東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

高校生の田植え,麦の収穫と製粉調理

2008年06月16日 | 農業体験

 梅雨にもかかわらずこのところ晴天が続いています。風もさわやかで毎年の梅雨のようにじめじめしていません。今日は高校生3人が田植えなどの農作業にやってきました。先日代かきとお米の種まきにやってきた高校生達です。
 最初は予定通り田植えをしました。4月に箱苗に種まきして育った苗を移植しました。一人が苗の間隔を決める田植え紐を棒で支える役で、他の二人は田植えする役です。時々その役を交代しながら田植えをしました。

           一人が田植え紐を棒で支え、二人が苗を移植


 今日田植えした田んぼは冬からずっと水を浸していました。このため、たくさんの小動物がいました。一番多いのがおたまじゃくしです。田植えする彼女達の足元を避けるように泳いでいました。また、アメンボもスイスイ水面を滑走していました。極めつけはどじょうです。泥の下で足元をぬるりと抜けるように泳ぎます。タニシや小さな昆虫,無数のクモもいました。

          無数の小動物を避けるように後ずさりしながら田植え


 田んぼの形は長方形ではありません。細長い台形のため、田植えをしながら後ずさりしていると田植え紐がだんだん余ってきます。すると田植え紐の棒を支えている役の高校生は、そのつど紐をほどいて長さを調整します。

     田植え紐の長さを調節        時々分担を交代しながら田植え
 

 田植えした苗は二種類のお米です。一つはうるち米のキヌヒカリ,もう一つは古代米の一つである赤米です。赤米の苗のほとんどは他の団体にゆずり渡したので今年は10株程度しか植えませんでした。種を採取程度の株数です。
 田植えが終了すると、来週小学生が田植えする田んぼを使って代かき体験をしてもらいました。代かき用の耕運機の使い方を一通り教えた後に操作してもらいました。彼女達にとっても初めての、耕運機による代かきだったのはないかと思います。

             初めての耕運機による代かき作業


 最初は水が満たされた比較的操作しやすい田んぼで代かきをしました。耕運機の操作に慣れると、今度は水が少なく泥の粘りが強い田んぼを代かきしてもらいました。粘りが強い田んぼではハンドルを常に上にあげていないと、だんだん耕運機が泥の中に沈んでいきます。

             泥の粘りが強い田んぼで代かき


 今やほとんどの農家ではトラクターを使って代かきをします。トラクターは乗車して操作するため、アクセルやハンドルなどの操作しか必要としません。しかし、耕運機は、田んぼの高低差や泥の粘りにあわせて微妙な力加減が必要です。耕運機はあらゆる農業機械の基本だと思います。彼女達の今回の体験は良い勉強になったと思います。

            田んぼの高低差と泥の粘りに合わせて微妙な力加減


 畑と違って耕運機による代かきは、長い時間操作しているととても疲れます。高校生3人で休みながら交代して代かきしました。それに、泥に粘りが出てくると耕耘機のロータリーが跳ね上げた泥が顔などに飛んできます。泥だらけになりながらの代かき作業でした。

             交代で休みながら耕運機で代かき


 代かき作業が終わると、今日の田んぼ作業はとりあえず終わりです。ひざ下を中心にすっかり泥だらけになりました。田んぼ脇を流れる小川に行って、その泥を洗い落としました。木陰を流れる小川には涼しい風が吹いています。その風や小川を流れ下る水で体を冷やしながらの泥落としです。

             ひんやりした木陰を流れる小川の水で泥落とし


 足を洗い終わると正午です。みんなで木陰に集まって昼食を取りました。各自持ってきたお弁当やコンビニの弁当などを食べました。涼しい木陰でわいわい楽しい話題を楽しみながらの昼食です。数十メールと離れた田んぼでは他の団体が田植えしながらバーベキューをしていました。家族連れの団体のようでした。

              木漏れ日の木陰で楽しい昼食


 午後からは麦の収穫です。先日から乾していた麦束を脱穀し風選して麦粒を収穫します。発動機を使った脱穀機でもよかったのですが、昔流脱穀を学ぶ意味で今回は足踏み式の脱穀機を使いました。脱穀機のぺダルを踏むことによって歯の付いたドラムが回ります。そのドラムに麦穂を当てて脱穀します。

         勢いよく回した足踏み脱穀機のドラムに麦穂を当てて脱穀


 脱穀された麦穂は麦粒や殻などがばらばらに散らばっています。これを網で濾します。中には麦粒が外れていない麦穂もあります。麦粒が外れていない麦穂は集めて木の棒でたたいて麦粒をはずします。昔はそのたたく作業は、くるり棒と呼ぶ棒でたたいていました。

    網で余分な殻や麦ワラを選別       棒で麦穂をたたいて脱麦粒
 

 麦粒を選別すると、今度は風選してより小さなゴミを取り除きます。より昔は箕と呼ばれる竹などで編んだ手持ち式の籠状のものを使いました。風下に麦粒をさらすようにしてゴミを飛ばして選別していました。この箕による風選は、麦に関わらず、米粒,大豆,小豆などのあらゆる穀類の選別に使われていました。しかし、繊細な技術が必要なため現代人にはとても難しい方法です。
 今回はより進んだ唐箕と呼ばれる農具で行いました。手回し式で風を発生させて麦粒を選別する装置です。これも江戸時代後半から使われるようになった古い農具です。

             唐箕のハンドルを回しながら麦粒を選別


 唐箕で麦粒を選別し終わると、とりあえず今日の農作業の一区切りが終了です。田植えは小学校の総合学習や修学旅行の田舎体験でよく行われています。しかし、麦の刈り取りや脱穀選別の体験はそう多くないと思います。今回の体験は、卒業後に農業関連の大学や仕事に就く彼女達にとって貴重な経験となったと思います。

             麦の収穫が終わって休憩中の高校生達


 今日は、麦の収穫で農作業は終わりの予定でした。しかし、せっかくの機会なので収穫した麦を食べることにしました。私が個人的に所有している手回し式の製粉機で製粉して、それをホットケーキにして食べてみることにしました。

           力と時間に根気が必要な手回し式の製粉機で奮闘中


 30分程度回すと5,6人が食べられる量の小麦粉が製粉できました。細かい網を通さないので茶色の全粒粉です。油を引いて熱したフライパンに水で練った全粒粉の麦粉を薄く引きました。焼きあがったものはみかけ上はハンバーグのように見えました。

   水で練った全粒小麦粉を焼く        まるでハンバーグのよう
 

 皆どんな味だろうと出来上がったホットケーキを試食しました。混ざりけのない小麦全粒粉ホットケーキは皆が美味しいとの評価でした。その触感も評価が高いものでした。肉味を少し付ければ小麦ハンバーグとしても通用しそうです。

         自分達が製粉した小麦全粒粉ホットケーキの試食


 小麦の製粉とその試食が終わると、大豆の種まきをしてもらいました。大豆は小麦の刈り跡に播きます。まだ蒔いていない刈り跡に蒔いてもらいました。30cmの間隔で手持ちクワで穴を掘りその穴に2粒ずつ蒔きます。大豆の品種は「鶴の子」で遺伝子非組み換え大豆です。

        麦の刈り跡に沿って手持ちクワで穴を掘って大豆を播種


 高校生達が帰る間際、ジャガイモを収穫して土産として持って帰ってもらいました。男爵を含めて3種類のジャガイモを掘りました。ジャガイモ収穫にはやや時期が早いのでどの位の大きさになっているか分かりませんでした。しかし、大きいもので直径8cm位でやや小ぶりでしたが十分食べられます。

            楽しくお土産用のジャガイモを収穫


 ジャガイモを収穫して今日の農作業はおしまいです。朝からの農作業でとても疲れましたが、とても心地よい疲れでした。田んぼでの田植えと代かき,麦の脱穀や選別と製粉,製粉した全粒粉を使っての調理と試食,そして大豆の種まきやジャガイモの収穫。とても盛りだくさんの体験でしたが高校生達には貴重な体験であり勉強になったと思います。

            田んぼを背景にみんな揃って写真撮影

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする