すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

『海賊と呼ばれた男』観ました

2016年12月16日 | 雑記帳

 土曜日に封切られた『海賊と呼ばれた男』を早速観に行った。小説は一昨年夏に文庫の上下巻を読み、評判通りの力作であったと、このブログに感想を残している。映画化の期待はあったが、『永遠のゼロ』より時間的スパンが長いので、どう構成するんだろうという懸念があった。クリアしていたと思うが不満も残った。

 すぷりんぐぶろぐ「ソコから始める人の強さ」2014.7.23
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/d2655c1eb886cfd7215eaed7578a9212

  「海賊と呼ばれた男」映画公式サイト
http://kaizoku-movie.jp/

 国岡商店の初期、終戦直後、そして日章丸…当然主要なエピソードは並べられていたが、やはり最低5時間ぐらい必要ではなかったか。原作を読んでいる者からすると、どうしてもダイジェスト版のような気がしてならない。終末への布石が少し不足だ。もちろん興行として成立、成功させるための結果だとわかりつつ…。



 『永遠のゼロ』に続く主演の岡田准一の存在感はさすがだった。穿った見方をすればワンマン店主の一代記であり、それを丸ごととらえて国岡鐵造に入り込んでいた。改めて、映画館のスクリーンの尺にふさわしい俳優はいるものだと感じる。岡田以外、渋い脇役が多く出演していたが、染谷将太にその可能性を見た。


 太平洋戦争の原因の一つが「石油禁輸」であることは周知であり、その結果の象徴的場面から始まる構成だった。外交とは一面でエネルギー資源確保の交渉で、政治の駆引きを踏まえつつ、ぎりぎりの胆力を発揮した者の生き様が描かれた映画である。ニュースの表舞台に出なくとも、そんな志の人がいると信じたい。