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「コミュニケーションの量の減少」という問い②

2011年09月18日 | 読書
 コミュニケーションの「量の減少」という問いから少し横道にそれるような気がするが、周辺の勉強という意味で書き留めておきたい。

 文科省のコミュニケーション推進会議の座長を務めている劇作家平田オリザ氏が、講談社『本』で連載を始めた。
 「分かり合えないことから」と題した連載の一回目のタイトル。

 コミュニケーション能力とは何か?

 もちろん辞書に載っている意味を探ることではなく、なぜ今「コミュニケーション」ということが大きくクローズアップされるかについての現状と展望について語ることだと思う。

 「コミュニケーション問題」は、次の二つのポイントから見ていくべきと語っている。

 一つは「コミュニケーション問題」の顕在化」という視点。もう一つは「コミュニケーション能力の多様化」という視点。

 簡単に言ってしまえば、前者はコミュニケーション能力が「向上」しているなかで一定数の無口や口下手な人はいて、それは就職などの人生選択の場で大きく影響していること。そしてそれに行政や教育が対応できていないこと。
 後者は、ライフスタイルの多様化の中で一人ひとりが得意とするコミュニケーションのスタイルも同様に広がっていて、成育歴や慣れによる個人差が目立つということ。そして現実社会とのギャップがあるということ。

 この現状把握には納得できる。
 その先にある提案めいたこと、つまりコミュニケーション教育の充実ということにも方向として賛成である。
 しかし、おそらくはそういう体制的な整備だけでは、どうにもならないことを抱えているのが、この「コミュニケーション問題」であるというような気がする。

 この感覚が、平田氏のいうように「人格に関わる深刻なものと捉える傾向」に当てはまるかもしれないと思いつつ、「はいっ、こうした教育内容を新しく入れ込みます、頑張ってください」という流れの中で、ひどく弱く薄くなったものがいくつかあり、その一つは「コミュニケーション」ではなかったか、と思ってしまう。

 「分かりあえないことから」というタイトルは素敵だ。
 注目して読み続けたいと思っている。