田布施町の呉麓山の山深い山麓に、ひっかり観音と呼ばれる屏風岩があります。去年6月、ひっかり観音が朝日を反射して光る可能性があることの科学的証明をしました。ただし、岩の表面に鏡を立てかけての証明です。今年は、鏡ではなくひっかり観音の岩自体が光ることの証明をしたいと思います。このため、何百年もの汚れが積もった岩の表面を磨くことにしました。しかし、何百年もの眠りにあった観音様を無理やり起こすことにもなります。そのため、龍泉寺のご住職にひっかり観音までお越しいただいてお勤めをしていただくことになりました。お勤めとはいえ、険しい山道を登っていただきありがとうございました。
ひっかり観音の麓に到着 がれた獣道を登る 深い草木をかき分け登る
約10ヶ月ぶりにひっかり観音の岩にやって来ました。ここに来ると、田布施町が一望のもとに見渡せます。また、遠く平生町や柳井市も見渡すことができます。赤子山,大星山,琴石山,そして銭壷山などを見ることができます。さらに、平生湾の海を見ることができます。
はるか古代、今より海がずっと田布施側に迫っており、平生町,田布施町,そして柳井市にかけて海が広がっていました。つまり、この地域は海峡でした。古代、この海峡を通って奈良の都と朝鮮半島は船で結ばれていたのです。その海を、このひっかり観音は照らしていたのではないでしょうか。
ひっかり観音の屏風岩から見下ろした、平生,田布施,そして柳井
ひっかり観音の屏風岩には、去年取り付けた鏡がまだ残っていました。私は、この鏡を固定している紐をほどいたり、重りの石を外したりして鏡を撤去しました。他の方々は、屏風岩前の小さな広場に生える草を抜くなどしてお勤めの準備をしました。
去年取り付けた鏡 草などを取り除いて綺麗に シキビなどを設置
ひっかり観音の屏風岩は、古代から地元の人々に信仰されていたようです。わらべ歌で歌われ、伝承が代々言い継がれ、岩そのものも大切にされてきました。伝承によると、田布施がまだ海原だっ頃に船から光が見えたそうです。その伝承が本当だとすると、それは今から500年以上前のことではないかと思います。そんな大昔の自然現象が、代々言い継がれていたのです。
お勤めの前に、線香などの準備を整える方々
今回、ひっかり観音の屏風岩を綺麗に磨きます。そして、この磨かれた岩肌が朝日を反射する現象を確認したいと思います。もし、去年鏡で確認したような光を確認できれば、500年以上前からの伝承が事実だったことの証明になります。はてさて、光ってくれるでしょうか。
ひっかり観音の屏風岩前でお勤め