ササガレイの干物
小松菜と揚げさんの炊いたん
モロヘイヤのスリ流し
ナスの味噌汁
高橋源一郎(編)、『読んじゃいなよ!――明治学院大学国際学部高橋源一郎ゼミで岩波新書をよむ(岩波新書)』、岩波書店
今年もらった年賀状のひとつ(卒業生の一人からのもの)に彼女の「子どもが書いた一文も入っている」と書かれていたことを思い出して、読んでみた。まあ、岩波新書の販促本でおもしろかった。「読んじゃいなよ!」のノリで、鷲田清一の『哲学の使い方』(2014)をふまえた「哲学教室」、長谷部恭男の『憲法とは何か』(2006)をふまえた「憲法教室」、伊藤比呂美の『女の一生』(2014)をふまえた「人生相談教室」の3つの教室が著者を招いての学生との質疑応答が行われている。参加した学生たちは、正規の学生の他に、卒業生などの非正規の参加者もふまえた「高橋ゼミ」での著者たちのトークとディスカッション、読書感想文からなっている。ディスカッションは流石に高橋源一郎が口出しがないと、なんとも展開していない様子が伝わってくるし、読書感想文についてもまあ玉石混交ではある。しかし、この読んじゃいなよのノリぐらいがいいのかな、今時の学生には。
2017-06-24 12:27:45 |
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渡辺靖、2010、『アメリカン・デモクラシーの逆説 (岩波新書)』、岩波書店
オバマ時代に書かれた本書は、トランプ大統領というアメリカン・デモクラシーの一つの帰結、つまり、彼のような人物も選出されるというデモクラシー状況を踏まえて、続編がほしいところである(ひょっとして、出ているのかどうか・・・)。アメリカン・エスタブリッシュメントについてもフールドワークをふまえて、多様性を許容するアメリカを本書で描いているのだが、皮肉なことに、トランプ大統領の誕生までは、予測できなかったようではある。
2017-06-24 12:20:19 |
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フランク パヴロフ (原著)・ヴィンセント ギャロ (絵)・藤本 一勇 (訳)・高橋 哲哉 (著)、2003、『茶色の朝』、大月書店
原作は、1998年にフランスで出版されたもので、ルペンの国民戦線の躍進に対する危機感がその背景にあるらしい。本書(訳書)に文を寄せている高橋哲哉によると、茶色はナチスの軍服の色のイメージであるという。日本で訳書が出たのは、2001年のいわゆる「9.11」テロ事件と日本におけるヒタヒタと寄せてくる右傾化・管理社会化(小泉内閣の誕生と参議院選挙の自民党大勝、住民基本台帳ネットワークの発足など)に危機感をもっての翻訳出版であっただろう。
茶色の犬猫以外の殺処分、茶色新聞の登場などをへて、やがては、もと茶色以外の犬猫の飼主が自衛団によってつれさられ、やがては「茶色の朝」をむかえる。それぞれの場で「普通の人々」は、何かしらの不安な気持ちに襲われるものの、だからといって、日常に追われてやむなく、受け入れているうちに、やがては、すべてが「茶色」に染められるという恐ろしい世界だ。
じつは、2003年の本書出版当時よりも、今のほうが茶色の足音が聞こえてくる。自民党をめぐる胡散臭さはますますただ事ではなくなっている。もっと感度を上げておいて、個々の判断の局面で「ノー」と言えるようにならないといけないのだが・・・。暗い予感の書である。
| 茶色の朝 |
フランク パヴロフ (原著)・ヴィンセント ギャロ (絵)・藤本 一勇 (訳)・高橋 哲哉 (著) |
大月書店 |
2017-06-24 12:03:21 |
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