一度行けると信じて、よしとしようか。
2010年にアムステルダムに行ったことがある。5泊7日(現地5泊機中泊2泊ということ)で初めてのヨーロッパは慌ただしく過ぎた。短い滞在だったが、学会報告もしたし、あちこち歩きまわった。街歩きはアムステルダムとライデン、デルフト。美術館めぐりもやりたかったことだった。しかし、その時は、シドニーからヒースロー経由でアムステルダムにカンタス航空で向かったのだが、予想通り、バゲジロス!2泊はスーツケースが来なかった。思いでたっぷりなのだが・・・。
ともあれ、フェルメール。デルフトの街の旧教会では教会の床下にあるフェルメールのお墓にお参り!また、国立美術館ではレンブラントと並んで売り物のフェルメールの実物も見た。もちろん、ゴッホ美術館も行ったが、それは、別の話。
本書は、フェルメールの贋作をナチのゲーリングにも売りつけ、国家反逆罪を免れるために贋作を告白するというまことにドラマチックな画家ハン・ファン・メーレンの贋作(贋作と判断するのは世間で、それを売りつける方にも問題があるが・・・)人生を描く。
友人が家を買った時に、由緒あるバックを持つ(おそらく、どこかのデパートの名をつかった)セールスマンが小品を売りつけに来た。気に入った友人たちは購入してダイニングの壁に飾られていて、招かれた私は見たことがある。しかし、その次に友人宅を訪ねた時にはその壁面には何も飾れておらず、友人はその理由を説明してくれた。全く同じ絵画がサイズ違いでカタログに出ていたのを発見して、クレームを付けて引き取らせたという。その背後には、若手有力画家(絵画に優れているということだ)が同じ作品を何点も書いて、それを、売りつけるというビジネスがあったとやら。友人夫婦は損をしたわけではないらしいので、笑い話ではあったが、これは、真作というのだろうか贋作というのだろうか。同じ作家の同じデザインのサイズ違い!
画家の修行の中には、模写が含まれる。つまり有名な作家の作品を忠実に模写するのだ。その筆使いや色使い、また、その構図などを学び取る。ファン・メーレンはその技術が優れていたようだ。彼の場合、単なる模写ではなく、似たような、あるいは、雰囲気を持つ他の絵を書いて、17世紀のキャンバスを使い、当時の材質の絵の具で再現したのだ。あとは、マーケットが判断してくれるというものだ。
フェルメールは、贋作というか、真贋の同定が難しい謎の寡作の作家であって、作品の数も定説は複数あるらしい。わたしは、コレクターでもなく、もちろん、金力もないから購入するなどということは出来もしないので、デルフトに行ってフェルメールの全作品の複製品を並べた美術館に行って満足する。だから、贋作騒動は楽しいサイドストーリーにすぎないのだが。
アムステルダムに行った時、「レンブラントの家」という資料館、といって、本物のレンブラントの家!!に行った。その時、レンブラントの残したエッチングで、刷り増ししたものが売られていた。この時、買えない値段でもなかったので、大いに心動いたのだが、ついに、手が出なかった。理由は実に馬鹿げていて、その年は、とんでもないグランドツアーが続いたからだ。その年はシドニーにしばらく滞在したあと、アムステルダムに行ってまたシドニーに戻り、その後、ダーウィンに行って数日過ごし、シドニーに取って返し、オークランドに行った。帰りは再びシドニーを経由して帰国。未だにレンブラントの若かりし頃の自画像のエッチングを購入しなかったことが悔やまれてならない。しかし、近い将来、もう一度行けると信じて、よしとしようか。
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