まだ視聴を続けているところだが、メモとして書いておこうか。
- 発端
「The Coroner」というBBCのAmazon Primeビデオ、そもそも、Coronerが検視官という職名に該当する(正確には、法曹関係者であるので「検視判事」だろうが)ことを知らなかったし、イギリスの法制度において、Coroner's Courtという死にについての取り扱いについて、警察-検察-裁判所とは異なるラインがあることも知らなかった。後に触れるが、理解が及ばなかった理由は、日本の状況と大きく違うということだ(死因救命、司法解剖)。
ドラマは、イングランド南部のコーンウォール半島の海岸部(おそらく、ドーバー海峡側)の架空の町を題材としているとのことだが、Exeterとか、Salcombといった地名が出てきて、風景とともにリアリティが湧いてくる。また、フランス人の遺体とか、パスポートを持って船に乗るといったシーンもある。くわえて、コーンウォール地方はケルトなのではないかと思っていたら、やはり、そうらしい。コーニッシュ語というケルト系言語も復元して、少数家族の家庭語になっているらしい。
コーンウォール半島:コーンウォール、デヴォン
- 検視官制度:Coroners Court
イギリスの司法はコモン・ローに基づき、制度化されているので、連合王国のそれぞれの地域によって様々で一概に言えない。とはいえ、ドラマの舞台になっているコーンウォール半島はイングランドに含まれるのでCoroner's Court(検死法廷)はイングランドとウェールズの両地域における様々な裁判所のうちの一つとなる。Coroner's Courtは検死審問を行うもので、Coroner、検視官(検視判事)は法務上の職務で、検死審問をおこなう。Coronerは古くは、医師が兼務する場合もあったようだが、最近は例外で、司法解剖等は、地域の医師らに委嘱するようである。
この前まで視聴していた、「Silk」もそうだが、あいかわらず知らない事が多い。そもそも、「Silk」ででてきたソリシター(事務弁護士)とバリスター(法廷弁護士、Silkは、バリスターの上級資格とでもいうべきもののようだ)、イギリスだけでなく、英連邦(コモンウェルス)諸国にも存在する制度で、当然、Coroner's Courtもまた英連邦諸国に存在する。
- 日本の場合
以前、「読書と夕食」でなにか書いた覚えがあるとおもったら、海堂尊の著書だった。「死因不明社会」では、監察医が大都市に偏っており、地方では検視が行われないケースもあるので電子的なCTやMRIを用いた方法の早期導入が訴えられていた。日本にも検視の制度はあるものの、検察官もしくは警察官がおこなうことがあり、検察・警察のラインから離れているかどう改善の問題として、検視件数の少なさと地方偏在が主張されていた。
海堂尊、2007、『死因不明社会 (ブルーバックス 1578)』、講談社
海堂尊、2007、『チーム・バチスタの栄光(上)(下) 』、(宝島社文庫 599)