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桜と絵本と豆乳と

価値を認識して伝えたい

2016年05月12日 | 読書
 『子どもたちに伝えたいお話』(佐藤正寿 明治図書)

 佐藤正寿先生が新刊のご著書を贈ってくださった。この一冊は、間違いなく今までの仕事の集大成の一つだと思う。ホームページを見続け、長年ブログを愛読してきた者なら、はっきりとわかる。ホームページに掲げた題であり、少し前までブログも同様のタイトルであった。曰く「地域のよさ・日本のよさを伝える


 5つの章は「日本(和)のよさ」「年中行事」「祝日」「記憶に残したい日」「名言・格言」という区分である。ネット上に公開された内容が基にはなっているものもあるが、どれも再構成され見開き2ページの体裁でコンパクトに収まっている。ずばり「使える」ことを最優先に意識した編集であり、意図が明確にわかる。


 前書きにも「教室に常備して、ちょっとした時間に活用していただければ…」とある。学級通信等での紹介も勧めている。そうあってほしいが、これだけまとまっているのだから、ぜひ固定的・継続的に使ってほしいと思う。つまり毎日教師が時間設定をして必ず読む…それが子どもの興味を底上げしていくはずだ。


 底上げされた興味・関心は、子どもの追究の芽を育てるし、そこから教科学習に結びつくことも十分あるのではないか。中味を読んでいくと、私などは冒頭から社会科的な「はてな」が思い浮かぶ。例えば、もともと入浴道具だった浴衣がどうして着物になったか?例えば、「正座」と女子の関係はどうなっているのか?



 そんな問いが生まれて、結構楽しく読んだ。さて「地域のよさ・日本のよさ」と一口に言うが、それは今かなり意図的に行わなければいけない。学校教育の中の指導事項であるとしても、本来家庭や地域の暮らしで培うべき精神が、かなり薄くなった現状がある。この本の価値を、まず教師が認識することが出発点だ。