すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「ある。そのほかに」と切れば

2013年03月27日 | 雑記帳
 今日の新聞に教科書検定の話題が載った。
 「主な検定意見と修正」という囲みに八つの事例があった。
 他の事例は修正の意図がよく理解できたが,一つだけ最初に挙げられた事例はすぐに理解できなかった。

【記述】日本は(中略)韓国との間で竹島の問題があり,尖閣諸島については中国が領有権を主張している。
【意見】領土問題について誤解する恐れがある。
【修正】日本は(中略)韓国との間で竹島の問題がある。そのほかに,尖閣諸島については中国が領有権を主張している。


 「あり,」でつなげる文章と「ある。そのほかに,」と切る形で,何が違うか。
 二度三度読んでみて,ようやく二つの問題のランクづけなのだとわかる。

 つまり,実効支配されている竹島問題は「領土問題」であり,我が国が「有効な支配をしている」尖閣諸島については「領土問題」とは言えず,中国が勝手に言っているだけという捉え方だろう。

 詳しく,外務省のページを。
 (竹島)http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/
 (尖閣諸島) http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/

 それにしても一応国語教育に携わる者として,こんな違いを意識して使っていただろうか,と不安になった。

 今日の給食メニューは,カレーライスであり,シーチキンサラダである。
 今日の給食メニューは,カレーライスであり,シーチキンサラダもある。
 今日の給食メニューは,カレーライスである。そのほかに,シーチキンサラダである。


 この三つにもやはり違いがあり,それはメニューとしてのランクづけの問題だったり,語り手の嗜好であったりする。

 ふだんの日常会話でその使い分けを意識することはないだろうが,きっとぱっと出るその言葉で,人の考えはある程度推測できる。

 つなげるのは同じレベルやランクで,切ってしまうと,程度の差はあってもそこに違いが生ずるということ。

 これが,この記事へのひっかかりから分かったことであり,…
 いや,
 これが,この記事へのひっかかりから分かったことである。そのほかに,…

 書き方が意識されても中身がなくちゃ,何にも書けない。