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秋に、深まる言葉たち

2011年09月28日 | 読書
 ちょっと書き留めておきたい言葉シリーズ。

 新潮社の『波』に連載されている「高峰秀子の言葉」がなかなか面白い。養子である斎藤明美という人が書いている。
 高峰秀子は某週刊誌が企画した「昭和の名花」という女優でトップを飾ったが、やはり知性的なイメージが深く見せるのではないか。
 紹介されたこの言葉は、うーんと唸った。

 「言ってわかる人は言わなくてもわかる。言わなきゃいけない人は言ってもわからない」

 まさしく言い得ている。
 毎日の出来事をこの一言で解説できるようなものである。
 しかしまた、乗り越えなければならないし、「言う」以外の方法だってあると頭を切り換えなければならないと思わせられる極言でもある。

 
 「ハゲは、病気ではなく男の主張」

 某ビジネス誌に載っていた、孫正義の自虐ネタ。
 初めて知ったことだが、孫は様々な場で自虐ネタを披露する人らしい。
 しかし、この言葉がまた力強く聞こえるのは、やはりそこにエネルギーを感じるからか。自虐が合うキャラクターかどうかという見方もあるが、少なくとも俯瞰力あっての導き方だなあと改めて思ってしまう。


 この頃読了した小説。
 『かなしぃ』(蓮見圭一 新潮社)

 やはり、この人はなかなか読ませる。
 それに、博学で魅力的な人物を登場させるので、うん勉強になるなあという気にさせられる。
 今回の短編集も、本のページ数とコストの関係、社会党の没落、セレンディピティの由来…かなり興味深かった。
 しかし、最も「ああ」と思ったのは、次の一言。(ページを探せずやや不正確ながら)。

 深まるのは、秋だけである。春も夏も深まらない。

 まだ少し早いけれど、それを実感する季節になっている。