寒くて天候が良くない日は、外で野良仕事をすることができません。そんな時は、部屋で小さな機械の修理をするに限ります。音が出るかどうか分からない古いトランジスタラジオがあるので、久しぶりに修理することにしました。
使われているトランジスタの型番からみて、このラジオは昭和30年代に製造されたようです。私が小学生の頃です。まだ真空管ラジオが幅を利かせていました。当時の我家には、テレビ,電話,そして自家用車がありませんでした。水道はなく井戸でしたし、煮炊きは釜戸でした。そんな貧清な時代でした。
トランジスタラジオ TR-609の筐体内のラジオ基板
当時のSONYのトランジスタは半導体構造が他社とは違っていました。他社はPNPタイプでしたが、SONYはNPNタイプでした。その理由はSONYは自社でトランジスタを開発できたのに対してい、他社はアメリカかヨーロッパからの技術導入だったからです。他社は莫大な特許料を払ったのではないかと思います。自社開発したSONYは先行利益を受ける事になり、今に至るSONYブランド発展の原動力になりました。
小型ラジオTR-609全体像 裏ブタのネジを外す TR-609の筐体内部
修理する前に、裏のネジを回して上蓋を取り外しました。すると、当時の電子回路が分かる電子基板が見えてきました。その基板を見ると電子機器発展の歴史が良く分かります。
例えばエアバリコンです。まだボリバリコンは使われていません。現在はさらに進んだ電子チューナーになっています。またトランジスタはこれまた懐かしい2SCの1桁番号です。高周波増幅用の2SC73,2SC76、そして低周波増幅用の2SD66です。さらに、OSCコイルがシールドされていないのも時代を感じさせます。
小型に作られたエアバリコン シールドされていないOSCコイル
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