東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

大学生達による田植え

2008年06月13日 | 農業体験

 一昨日から昨日にかけて大雨でした。このため、田んぼに流れ込む水量を調節したり畦が痛んでいないか見回りをしました。そして、今日の天気を心配していましたが、からりとした天気になりました。風も心地よくさわやかな一日でした。
 今年も恵泉女学園大学の学生が田植えにやってきました。大学の環境関連のゼミの授業の一コマです。そのゼミでは、田植え以外にも林に行っての観察会もあったとのことでした。去年は7人ぐらいの参加でしたので
数人の大学生の名前を覚えることができました。しかし、今年は10人も参加したので教えることに集中して、とても名前を覚えることができませんでした。

              カラフルないでたちで田植えする大学生達


 彼女達10人のうち、田植えを体験したことがあるのは4人ほどでした。中学校の修学旅行で秋田県に行って農家に泊まっての体験だった子もいました。農家出身の子供たちが希少になった現代は、田植えなどの農業体験は学校の総合学習,林間学校,そして修学旅行などでしか体験できない時代になったようです。

 いっせいに並んで田植え       田んぼが初めての学生も
 

 田んぼに入るのが初めての学生もいたりして最初は、ワーワーキャーキャーとにぎやかな声が聞こえました。田んぼの泥に素足を入れる感覚が、初体験で新鮮だったのでしょう。今日大学生達が田植えした田んぼは、比較的水深が浅くあまり足が沈みません。じきに慣れて泥の感触を楽しんでいる様子でした。

       
田植え紐の前に一列に並んで、苗を丁寧に移植


 田植えする前に各人の役割分担を決めました。田植え紐の両脇にいて紐を結んだ棒を抜いたり挿したりする人,全体の進行を見ながら紐移動の指示や苗植え指示の号令をする人,田植え紐の前に並んで苗を移植する人,そして苗を手渡しする人に役割分担しました。全員がその分担を体験できるように時々分担を交代しました。

  号令する人,紐を結んだ棒を抜き差しする人,田植えする人   
           


 先週来たボーイスカウトは年齢が5歳~13歳で、園児から少年とさまざまな年齢構成でした。このため、田植えするよりも泥遊び感覚での田植えでした。このため、苗もちゃんと移植できていないものが多く見受けられ、後で植え直ししなければなりませんでした。
 今日来た大学生達は21歳で、教えた通りに苗を植えることができました。最初は苗の持ち方も分からない学生もいたり、植えた苗が水に浮いてしまう学生もいましたが、教えればちゃんと修正して正しく植えることができるようになりました。田植えにも教える適正年齢があるように思います。私のこれまでの経験では、小学4年生以上の年齢でないと田植えは無理のように思います。

         田植えが順調に進行して後ろ残りわずかに


  最初はおっかなびっくりで時間がかりましたが、慣れれば田植えのスピードが上がってきました。それに比例して手に持った苗がすぐになくなり、補給の方に時間がかかるようになりました。通常の田植えでは、束にした苗をあらかじめ田んぼに投げ入れておきます。しかし、今年5月の天候不順で苗が十分育っていなかったため束にできず、今回は苗を手渡しで補給しました。

 
慣れると田植えがスムーズに     隣同士で苗を手渡し
 

 ここの田んぼは農薬類をいっさい使用していません。このため、いろいろな動物がいます。今日はシュレーゲルアアオガエルの卵が孵化する様子を学生達に見せることができました。白いふわふわした卵塊から小さなおたまじゃくしを泳ぎだす様子を見てびっくりしていました。孵化したばかりの砂粒のように小さいおたまじゃくしを見るのは初めてのことだと思います。他にも、アメンボ、タニシ、カエルなどがたくさんいました。

         
田植えも終盤、少々狭く窮屈な姿勢で田植え


 田植えが終わると手足に付いた泥を洗います。田んぼ近くを流れる小川に行って洗いました。東京にいると、まず自然の小川で手足を洗うことなど考えられません。手足を流れる水に浸して丁寧に洗いました。

 
小川に下りる道をそろそろと    小川の小さな滝壷で丁寧に
 

 手足を洗い終わると着替えるための農作業小屋に戻りました。畦を歩いて戻る途中、さっきまで田植えしていた田んぼをとてもいい笑顔で見下ろしていました。高揚感か達成感があったのでしょうか、わいわい言いながらしばらく見つめていました。

        
田植えが終了した田んぼを笑顔で見下ろして


 梅雨にしてはカラリと晴れた一日でよかったです。この心地よい晴天の中、やって来た大学生達は田植えを楽しんだ様子でした。現実の農業はとても楽しめるようなものではありませんが、米作りの一端を知ってもらうには良い機会だと思います。自分達が食べている一粒のお米がどのようにして生産されているのか、自然や環境との関わりを肌で感じるには大切なことだと思います。

       
恵泉女学園大学の先生と学生達,そして手伝いの方々


 彼女達が去った後、山で囲まれた田んぼに静けさが戻ってきました。今日植えられた苗は、一週間もすれば定着します。今後は雑草が生えないようにこまめに田んぼを管理する必要があります。除草剤をいっさい使わないため、ここの田んぼは深水方式で雑草防除しています。そのために、毎日のように畦を回って水が抜けていないかどうかの見回りが欠かせません。

        水面下に足跡が残る田植えしたばかりの田んぼ


 昼食を食べ終わった後、次の田植えの準備をしました。今日大学生が田植えした隣の田んぼの代かきです。耕運機を動かして丁寧に代かきしました。ここも、田植え時にはにぎやかな歓声が聞こえることでしょう。

           山の陰が迫る田んぼを耕運機で代かき

コメント
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