『視点をずらす思考術』(森達也 講談社現代新書)
著者は私にとって気になる存在の一人だ。
数は少ないが他の著書も手に取っている。同世代が共有できる感覚があるからだろうか,と思ったりする。
この本に書かれてあることも,諸手で賛同できるほどの知識や問題意識は自分には足りないが,概ね納得できる。またちょっと違う部分についても理解できる。
内容は,数年前に新聞や雑誌などに掲載されたものがまとめられている。ただ大幅な加筆があったようで,まとまっていて読みやすかった。
6章からなる本文以上に「前口上」が特に心に残った。
日本人は羊度が強い。
この文章はグサリときた。
「ヨウド」なんて読み方はないから,「ヒツジド」と読ませるのだろう。
意味は…。
モンゴルの放牧民の羊の飼い方を例に,「周囲の動きに従う傾向が強すぎる羊」を示している。放牧民はそこに「同調圧力に従わない」ヤギを入れ,移動を促すのだという。
著者自身が頻繁に取り上げるメディアへの警告は,この点が常に意識されている。
そして,メディアの渦中にいる著者だからこそ知りえる事実があるし,この本にも書かれてあるオウムや天皇家のことなど,ごく一般的な報道には載らない情報を知っただけでも価値が高い。
しかし,それも含めて著者は「視点をずらす」ということをこの本のテーマにおいた。
「映像の嘘は,ぼくにもほとんど見抜けない」
「表現とは,嘘の要素が混在する領域」
「客観性は,幻想だ」
これほどまでのことをずばりと言い切りながら,絶えず発信続けている著者は,いわば現代を生き抜くたくましい「ヤギ」だ。草を食いつくせば移動するし,風や雨を防ぐための場所も探せる。
「足元の草を食べつくしたら,その場で立ちつくす」羊と自覚したならば,信頼できるヤギを探すしかないだろう。
★いつからカウントされているのか不明だが,編集画面にはIP,PVのカウンターがついている。昨日でIPは20万越えとなった。PVは60万近い。こんな半端な内容でも毎日訪問してくれる方がいると思うと励みになる。多い日は200を越したりする。訪問者に感謝しつつ,この後も地道に続けていこうと思っている。
著者は私にとって気になる存在の一人だ。
数は少ないが他の著書も手に取っている。同世代が共有できる感覚があるからだろうか,と思ったりする。
この本に書かれてあることも,諸手で賛同できるほどの知識や問題意識は自分には足りないが,概ね納得できる。またちょっと違う部分についても理解できる。
内容は,数年前に新聞や雑誌などに掲載されたものがまとめられている。ただ大幅な加筆があったようで,まとまっていて読みやすかった。
6章からなる本文以上に「前口上」が特に心に残った。
日本人は羊度が強い。
この文章はグサリときた。
「ヨウド」なんて読み方はないから,「ヒツジド」と読ませるのだろう。
意味は…。
モンゴルの放牧民の羊の飼い方を例に,「周囲の動きに従う傾向が強すぎる羊」を示している。放牧民はそこに「同調圧力に従わない」ヤギを入れ,移動を促すのだという。
著者自身が頻繁に取り上げるメディアへの警告は,この点が常に意識されている。
そして,メディアの渦中にいる著者だからこそ知りえる事実があるし,この本にも書かれてあるオウムや天皇家のことなど,ごく一般的な報道には載らない情報を知っただけでも価値が高い。
しかし,それも含めて著者は「視点をずらす」ということをこの本のテーマにおいた。
「映像の嘘は,ぼくにもほとんど見抜けない」
「表現とは,嘘の要素が混在する領域」
「客観性は,幻想だ」
これほどまでのことをずばりと言い切りながら,絶えず発信続けている著者は,いわば現代を生き抜くたくましい「ヤギ」だ。草を食いつくせば移動するし,風や雨を防ぐための場所も探せる。
「足元の草を食べつくしたら,その場で立ちつくす」羊と自覚したならば,信頼できるヤギを探すしかないだろう。
★いつからカウントされているのか不明だが,編集画面にはIP,PVのカウンターがついている。昨日でIPは20万越えとなった。PVは60万近い。こんな半端な内容でも毎日訪問してくれる方がいると思うと励みになる。多い日は200を越したりする。訪問者に感謝しつつ,この後も地道に続けていこうと思っている。