すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

穏やかによみがえる

2013年03月28日 | 雑記帳
 年度末なのでいろいろ片づけをしていたら,ある資料を見つけ「あああ」と思わず口を開けた。

 「昔から伝わる地区の例え話」と題されたA4版2枚。
 その横に私が書き添えた「○印のついたことについて,ヤスさんにお話してもらいましょう。(他にも聞きたいことがあれば,聞いてみましょう)」という文章もある。

 数年前勤めていた山間部の小さな学校には,畳敷きの部屋があり,そこを利用して昔語りなどを定期的に開いたことがあった。
 私も「方言」のことなど語ったことがあったが,その中心は地域にいらっしゃる語り手で,橋ヤスさんというご高齢の方であった。

 お会いした当時もずいぶんと感銘をうけた記憶がある。
 このブログにも二度取り上げていた。どちらも思い入れがある。

 一隅を照らす人生の歩き方
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/f8558d0b01caafdc1ec354ee5d58a3b7

 授けたもらった幸い
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/b03ee6fd73a59c5788b43d5b65b3265a

 さて,件の資料は昔ながらの農村の言い伝え,つまりは米作りを中心とした勤労精神と歳時記的なことが中心に三十数項目が並べられている。
 読み返すと,人生訓めいた項目もある。

 「あぐど(踵)は爪先にならない」

 「他人のかまど(身代)を考えぬ者は,自分のかまどはもてぬものだ」

 齢を重ねれば重ねるほど身に染みてくるような言葉だ。

 今月半ば,新聞の訃報欄にヤスさんのお名前があり,ご冥福を祈った。
 また,あの穏やかな顔が瞼によみがえってくる。