すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

いいペースで読んでいる春

2013年03月17日 | 雑記帳
 久しぶりにホームページを更新。
 といっても,「こんなほんだな」と名づけている読書記録のみだが,一ヶ月半も空けたのでいかんいかんと思いながら整理した。
 
 現在読みかけの本も入れると今年はもう30冊近いので,これはなかなかいいペースだ,教育関係も結構あるし…と一人で満足している。
 春休みには多く期待できないかもしれないが,いくつか再読したい本もあるし,さぼらず読み続けよう。


 さて,記録し損ねていた本について簡単な読書メモを残しておく。

 『残夢整理~昭和の青春』(多田富雄 新潮社)

 人と出会い濃密な関係を築くことの意味は,ほとんどの場合,別れによって深く認識される。
 昭和という時代,著者を取り巻く環境を大きな背景としながら,まさに「人間」の生きている様が見事に綴られていると感じた。
 著者のように整理する齢にはまだ時間があるが,はたして自分にはそうした「夢」があるだろうか。「残夢」が少なく「残務」だけだったら寂しい。


 『夜行観覧車』(湊かなえ 双葉文庫)

 湊かなえって本当にうまいなあと感じさせられる導入だった。
 こういう複数視点で章立てされる形態は珍しくなくなったが,この作者は描き方が映像的というか,たぶん人物へのズームの使い方が巧みなのだろうと思わされる。
 結末は案外だった。しかしエンターテイメント小説としてはいい出来上がり。ドラマが放送されているTBS系列のない本県としては,地元放送局における時期遅れの放送に期待するしかないか。


 『新編 あいたくて』(工藤直子 佐野洋子・絵  新潮文庫)

 詩集を買うのは久しぶりだ。「新編」という形容に惹かれて購入した。
 読んでいて,ふと震災に遭った人たちはこの詩集をどう読むのか,などという突飛な発想が浮かんだ。
 つまり,ほとんど全てが「生」に関するように読み取れるからだ。
 「文庫版のためのあとがき」に,この詩集のテーマである「会う」について記している。その意味の広さと深さが詩表現であることを今さらながらに考える。
 工藤直子は,私にとっては詩指導実践と切り離せない人だが(といっても大昔のことだ),改めてこの人の書く詩の本質を見る思いがした。