すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

書名だけを読書する

2016年12月14日 | 読書
 国語科の読解で、題名から中味を想像するという活動があった。興味づけを図るねらいも考えられるし、最終的に主題に迫るための布石という方向づけもできよう。しかし個人としての読書で意識してそんなことはしない。多くの人も同じだろう。しかし今回こんな魅力的な題名に出会った。少し考えてみたくなった。

 『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』(森博嗣 新潮新書)




 なんとダイレクトな書名だろうか。そしてまた漠然とした問いであろうか。書名だけですでに問いが浮かび上がる。「いろいろな問題」とはいかなる問題を指すのか。特定できないからこそ、いろいろな問題か。人生とは何か、宇宙とは…から、今日の夕ご飯をどうするか、焼きガキは何故あんなに美味しいのか…まで。


 「どう考えていけば良いのか」という述語部分は、解釈が複数ある。「どう考えれば、問題解決ができるのか」と「どう考えれば、良い生き方ができるのか」。一見前者に見えるが、後者もあり得る。そうでなければ「人間」という主語はわざわざつけない。そこから始めたのは思考だけでなく行動も含むのではないか。


 この書名を筆者自身がつけたのか、編集サイドが選んだか、読む前なので定かでない。しかしこの書名づけは成功だ。少なくとも私はすでにハマってしまった。そして、書き散らしながら三つばかりの仮説を得る。「まず、自分の頭で考えてみよ」「想定する範囲を広げてみよ」「当たり前には使われない表現に着目せよ」